久しぶり
今日の予定であった昼過ぎからの講義を終えて、大学構内の一階にある食堂の一画で待ち合わせをしていた。相手はもちろん、
「りゅーくーん、龍くん龍くーん!」
「樹、一分遅刻だぞ。」
「今の日本じゃギリギリセーフだよ、多分。それで、何のようなの?」
少し言い出すのをためらったが、勇気を出して一秒が分裂したかのようなスピードで話し始めた。
「あのさ、小学校の卒業式の前日のこと覚えてる? ちょっと信じられないかもしんないけど、夜霧が生きてるかもしれない。」
そしてざっと三秒間ほど。樹は目と口を開いたまま硬直させ、実際に幽霊でも見たのかというような顔をする。樹は程なくしてこう言った。
「うそ……じゃないのは分かってるよ、うん、そんな顔してる。え、でも何で。何を根拠にそんな……。」
「俺実はさ、メアさんって名乗る人からこんなの貰ったんだよ。」
そうして、俺は樹に朱色のミサンガを見せた。
「メアさんって占い師の人なんだけどさ、これ貰って寝たら過去を振り返ることなく前へ進めます的なことを言われたのよ。で、その時見た夢で出てきた夜霧の顔がほとんどメアさんと同じでさ。」
「待ってまって、えーと。その占い師さんと龍君がどうゆう関係なのかがいっっっちばん気になるとこだけど。つまり、死んだはずの真奈ちゃんとあった事があるって事?」
「まあ、うん。」
「じゃあ、会いに行こう。今すぐ。どうせ私に話したって事は、ちゃんと連絡つくんでしょ。」
「ツイッターの投稿がつい最近まであったから大丈夫だと思う。多分だけどな。」
「はい、スマホ貸して」
「え。」
そうして、後ろポケットに閉まっていた俺のスマートフォンを取られてしまった。ロックなんか掛けていなかったので、そのまま樹が俺のスマホを使い始める。
「『よろしくお願いします。あと、当日は知り合いも一人来ますのでご承知ください。』っと。はい、アポ取ったよ。明日の十時半だって。今日が金曜日で良かったね。」
俺のスマホを手渡される。どうやらきっちり約束を取り付けてくれたらしく、ツイッターのダイレクトメッセージ画面にはしっかりとそのメッセージが送られていた。
翌日の土曜日、自宅の最寄り駅で俺たち二人の前に現れたのは。メアを名乗る夜霧真奈にとてもよく似た女性だった。今、俺たちの目の前にはその女性は、左手に紫色のミサンガをみにつけている。
「久しぶり、龍之介くん、樹ちゃん。」




