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学園英雄記譚 - Lenas (レナス)-  作者: 亜未来 菱人
ライフサーガ編
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第九十四話 神々の遺産『時空石』

前回のあらすじ



岬を救う為、ペンダントの存在を思い出し手にした香川。


彼の記憶が呼び覚まされる。


そして、時は再び館に戻り…

(ここは…あぁ、思い出した)



少しの間、気を失っていた岬は、自身の体を確かめる。



(怪我はない…だが)



まるで宇宙空間を漂うかのように無重力の闇の中をふわふわと漂っていた。



(む?)



視界の端に、レナス特有のシステムメッセージが赤く明滅している。



「(緊急防護フィールド発動中。フィールド外に生存する為の酸素濃度が不足。あと五分で補充酸素が無くなります)」



(ここが次元の狭間…あともって五分か…)



岬の心は死を間近に迎え、不思議と穏やかであった。



(皆、すまん。私が至らないばかりに…)



岬の視界…闇の中に走馬灯の如く、過去の記憶のような映像が現れた。



(あぁ、あれは神楽がアイスをせがんでいるところだな。あそこに見えるのは授業中に英語の問題を当てられ、慌てふためく神楽だ。懐かしい、学生の時の記憶か。ん? あの生徒は確か…執行部の須藤の弟? ……な、何故だ? この光景は私の記憶にはないぞ)



先程見た映像の一部には岬の知らない光景があった。



(いや、これは記憶ではない! 私がいた世界とは違う世界か!)



映像は楽しく笑いながら過ごす充之や神楽、響子をはじめとした生徒会メンバー、それに岬自身もいた。



彼は神楽に付き添い、スーパーの買い物袋を抱えて歩いている。



時折、神楽の腕に抱かれた赤ん坊をあやしながら。



時間の平行線において、岬が生きてきた世界とは違う似通った世界が存在していると何かの書物で読んだ事があった。



(あぁ、そんな世界もあったというのか。私でない私よ。代わって幸せになってくれよ)



岬はまぶたを閉じた。しかし、暗闇の中でも赤い明滅は続いている。



残り時間、三分。







香川に渡されたペンダントを受け取ったアスタロトは、その輝きに我が目を疑った。



「これは時空石じくうせきじゃないかっ!」



「時空石? 聞いた事ない宝石の名前ですわね。…あーちゃん?」



響子に揺り動かさるまで、本物のフランス人形の如く固まっていたアスタロト。



「響子、これはね、失われた技術で創られた知恵の結晶よ。我々祖先…神々の遺産」



「はぁ? んだよ、それ? こんな石っころがか?」



いまいち関心のなさそうな立石を無視し、再び話し出す。



「この小さな石の中に、遥かに密度の濃い時間と空間が込められててね。例えていうなら、この石ひとつには銀河系全体が収まる程の空間がある。そこに膨大な魔力が封じ込められているんだよ」



「銀河系がまるごとだって! ちょっとしたSF映画か何かかよっ!」



事の重大さに気付く一同。



「私も古代魔法書の文献にその存在を知った程度で、実物は初めてみる。岬はこれをどこで?」



「確か、神楽先輩が岬さんにくれた物だ。神楽先輩の母親が考古学者で、以前エジプトの王家の谷で発掘調査を行った際に見つけたらしい」



眩くペンダントは皆の視線を浴び、更に輝きを増したかのようであった。



「それより、早く岬さんを。時間がないのではないか!?」



焦る香川に揺さぶられてアスタロトは首をかくかくと揺らした。



「あわわ…慌てるな。しかし、これを使うのはちと惜しいわね。なんせ、岬と時空石を逆転移させるのだからね」



「と言うことは?」



「岬を呼び戻す代わりに、この石が次元の狭間に行く…が、それでも…」



一人一人が意見を出すまでもない。皆が一斉に口を揃えた。



「構わない!」



「そうか。この石さえあればこの世の理は全て解けるというのに。たかが人間一人にねぇ…まぁ、いいわ。やりましょうか」



アスタロトが両手でペンダント…時空石を包み込み、頭上に掲げる。



「古代の神々の叡智をお借りする。我、アスタロトの名において時の神クロノスよ、その力暫し我に貸し与えよ」



アスタロトの周囲にまばゆい光と風が交差する。フランス人形の髪が逆立ち、スカートがめくれあがる。



ゆっくりと両手を開くと、ペンダントはその光と風に導かれるように空中に停止した。



「出でよ、失われし時空を超え、我が前に!」



「うわっ!」



ペンダントを中心に激しい光の爆発が起きる。だが、痛みや熱さは感じられない。逆にそれは心地良さ、幼き頃に母に抱かれた赤ん坊のような温もりをその場にいる全ての者に与えた。



光が薄れてゆく。人影が見える。



「あ、あれはっ!」



一番視力の良い立石が声を上げた。



「え…キャッ!」



沢村が顔を覆った。



光のもやがなくなり、片膝をついて聖剣エクスカリバーを手にした岬が顔をあげた。



「みんなっ! 無事だったのかっ! ん、あれは東雲か? 髪が白いが…」



しかし、皆の反応は岬の意に反して冷たいものだった。



「どうしたみんなっ! まさかサタンの精神攻撃に!?」



その時、背中にふと違和感を感じる。



「あ!?」



「むにゃむにゃ……あ、あれ? 岬? あんたなんでこんなとこにいんの?」



そこには眠そう目をこする下着姿の神楽が張り付いていた。



彼女の胸元にはペンダントが赤く輝いていた。


岬の救出に成功する一同。


だが、何故か現実世界にいるはずの神楽が下着姿で岬と共に現れた。


岬の運命やいかに?(笑



次回、時空石の秘密



今回もご覧頂き、ありがとうございました。


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