闇の胎動
いよいよ第四章スタートです。
「い・き・た・い」
ピシャ〜!ゴロゴロ〜!
その日は大荒れで、雨も雷もひどく、
空が泣いている! そんな天気であった。
緑色の麦わら帽子を深く被り、杖を持った青年は静かに息を引き取った。
赤銅色の異形の者はカレの命を紡ぐと乱暴に捨て去った。
「さぁ歴史を変えようか...」
赤銅色の異形の者に続く者達は、新たな生誕を待ち望んでいた。
ある者は泣いて喜び、ある者は歓声をあげる。そこには狂気の集団が佇んでいた。
その日、歴史は動いた。
異形の者達は、次々と街に現れては、
住民を惨殺し続けたのだ。
「まさか...」
しかし、気づいた時には時既に遅く、
その国の奥深くまで侵入していた。
「伝令兵!! 隣国に伝えろ...」
ボトり!! 指示を出そうとした将官は容易く首を刎ねられた。
そう!! 既に時は遅すぎたのだ...
人々は弱肉強食の掟に従い、奪われてしまう。故郷も肉親も国さえも...
道端に置き去りにされた人形は、人や異形の者達に踏まれては、中から綿を撒き散らしていく...
赤銅色の異形の者は、首魁なのであろう。
脇目もふらず、王城へと乗り込む。
「おのれ...ここから一歩も通すな〜」
城備兵達がどんどん出て来て城への侵入を拒むが、赤銅色の異形の者は嗤いながら、まるでダンスを踊るかの如く、舞いながら爪で首を刎ねていく。
「ーー人間が一番輝くのは、噴水を撒き散らす正にこの時だな!」
赤銅色の異形の者は、
異様な笑みを浮かべながら、
素早い動きで兵を殺しては、着実に王の間へと突き進んでいく...
そしてしばらくすると、城には雷の轟く音しかしなくなった。
その国に古くから加護を与えていた神は、一言呟きながら天界へと帰っていく。
「ーーーーーーすまない」
その言葉にはどれだけの思いが詰まっていただろうか? 国が起こる時から付き添い、栄枯盛衰の全てを見てきたのだ...
一筋の涙を垂らし、神は振り返らず天界へ帰っていく。
赤銅色の異形の者は、天に向けて拳を掲げて誓う
「ーー我の時代の到来である」
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