第十四話 ハプニング
岬がビジョンを見ながら転送ルームに繋がるマイクを手に声を上げる。
「選ばれた四名の諸君。今回はあくまでも、未経験者のレベルアップミッションだ。立石、山県両名は二人のサポートにあたるように。決して無理はせず、いつでも帰還できる体制を確保したまえ」
「了解!」
「了解だぜ」
力強い言葉に岬は響子に転送の指示を出す。
「レナスシステムカウントダウンスタートですわ!」
充之と神楽はビジョンの向こうの千晶を見つめている。スピカの話だと向こうからメインシステムルームは見えないらしい。
「5…4…3…2…1…」
その時、
ドンッ!
突如、下から突き上げるような大きな揺れがメインシステムルーム内を揺らした。
「じ、地震か!?」
「キャッ!」
ルーム内の複数のランプが赤く点滅しemergencyの文字がビジョンに流れ、映像がチリチリとぶれている。立っていた響子はその場で尻餅をつき、充之は側にいたスピカを支えた。数秒間の間続いた地震がやがて収まるとランプは正常に戻った。
「状況を説明するのじゃ!」
すぐさま福井はレナスの管理システムに接続し、状況把握を試みた。
「システム再構築中…復帰までの時間を計算中」
「む。おい、システムに異常がないか確認するのじゃ」
「は、はいっ!」
システムの状態確認を行う。
「レナスメインシステムルーム…グリーン復旧完了
通信システム…グリーン復旧完了
転送システム…イエロー。一部エラーが発生していますっ!」
微かに転送ルームから怒鳴り声が聞こえて来る。
「おい! みんなどこ行きやがった! オレだけ置いて行くなよっ!」
四分割ビジョンでは転送ルーム内を見渡す『ひとつ』を除き、転送中の黄色い文字が点滅していた。




