ファーガソンという男
十万字突破記念と致しまして、前勇者パーティを掘り下げてお送りして参りましたが、ラストは遊びすぎました。わかる人が見れば笑っていただけると思います。わからない人はごめんなさい。
一味を探せ!!
私の名前はファーガソン。
花畑王国の帽子屋の次男坊である。
庭には蜜柑畑もある。
帽子屋と言っても、店舗は一つしかない。
長男がおそらく継ぐのであろうと、
小さいながらそう思っていた。
自分は自分の道を選ぶ必要があるが、
譲れないポリシーがある。
それは親父が丹精込めて作ってくれた緑色の麦わら帽子を被ることである。
私が帽子屋のマスコットキャラであると
自負していた。手は伸びないよ!
ある日、ファーガソンは自分の適職はなんだろうと興味が湧き、国に唯一ある教会に足を運んだ。
神官の元まで行ったファーガソンは、神官に願いを伝える。
「私の適職はなんですか?」
すると、神官は、ファーガソンの適職を調べた。海賊ではなく、「魔法士」ーーこの職業は一万人に一人という確率でしか産まれてこない。
ファーガソンに魔法士の素質があることがわかると、ファーガソンは、兵士に王宮まで連れて行かれた。○○ペルダウン行きじゃないよ!
ファーガソンはそこで、花畑王から、
魔法王国で魔法を習ってこいと言われた。
更に将来は王宮魔法士にして貰えるとの確約まで貰った。
喜び勇んで、魔法王国へとやってきたファーガソンは、あまりの都会に言葉を失った。
青い鼻のトナカイがいないではないか...
花畑王国は、大分昔に他国から攻められて、壊滅状態になった事があったらしい。
だからかなり秘境に国が作られていた。
つまりはど田舎であったのだ。
カルチャーショックを受けて、すぐに望郷の念を抱くが、魔法士として立派になるまでは帰れない。グラン○ラインは途中では引き返せないのだ。
必死で勉学とレベル上げを頑張った。
時には涙を流す事もある。
だが、ファーガソンはある趣味を持っていた。
彼は歌が好きだったのだ。
トンカチ一つで音まで出せる。
魔法国の流行りの音楽を聴いている時は、
寂しさを忘れられたのである。ヨーホッホ!
音楽を聞きながら、都会生活にも慣れた頃、魔王軍討伐隊で魔法士が不足している事と、祖国花畑王国からは一人も兵士を出していない事実を知る。
ファーガソンは真面目である。
世界中の国家が、国中から猛者を集めて、平和の為に魔王軍と戦っている中で、我が祖国の花畑王国だけは、責任放棄をしているのが許せなかった。
真面目なファーガソンは祖国を代表して恥ずかしくなったのだった。
因みにファーガソンは、
酒もタバコも女も博打もしない。
ファーガソンは魔法王国の王宮に直談判をした。
「是非とも私を花畑王国出身者として、魔王討伐隊に入れて下さい」
やがて願いが通じたのか、ファーガソンは、魔王討伐隊に入って、迷子マ○モ並の過酷なレベル上げにも耐えてみせた。
ユウトとファーガソンには唯一面白エピソードがある。
ある日、真面目すぎるファーガソンをユウトは呼び出した。
「ファーガソン! もっと肩の力を抜けよ! 遊びたい時は遊んでもいいんだよ」
しかし、ファーガソンは真顔で答える。
「いえ、私は遊んだ事などないですし、遊びたいと思ったこともありません」
「じゃあ面接をしよう! ファーガソンは、○○ピースを知ってますか?」
「いいえ、知りません」
「女のウソは?」
「許すのが男だ」
「恋はいつでも?」
「ハリケーン」
「奈落の底まで?」
「メロリンラブ」
「ファーガソンは、サ○ジを知ってますか?」
「いいえ、知りません」
「では、面接を終了します」
「クソお世話になりました!」
「カゼひくなよ」
ユウトは、ファーガソンとの面接のやり取りで、一様遊んではいるのだと安心した。
魔王討伐隊の仲間の中では真面目な勇者アダムと話があった。
「私は故郷で兵士になるのが夢だったんだ」
「私もだよ! 勇者アダム! 私は祖国花畑王国の王宮魔導士になるのが夢になったんだ」
実際に、ファーガソンは魔王討伐を果たして、生き残って故郷に帰った。
花畑王は、ファーガソンを英雄だと褒め称えて、王宮筆頭魔導士として重鎮になった。
ファーガソンは後進の育成にも入り、魔法士を教える教師にもなったのだった。
充実した日々を送るファーガソンの前に、
赤銅色の異形の者が現れた。
ファーガソンは、一発で新たな魔王だと解った。
ファーガソンは覚悟を決める。
自分が倒さなくては、花畑王国が滅ぶからだ。
「ホーリーレイ」
聖なる光線が赤銅色の異形の者に当たるが、赤銅色の異形の者はダメージを覚悟して、接近戦を挑んでくる。
ファーガソンは敵が突っ込んで来る度に、転移を繰り返して、避けつつ反撃する。
「ホーリーボール」
聖属性の球体が、着実にダメージを与える。しかし、赤銅色の異形の者は実直に、ファーガソンを追いかける。
幾たびの攻防の末、ファーガソンのMPが尽きてしまい、ファーガソンは赤銅色の異形の者の爪で串刺しになった。
「い・き・た・い」
そう言い残した後、
ファーガソンは死んだのであった。
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