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第9話 そろそろ陸を離れようと思う。

港に着くと船がたくさん並んでいた。


「どの船に乗ったほうがいいと思う?」

「そうね。私は一番安いほうがいいと思う」


安いやつか。


「なら、あれですね」


エリカは少し小さい船を指差した。


「確かにあれがいいかもしれないわね。よし、あれにするわ」


「ちなみにお金っていくらかかるか知ってるのか?」

「確か、銀貨二枚ね」


見ただけでわかるとかすげえな。


「おじさん、これに乗りたいんだけど」


ライカは船員らしき人に話しかけた。


「え、ああ、わかった。銀貨二枚な」

「ああ、とりあえず、先に払うか」


俺はエリカから、銀貨二枚を貰うとその人に払った。


「毎度あり、じゃあ、俺が運転して行きたいところまで連れてってやるよ。どこに行きたい」

「俺たち、アルクスカに行きたいんだけど」

「あ、アルクスカ!?」


するとその場にいた全員が俺たちのほうを向いた。


「アルクスカって魔王がいる国だろ?そんなところ行って何するんだよ?」

「理由は一つしかないだろ。魔王を倒しに行くんだ」


すると俺の全身を見て、


「やめたほうがいいと思うが……」


「お前、俺が弱いと思ってんだろ?見た目で判断するのはよくない」

「た、確かにそうだけど」

「とにかく俺たちはそこに向かいたいんだ」


そう言うと俺たちは船に乗った。


「あれ、運転してくれるんじゃないのか?」

「そ、そんな魔王がいるところになんて行きたくねえよ」

「大丈夫だって。あんたはアルクスカの手前で止まるんだから」

「でも、俺はあんたたちをおいていくわけにはいかないから、ずっと待ってなきゃいけないんだぞ?」

「そうか………じゃあ、防御力があるエリカがこの人を守ってくれ」

「は、はい。わかりました」

「守られるから危険な目にはあわないし、いいだろ?」

「………そうだな。わかった。アルクスカまで送ってやるよ」

「決まりだな」


するとその人は船に乗った。


「じゃあ、運転は頼んだよ」


船員はハンドルがあるところに行くと、下にあるレバーを引いた。

すると、船が少しずつ動きだした。


時間が経って後ろを見ると、もう陸は見えなくなっていた。

まだ少ししか経ってないはずだが。


どうやら、遅く見えて結構速いんだな。

ハンドルを回すとその方向に向きが変わって進んだ。


「北がどこかわかるのか?」

「当たり前だろ。俺は歩く方位磁針と言われてるからな」

「へ、へえ~」


そんな変なあだ名をよくドヤ顔で言えるな。


「ま、ちゃんとそこまで行けよ?」

「わかってるって。本当は行きたくないけど」


俺たちはドアを開けて部屋に中に入った。

なんかホテルの室内みたいだな。

つっても、小さい部屋だが。

ベッドが二つあり、真ん中の空いたところには、引き出しがあった。その上には、電気が設置されていた。


そして、椅子が四個、雑に置かれていた。

その椅子を窓に近づけて座る。

なぜ窓のそばに置いたかというと、窓の外の光景を見ながら座りたいからだ。

三人はベッドの上に座った。


「なあ、アルクスカまではどのくらいで着くんだ?」

「この調子だと、二十日くらいだな」


二十日か。

食料とかは足りるのか?

まあ、それは釣りとかをすれば大丈夫か。



「ベッドは二つあるから、一つのベッドに二人が寝ればいいか」

「「「えぇ!?」」」

「な、なんだよ」


すると、三人は顔を合わせて何かこそこそ話をしていた。


「?お前等、どうした?こそこそと話しをして」


「ライカ殿とエリカ殿は姉妹で仲良しだから、一緒に寝るといいでござるよ。そして拙者は仕方ないから輝殿と寝るでござる」

「いやいや、遠慮しなくていいわ。エリカとコウヤは仲を深めるために一緒に寝てなさい。私がニシカタと寝るから」

「いやいや、お姉ちゃんはきつい性格だから早く仲良くなるためにコウヤさんと一緒に寝てください。だから、私がニシカタくんと寝ます」

「だったら喧嘩になるから、あんたたち二人で寝なさいよ!私はニシカタと寝るから」

「仲がいい人と寝ればいいでござるから、やっぱり姉妹仲良く寝て、拙者が輝殿と寝るでござる」

「いーあ、私が」

「いえ、私が」

「いや、拙者が」


「「「ぐぬぬぬぬ」」」


三人は顔を合わせて睨めあった。

なんで喧嘩してんだ?


「落ち着けお前等。なんで喧嘩になってんだ?」


「ニシカタは誰と寝たいの?」

「え?正直誰とでもいいんだけど」

「はっきりしないわね」

「悪かったな」


「本当になんでそんなに俺と寝たいんだよ?毎日違うやつと寝ればいいだろ」

「そうすれば解決ね」

「順番はどうしますか?」

「じゃあ、一番最近仲間に加わった美月からにするか」

「やったーでござる!」

「ぐぬぬ、じゃあ、次は誰にするのよ」

「そうだな。じゃあ、二人だとエリカのほうが年下だから、次はエリカにする」

「まさか、あんたにそんな趣味が」

「ろ、ロリコンじゃねえし!」


「とにかく、お前は三番目だ」


するとがっかりしたような表情をして座り込んだ。


「そうがっかりするなよ。明後日には寝れるんだから」

「そ、そうね」



窓の外を見ると気づいたら夜になっていた。

短いように感じて結構長かったんだな。

いったい何時間喧嘩してたんだよ、こいつら。


俺は腕にはめていた時計を見て何時か確かめた。

今は十時か。

てか、この時計ってこの世界の時間とあってるのか?

すると、腕時計をジーッと見つめていたエリカが、


「なんですか?それ」

「え、時計だけど」

「時計?それが?」

「え!?もしかして時計のこと知らないのか?」

「いや、時計は知ってるんだけどそんな小さくないぞ」


この世界は掛け時計しかないのか。


「普通はもっと、でかくてずっと掛けてあるのよ」


「これは腕にはめる時計で腕時計っていうんだ。これはいつでもどこでも何時か確かめることができるんだ」

「へぇ~、ニシカタくんの国は発想が凄いですね」


時計はあるのに、腕時計はないのか。


……やっぱり、この世界のことはまだよくわからないな。


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