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学園英雄記譚 - Lenas (レナス)-  作者: 亜未来 菱人
酒呑童子討伐編
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第一話 はじまりの時

一人の男が言った。



「あの頃の『地球』に帰りたい」



と。





その深い山の中に堂はあった。


ここまで登って来るにはかなりの時間が経過している。昨晩、突如降りだした激しい風雨の中、道中の洞穴でやり過ごしたが最後の乾し飯も尽きていた為、青年は極度の空腹感に襲われていた。


(山鳥でも捕れればよかったのだが)


昨日まで背にあった矢筒は熊との格闘の途中、谷底に落としてしまった。得物は腰に佩刀している先祖が残してくれた刀一つである。


(かなり古びた堂だが手入れは行き届いているようだな)


所々泥にまみれているが、白地に青の着流し姿の青年は改めて周辺を見回した。長い年月を経て建てられたと思われるその堂は、柱の四方に蔦が絡みついている。だが、敷地は細かな白砂が敷き詰められており、常々何者かの手により管理されているらしい。


(本当にあるとは…)


この山に住む鬼が麓の村を襲い始めたのは3年前のこと。月に一度山から降りて来ては女、子供をさらってゆくという。村の若い衆が抵抗したが多くが殺された。噂を聞きつけ城からも討伐隊が訪れたが、山に登って行ったきり誰も帰って来なかったそうだ。

それきり、このような小さな村に侍を送るより月に一度村人が犠牲になる方が得策かと領主も考えたらしい。


たまたま、修行として腕試しに来てみたものの、猪や熊などの獣と遭遇し未だに鬼らしき物とは鉢合わせていない。山中を三日三晩歩きまわった時、村人の一人がこの堂の事を話してくれた事を思い出した。


(古くからの言い伝えで山中にある堂には山の守り神がいるそうな…か)


しかし、村人も足を踏みいれないこの地に人が住んでいるのだろうか。やや警戒しつつ堂に向かって一歩踏み出したその時、艶やかな長い黒髪で巫女服姿の少女が堂から顔を覗かせた。年の頃から十代半ばか。


(守り神? いや、人のようだが)


青年は敵意がないことを伝えるため、苦手な笑みを無理やり作って話しかけた。


「拙者、愛洲太郎久忠あいずたろうひさただと申す。修行中の身でこの山に登って来た者だ。突然の来訪御容赦いただきたい。ところでそなた、この堂に住んでおるのか。」


暫くの沈黙の後、少女の口から発せられた言葉は意外なものだった。


「あ、あのっ!ここはどこですかっ!」

ここまで、お読みいただきましてありがとうございます。


読みにくい点や疑問などございましたら、是非ご連絡ください。


長編になるかと思いますが、日々精進して参りますので続きも是非お付き合いください。


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