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学園英雄記譚 - Lenas (レナス)-  作者: 亜未来 菱人
ライフサーガ編
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さらば、ライフサーガ 解明と……編 前編

前回のあらすじ



家族の元に帰る団子。


彼女の目に映る現実世界は希望に満ちていた事だろう。



そして、次の帰還者へ……

「おらおらぁ! 行くぜぇ」



虎柄のパンツに革ジャンを着込んだ派手な格好をした大柄な男が拳を振り上げる。



「わたし、絶対負けないよ!」



男の向かいには魔法少女のコスプレをした少女がステッキを振りかざす。



通行人や彼女達を取り巻くギャラリーは誰一人止めようともしない。



幼い子供に殴りかかる大男。誰もが目をつむりたくなる光景。



「おらあっ!」



「くらいなさい! シャイニングデスカウンター!」



だが、次の瞬間、男は自分の背丈の五倍ほどの距離を吹っ飛ばされ、見えない壁に激突。そのまま、地面にずり落ちた。



「ミキミキWin!」



実況を行っていた渋い男の声が彼女の勝利を高らかに宣言した。



「う……ゲージMAXからのフルカウンター……」



「はい、僕の勝ちです。これで十八勝と零敗。まだやります?」



解明と円は、ライフサーガ内にあるゲームセンターで格闘ゲームを楽しんでいた。



いや、解明こそは楽しんでいたが、円にとっては真剣勝負であった。自称天才ゲーマーの自分が得意とする格闘ゲームで一勝も出来ないなど信じられなかった。



その時、入り口から聞き覚えのある声がした。



「あんた達! そろそろゲートが閉まるらしいから、早く戻って来なさいよ」



神楽の声であった。



「すぐ、戻りますよー!」



解明は返事をすると、円の頭をポンと叩いた。



「というわけで、しゅうりょー!」



「くっそ! おじんがぁ~! 元の世界に帰ったら、絶対負かしてやるんだから」



「子供がそんな汚ない言葉使わない。ほら、帰るよ」



二人は連れだって店を出た。



「こんなにいっぱい可愛いミキミキグッズがあるというのに、ゲーム内アイテムだから持って帰れないなんて。あまりにも酷すぎますわ」



遅れて店の奥から出てきたのは、クレーンゲームでゲットした魔法少女ミキミキグッズを両手に抱えた響子であった。





魔方陣の小屋の入り口には、相変わらずオセとアスタロトが立っている。



解明と円は入り口の前に立ち止まる。



「一人ずつ……でしたよね」



「そうね。どちらから入る?」



駄菓子屋で手持ちのお小遣いで買えるお菓子を決めあぐねているような顔をしていた円を見て、解明はふっと微笑する。



「僕が先に行きますよ」



背後から、神楽や岬達が手を振って見送っている。



「解明さん、今回はあなたのおかげで助けられました。我々一同、心から感謝します。ありがとうございました!」



ぺこっと軽くお辞儀をした解明は、再び小屋に向き直る。



「円ちゃん、先に行くよ」



「ふん! もっと腕磨いて待ってなさい! ケチョンケチョンにしてやるんだから!」



「いつでも待ってるよ」



彼は屈託なく笑い、小屋の奥へと消えて行った。






「神楽。解明さんには話しておくべきだったんじゃないか?」



「いや、勝手にこちらで決めちゃうのもどうかなぁ……ってね。彼の父親が源内さんらしいから、帰って聞いてみるわ」



岬は源内という人物を知らない。歴史的な人物という上での知識はあるが、いまだに存命している事に最初は驚きを隠せなかった。



「しかし、お前がその……源内さんに引け目を感じるなんて、相当な人物なんだな」



「そりゃ、もう。普段から能面のような顔をしてるし、美味い話で人を煙にまくのよ」



能面、美味い……飯の話。あながち間違いではなかった。





「さて、次はあたしの番ね。みんな、英雄を讃えなさい……って、えぇぇぇ!?」



彼女が振り向いた先には、既に神楽と岬の姿はなかった。



「うっわぁ。シケるぅ。ま、慣れてるからいいけど」



円は開き直る。



「(アスタロト……円の姿は彼女達には……)」



「(そのようね。あの男だけが特別だったみたい。彼女達は円がやってのけた魔法も貴方が行った事だと信じてるわ)」



当然の事ながら、二人の会話は円には届かない。



「じゃあ、オセさん。アスタロトさん。あたし、行くわ」



小屋に入ろうとした円の腕をオセの太く逞しい腕が掴む。



「待て……なぁ、円。悪魔っていうのも案外良いと思わないか?」



「オセっ!」



アスタロトに叱咤され、オセは我に帰って手をはなした。



「悪魔ぁ? やだよ、人間が一番だよ。美味しいお菓子食べれて、ゲームできればそれがあたしの幸福(しあわせ)だから」



「そうか……それもそうだな……」



オセはがっくりと肩を落とす。彼女には何故オセが今さらそんな質問をしたのか、それが分からない。



「待ちなさい」



アスタロトは再び小屋に入ろうとする彼女に声を掛けた。振り向く円。



「円、今から貴女には二つの選択肢が与えられるわ。どちらを選ぶかは貴女次第。よく、考えて答えなさい」



「ん? 分かった」



彼女は笑顔で手を振り、魔方陣へと足を踏み入れるのだった。






カイザル武闘大会で活躍し世界を救った立役者の一人である解明も、この世界(ライフサーガ)を後にした。



そして、円。


彼女に与えられる二つの選択肢とは?



次回 さらば、ライフサーガ 解明と……編 後編



今回もご覧いただきありがとうございました。

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