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第7話 この世界は侍もいるらしい。

「そういえばお前等って魔法が使えるんだろ?」

「そうだけど、何?」

「攻撃とかできるのか?」

「できるわよ」

「じゃあ、属性はなんだ?」

「私は風と氷と雷の三つの属性が使えるわ」

「てことは、お前は珍しい人種ってことか」

「なんか嫌な言い方ね」


「エリカは?」

「私は水が使えます」

「水だけなのか?」

「だけと言ってますが、それが普通です」

「あ、そうだったな」


「でも、私は水以外にスキル結界や回復が使えます」



「そのスキルってどうやって手に入れるんだ?」

「修行したり魔物を倒したりすると、得られるのよ」


修行?確かにあの女神もそんなこと言ってたような。

めんどくせえ。


「まあ、俺強いし、防御とか回復はエリカに任せてもらうからな」

「はい、わかりました」


ライカは魔術師でエリカは僧侶的ポジションかな。


「それにしても、なんでその二つだけが特化してんだ?」

「今まで、防御力と回復力だけのレベルを上げてましたから」


傷つきたくないのか?


「他には使えないのか?」

「一応、アイテムボックスとか使えます。少ししか収納できませんが」


アイテムボックス……空間に収納できるスキルか。

たくさんアイテムを持ってるときに便利かもな。



「じゃあ、こことはおさらばだな」

「鎧とかは買わないのか?」

「買うわけないだろ?エリカがいるし、俺も強いんだし。そんなん買うんだったら。フィギュア買ってるわ」

「フィギュア?」

「いや、なんでもない」



「そういえばさあ、魔王ってどこにいるんだ?」

「え、知らないで魔王を倒しに行こうとしてたの!?」

「わ、悪いかよ!」

「はあ、わかったわ、教えてあげる」


あげるって偉そうだな。


「まず、魔王はこの陸にはいない」

「まあ、それはなんとなくわかる」


「じゃあ、どこにいるんだ?」

「ここから北にある、魔物と魔人だけがいる大陸があるのよ。その大陸に魔王がいる。その大陸の名はアルクスカ」

「それだけ聞くと、その大陸は魔界だな」

「ちなみに魔王が、たくさんの魔物や魔獣を生み出しているわ。魔人は魔王についてきたとかじゃないかしら。知らないけど」


知らないなら言うな。



「北か。わかった。じゃあ、船かなんかでまずはこの陸から離れるか」

「船は港のところにあるから、そこに行きましょう」


「そうだな。じゃあ案内してくれ」

「「え?」」

「え?ってなんだよ」

「港がどこにあるかも知らないの!?」

「港どころか街並みもさっぱりわからん」

「そんな堂々と言うんじゃないよ」


「あんた本当にエグルカの人?」

「エグルカ?」

「この国の名前よ」

「いや、俺ここの出身じゃねえし」

「え?じゃあどこですか?」

「日本」

「二ホン……聞いたことないわね」


だろうな。

だってこの世界には存在しないからな。


「二ホンですか。いい名前ですね。いつか行ってみたいです」

「それは絶対無理だろうな」

「え、なんでですか?」


「あ、いや、なんでもない。今のはなし」


危ない危ない。

俺が別の世界から来たと言ったら頭おかしい奴と思われるからな。

それを言わないために余計なことは言わないほうがいいな。


「じゃあ、港のところまで案内してくれ」

「しょうがないわね。まずは、この国を出ないと」


俺は二人に案内してもらいながら、壁の門のところに向かった。


その途中の道に人だかりができていた。

なんか中心が空いてるな。野次馬か?


「なんだ?」

「行ってみましょう」


俺たちは人だかりのところに行って、みんなが何を見てるのかを確かめた。

するとそこには、着物を着た女とごついおっさんの二人が対面していたところだった。

何してんだ?あの二人。

それにしてもあの女の人、可愛いな。

遠くでもわかるまつ毛の長さに、いい匂いがしそうな黒髪のロングヘアー、透き通るように白い艶やかな肌、どこを見ても悪いところがまったくない。

一言で表すなら、うん、可愛い。


「さっき拙者をバカにしてでござるな?」

「ああ?だってそうだろ。変な服着て」


喧嘩か?

すると女の人が、腰に差していた刀を抜いた。


「なんだ、やる気か?」

「売られた喧嘩は買うでござる」

「ほう、買ったことを後悔させてやるよ」


「おう、やれやれ」

「俺たちを盛り上げてくれよ」


何やってんだ、こいつら。

止めようとしないのか?

仕方ない、俺が止めてやる。


俺は二人の間に割って入った。


「何があったか知らんけど、争うのはよくないって」

「なんだ、お前?お前も俺の相手してくれるのか?」


そう言いながらおっさんは俺に殴りかかってきた。

俺はすかさず避けて剣を振る。


すると斬撃が飛んだ。

通り過ぎると、おっさんの頬から血が垂れた。



「う、うわああああぁぁぁぁ!」


「な、何をする!争いはよくなかったんじゃなかったのかよ」

「これは正当防衛だ。だからいいんだよ」

「な、なんだよ、それ」


すると、俺のことが怖くなったのか、そのおっさんは逃げていった。


この剣、強いな。

多分、俺のチート能力でもっと強くなってるんだろう。


なんかさっきのおっさんが可哀そうに思えてきた。



大怪我にならなくて本当によかった。

負傷者を出さないために割って入ったのに、俺が負傷者を出してどうするんだよ。

そんなことを考えてると、着物を着た女が話しかけてきた。


「助かったでござる」

「ん?ああ、俺が勝手にしたことだから気にしなくていいよ」


それにしても刀といい、着物といい、この人日本人なのか?


「あの、ちょっと聞いていいか?」

「なんでござる?」

「君ってさ、日本人?」

「二ホン?それってなんでござる?」


あ、違うのか。


この世界には着物とか刀も存在するのか。


「それでは、拙者はもう行くでござる」


女の人は振り返って歩くと、いきなり倒れてしまった。


「どうした!」


俺たちは女の人のところに駆け寄った。


「ぐう~~~~~」


するとお腹の鳴るような音が響き渡った。


「お腹が空いて倒れたようですね」

「なんだ、脅かすなよ。ひやひやしたじゃねえか」


「とりあえず、近くの、飲食店に向かうか」


俺は女の人を背負ってライカたちと飲食店に向かった。



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