第3話 女の子と同居します。
近くまで来ると話が聞こえた。
「やめてください」
「そう言うなよ。俺たちと大人の階段上ろうぜ」
なるほど、状況は掴めた。
助けるか。
俺はそいつらのところに行った。
「おい、何してんだ!」
「あぁ?誰だ、てめえ」
「いずれ英雄になる者だ」
「た、助けてください」
二人いたのか。
「英雄?お前みたいなへなちょこにそんな者になれるわけないだろ」
「見た目で判断するな」
「ほう、じゃあ、俺たちで試してみようか!」
するとその一人が殴り掛かってきた。
すげえ、遅く感じる、さすがチート。
俺はその攻撃を避けると、頭を殴って倒した。
「貴様!」
後の二人も一気にかかってきた。
俺は手を掴んで振り飛ばした。
もう一人は、避けて膝で顔面を蹴りつけた。
「く、クソ」
そう吐き捨てて三人は逃げた。
「大丈夫か?」
「はい、あのありがとうございました」
か、可愛い。
やばい、目が胸にいってしまう。
この人、胸が小さいけど、俺、貧乳派だから、この胸好きなんだよな。
でも、みたら嫌だよな。
でも、ちょっとだけなら、
俺はその人の胸をチラッと見た。
見てしまうのは、仕方ない。
これが男なのだ。
「あんた、強いわね」
「え、ああ、鍛えてたからな」
咄嗟に嘘をつく。
神から力を貰ったとか言っても頭おかしい奴としか思われないだろうし、そう言うしかないよな。
「何かお礼を」
「いいってそんなの。俺が勝手にやっただけだから」
「でも、それじゃ私たちの心は満たされません」
いい子だな。
「そうだな。そういえば俺、お金もなければ住む家もないんだよな」
「そうなんですか?」
「今までどうやって生きてきたのよ」
「じゃあ、私たちの家で暮らしますか?」
「え、いいのか?」
「はい、ほんのお礼です」
やった。こんな可愛い子たちと暮らせるなんて幸せ以外のなんでもない。
「いや~、助かるよ」
「じゃあ、家に帰りましょうか」
「そうね」
俺は二人についていった。
この二人、少し顔が似てるな。姉妹なのか?
一人はピンク色の腰あたりまであるロングツインテールで、もう一人は水色のショートヘアの髪型をしていた。
二人ともよく似合ってる。
多分、ツインテールの方が姉なんだろう。
しかもこいつ、なんかツンデレっぽい見た目だな。
ショートヘアの子は大人しめな感じかな?
そうだ、鑑定してみよう。
―――――
ライカ・エルクスカ
女
―――――
―――――
エリカ・エルクスカ
女
―――――
やっぱり姉妹か。
「そういえば、あんたの名前ってなに?」
「西加 輝だ」
「ニシカタ・アキラ、変な名前ね」
「し、失礼な。後、ニシカタじゃなくて西加だよ」
「わ、私はいいと思いますよ。ニシカタくん」
「だから、ニシカタだって」
「す、すいません」
「君は優しいね。ほら、お前も少しは見習え」
「うっさいわね」
「じゃあ、君たちの名前は?」
一応聞いた方がいいだろう。
名前教えてないのに知ってたら何か勘違いされそうだし。
「私は、ライカ・エラクスカよ」
「私は、エリカ・エラクスカです」
「ライカにエリカか。よし、覚えた」
自己紹介が終わると同時に、着いたようだ。
「ここよ」
何かの店なのか?
中に入ると、机と椅子がたくさんあった。
喫茶店か。
「いらっしゃい。あ、お帰り」
カウンターにいた人が声をかけた。
この人も家族なのか?
「その方は?」
「男に絡まれてるところを助けてもらったのよ」
「あら、何?好きになっちゃったの?」
ライカの耳で何かを呟く。
「な、何言ってんの?そんなわけないでしょ!」
ライカは顔を赤くしながら言った。
エリカも顔が真っ赤になっている。
「この人は家がないって言うから私たちの家に住むってことになったのよ」
「へえ~、好きだ――」
「だから違うって!」
ニヤニヤしながら何かを言うとライカが遮るように言った。
「君、名前は?」
「西加 輝だ」
「ニシカタくんね」
「西加です」
なんでみんなニシカタって言うんだろ。
そういえば、この世界に来る前もそう呼ばれてたな。