勇者パーティ決起会
さぁ新たな冒険のはじまりだ。
準備はいいか?
二年の時が経った。
その間に起こった事といえば、娘と孫が出来た事である。プリーモもしっかり勤めを果たしたらしい。
本日は、プリーモの魔法学園の卒業式である。背中の上でおんぶをしながら、レベル上げをした我が子が成人する。
私も随分歳をとったみたいだ。
「プリーモ! 卒業おめでとう! 成人祝いに渡したいものがある」
ユウトはそう言うと、自身が付けていた、
堕天使の首飾りをプリーモにつける。
「ちょっ!? 父様良いんですか? じっちゃんの形見なんでしょ?」
「ああ! ビル爺ちゃんの形見だ! 戦友から託されたもの...これを受け取る意味がわかるな?」
「いや全く...」
ユウトは思わずこけた。
プリーモは相変わらずだな!
「プリーモ! その堕天使の首飾りは、メイン職をつけながら、サブ職を三つまで設定出来て使える。これで、お前は剣だけでなく、魔法も操りながら戦えるから、勇者パーティの核になるという事だ。つまりは主役という事だ」
それを聞き、プリーモは誇らしい顔つきになる。
「明日は、勇者パーティの決起会である。
魔法国の王宮にちゃんと来いよ!」
ユウトはそれだけ伝えると、長女のフローラをマキから奪い、抱っこする。
プリーモも妻達の元へ戻って行った。
次の日、ユウトは魔法国の王宮に足を運んだ。すると、懐かしの心の友が待っていた。
「ユリウス!! お前!! 沢山の子供いるのに大丈夫なのか?」
「馬鹿野郎ユウト! 親友が過酷な戦いに出るのに、行かない訳に行かないだろ! 子供や妻は、国が保証してくれる。俺は何の心配もなく戦えるのさ!」
ユウトはユリウスの心意気が嬉しかった。
「ごほん! では、勇者パーティの決起会を行う。五名前に!!」
魔法王の合図で、五名が前に出る。
勇者プリーモ、聖騎士ユリウス、吟遊詩人ユウト、ジジ、バニラである。
正直レベル上げ中の賢者や魔法士より、ジジとバニラは格段に強いのだ。
代表して、プリーモが挨拶をする。
「本日、勇者パーティの決起会を開きます。
代表の勇者プリーモです。至らない点が多々あると思いますが、よろしくお願い申し上げます」
ユウトは、やれやれと言った顔になる。
それでは閉まらないだろ?
「神々が与えし試練! それは魔王討伐である。集いし仲間達を率いて必ず、魔王討伐を成し遂げるぞ!!」
『おー』
今夜は決起会である。豪華な食事を楽しみながら、ユウトはユリウスと昔話に花を咲かせる。
「ユウトは二回連続フル稼働だな!」
「本当だよ! 勘弁して欲しいよ! しかもアダムは何やってるんだよ! 勇者専用装備どうするんだ?」
「アダムは、元あった場所に返したらしいよ。しかも遊び人だから決起会に顔すら出さない」
「マジかよ! じゃあ本当に一からだな! 前回からフル稼働の私が居てよかったよ!」
「父様では、最初の旅はどこになるんですか?」
ユウトはニヤニヤして答える。
「クラブだ!」
ユリウスは大笑いする。
「いや父様! 真剣に答えて下さい」
ユウトは冗談が通じないプリーモにため息をつきながら答える。
「勇者の兜、勇者の鎧、勇者の剣、勇者の靴、お前はどれから手に入れたい?」
「やはり、勇者の剣でしょうか?」
「では先ずは、聖地ガネーシャの泉に行くか」
ユリウスはため息をついた。
「聖王国じゃん! 俺がとってくれば良かったなぁ」
「まぁ仕方ない! 勇者や元勇者でなければ鈍りみたいに重くなり、運搬できないよ! しかも台座に刺してあるから、勇者しか引き抜けないし」
翌日、勇者一行は、まずは勇者の装備品から集める旅へと出かけるのであった。
気に入って頂きましたら、ブックマーク及び評価お願い致します。
励みになります。




