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学園英雄記譚 - Lenas (レナス)-  作者: 亜未来 菱人
ライフサーガ編
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第百三十五話 本戦に向けて その1「舌戦」

前回のあらすじ



敗者復活戦を終え、再び地上に戻った神楽を待っていたのは多くのプレーヤー達の祝福であった。


一時の平和な時間が過ぎてゆく。


しかし、大会はまだ始まったばかりである。

「波乱の敗者復活戦でした。この結果により三名の選手が復活を果たしました。一人はシャイルさんの予想通り、圧倒的な強さで勝ち残った神楽選手。そして、前回優勝者の…えっと、平賀解明選手でしたね。最後にVの字切りが凄かったムラサキ選手。惜しくも散っていった四名の選手にも敬意を表します。では、クイズの続きを…」



実況の和康が2問目を読みあげようとした刹那、目の前のマイクが鷲掴みにされていた。



シャイルである。



「無礼を承知で女王にお尋ねしたい。今回の大会は由緒あるカイザルの一行事として行われているのか? はたまた、女王ご自身の余興として行われているのか?」



強い口調に、紫苑の眉がぴくりと動く。



「厄介な小娘だ。紫苑様、消しましょうか?」



フッ…と紫苑は微笑を漏らす。



「よいスカルビオ、捨て置け。それより、我が前にマイクを」



兵士の一人がおどおどとマイクを紫苑の前に差し出す。が、彼はマイクのコードをワイングラスに引っ掛けと倒してしまった。流れ落ちる真っ赤なワインが紫苑のドレスを濡らす。



「うひぃっ!!」



慌てふためき、後ろに尻餅を着いた兵士は死を覚悟した。



スカルビオの赤い眼光が兵士を捉える。女王の合図があればいつでも兵士を殺す準備は整っていた。



しかし、紫苑は一切兵士を見ず、ちらりと濡れたドレスを視線を送るなり直ぐ様マイクを手に取って話はじめた。



「武闘ギルド代表のシャイル殿の質問にお答えしよう。答えはいずれでもない。私はこのライフサーガの世界に革命を起こす。コンピューターに支配された世界を我々が住みやすい世界に変えたいのだ。その為に近い将来必要な人選と言えば理解してもらえるだろうか」



女王としてこの場で最も相応しい対応であった。



「だが、あのジャガミラはどうだ! あれを…」



紫苑は扇子をピシャリと肘掛けに打ち付けた。



「シャイル殿。私が用意するよう命じたのは魔獣キマイラである。悪戯に魔王を復活させ、将来に希望の光を照らそうとする者達を殺す理由がどこにある?」



「ぐっ!」



(お前が後々邪魔になりそうな者達を始末する為だ!)



己の命だけならば、いっそ全てを捨てて叫びたかった。しかし、今は自分の身勝手な発言で神楽達の作戦を不意にする事は出来なかった。



その時。



「異議ありっ!」



鋭い一声が舞台上から上がる。



(ナイトハルト!?)



声の主は赤光のナイトハルトこと、内藤であった。



内藤は女王に人差し指を突き付けて言う。



「女王の言葉が真実であるならば、大会を運営する王族または、貴族の中に第三者の介入を疑わざるを得ない。そして、我々プレーヤーはカイザル国自体を弾劾しなくてはならない。何故なら、この国に巣くう悪を討つことが我々プレーヤーの使命だからだ」



解明は眼鏡の縁を押し上げた。



(カイザル法七十二条。万が一、国が悪しき者に脅かされたならば、勇者プレーヤー達は国を守らなければならない…ですか。ふふふ、実に面白いですね)




「くっ」



紫苑は口を真一文字に結ぶ。



自身が言った言葉に嘘はない。ただ、スカルビオに任せたのも事実。



「紫苑様…」



流石のスカルビオも紫苑の行動や発言にけちをつける事は出来ない。そもそも、先程の内藤のまこと鮮やかな反論に対して彼は口出し出来ない立場である上、返す言葉が見当たらない。



「そこで私は提案する」



「!?」



紫苑は目を見開いた。窮地に陥った自分を内藤が助け船を出そうとしている事に驚きと違和感を覚えた。



(私を女王の座から引き摺り下ろす事が目的ではないのか?)



内藤は続ける。



「これから先は大会を続けたい者が残ればいい。その戦いの中で真実は見つかるだろう。だが、少しでも不信感を抱く者や家族や恋人の為に命を大切にしたい者は舞台から降りればいい。会場内にいるプレーヤーも全てだ。これは勇気云々とは一切関係ない」



岬は内藤の行動に理解を示していた。



一方、ちんぷんかんぷんな神楽はレナスの通信で岬に訊ねる。



「(どういう事なの?)」



「(内藤さんは被害を最小限に抑えようとしているんだろう。これから先の戦いは何が起こっても不思議ではないからな)」



「(なるへそ! 頭良いんだ)」



シリアスな表情を崩さず、内藤は答える。



「(これくらいの駆け引きが出来なければ、芸能事務所のマネージャーは務まりませんからね)」





紫苑は考える。内藤の狙いは何だ? と。



動揺から錯乱。頭を抱える女王をじっと見つめるスカルビオ。



その時、紫苑はふと思い出す。



(こちらには人質として捕らえた栞がいるではないか。内藤の目的が栞以外にあるとしても、いざ人質を盾にすれば勝機はある)



まだ、幾分自分が有利な立場にいる事に安堵し、姿勢を元に戻す。



「分かった。ナイトハルト、貴公の条件を飲もう」


内藤の策が見事にはまり、紫苑は参加者含め会場内のプレーヤー達の解放を認めた。



そして、神楽をはじめ残った者達は…



次回 本戦に向けて その2「運命の抽選」



今回もご覧頂き、ありがとうございました。

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