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姉妹対決

この作品はハーレムはありません。

基本的にヒロインは1人です。

ポイント評価。感想。ブクマお願いします

「さぁ、やって来ました、名誉ある戦い(ドュエルグランツ)新人戦2日目、今日もいい天気で、絶好の戦い日和になりそうですね。本日も実況は私、ステラ学園、2年のカスミと」


「解説は、俺。ステラ学園1年、シオンです」


ついに始まった、2日目。今日も観客達は大盛り上がりの様子。昨日の戦いだけでもかなり白熱していたのに、今日は一体どうなるのか。俺自身もとても楽しみでもある。それと同時にまだ残っている、妹達とルリ、そして、シューラの学年順位1位、美少年アンリの内誰が優勝するのか、予想が付かない。


ここで、アンリ選手についてちょっとだけ、解説をしようと思う。

アンリ選手の使う武器は剣だが、剣にも種類があって、アンリ選手が使うのは、細剣(レイピア)と呼ばれているもの。細剣(レイピア)は他の剣に比べて非常に軽く、素早い動きをする剣士にあった武器でもある。

アンリ選手は、水魔法の派生である、氷魔法も使っていて細剣(レイピア)の短所である、折れやすいと言う点を、付与魔法(エンチャント)を使い、折れにくくしている。


1回戦では、始めの合図と同時に、相手選手の足元を凍らせて、身動きの取れない所を仕留め。無傷で勝利し、ベスト8の試合では、その戦略を対策されていたが、氷魔法〈氷の槍(アイスランス)〉と素早い動きで相手を翻弄しながら、見事勝利を掴み取った。


さらに強さとは、あまり関係ないが、美少年である事で観客の女性達が、黄色い声援を絶やす事はなかった。

まぁ正直、俺達の年代では、群を抜いて強いと言ってもおかしくない、実力の持ち主だが。正直相手が悪いと思う。なぜならその相手は、魔王の娘のルリだからだ。

俺の恋人だから、贔屓をしてるとかそういう事は、一切なく。単純にルリが強すぎるからだ。


この話は、ここまでにして、今日の第1試合がもうそろそろ、始まろうとしている。

それと同時にカスミ先輩が、マイクに向かって話し始めた。


「ベスト4、第1試合。選手の登場です。第1試合から、圧倒的な力で勝ち抜いてきた。シャロ選手とキャロ選手です、この2人の選手のお兄さんである、シオン君、この試合はどうなると思う」


ノリに乗った実況で、選手紹介をしながら、俺に解説を求めてくるカスミ先輩。場の盛り上げ方などを心得ていて、この先輩のこういう所は、尊敬できる。

そして俺は、ありのままの解説をする。


「昔から2人の事は、見てきました。この大会でも明らかにヤバイのは、見てる人達もわかっていると思います。正直、この試合で有利なのは、キャロの方だと思いますね。なぜならキャロは、武器を使う戦闘を熟知いていて、今までは篭手を使った。格闘型でしたが、今回は槍。キャロが一番得意とする武器ですからね。対するシャロは、魔法を得意としてます。遠距離や範囲殲滅は、この大会で1番と言ってもいいでしょう、しかし、魔法使いの弱点でもありますが、間合いを詰められた時点で勝敗は、決するかもしれません」


俺は、兄として、どちらも応援しているが、解説した通り、いささかシャロの分が悪い。本来魔法を使うものは、前衛がいるからこそ、その力を最大限発揮できる。だけど今回は1対1の試合。守ってくれる前衛がいない状況で、どう動くのか非常に楽しみだ。


「シャロちゃん。今日は、負けないわ」


「私も負けないよ~」


キャロとシャロは、言葉を交えながら握手をして、戦闘開始位置に付く。

そして...


「では、始め!」


今試合の、合図が会場に響いた。

そこで、誰も予想しなかった展開になる。先に動いたのは()()()


「〔縮地〕、〔急所突き〕」


「あっぶなわ」


試合開始と同時に、キャロとの間合いを詰めて、正面から短剣で〈防壁〉を破壊しに行った。だが流石の超反応、槍の持つ部分でシャロの攻撃を受け止めた。

今までもシャロは、試合の時に、魔力の上がる杖ではなく、短剣を持っていた。だがそれは、本当に持っているだけで、2試合とも、強い魔法のごり押しで、勝負を決めていた。

そして今回の試合も、シャロは距離を取りつつ、魔法で戦うと予想していたのだが、ここに来て、短剣を使った接近戦に持ち込むとは、観客もそして俺も予想していなかった。


「逃がさないよ~」


「ッ!」


初手で決める事は、できなかったが。それでもシャロの攻撃は止まらない。短剣をリーチの短さを利用し、常にキャロの直ぐ近くにいる。対するキャロは、何度も距離を取り立て直そうとしているが、その度にシャロの魔法で魔法で妨害され、結果距離を取れず避ける事に専念している。


「これは、まさかに展開です。魔法を主軸に戦うと思われた、シャロ選手が、近接戦闘でキャロ選手を圧倒している」


「これは、キャロ選手の槍の持つ、長所を逆に利用した戦い方ですね。本来槍は、自分の間合いを作り、一定の距離を保つ事に長けていますが、あそこまで接近していると、思ったように振るえない。距離を取ろうとしても、魔法の妨害でそれを避ければ、接近されている。キャロ選手を完全に対策していますね」


「ッ!せい!」


「残念、そっちは偽者だよ~」


「しまっ!」


シャロの攻撃の一瞬の隙を見逃さず、槍を振るう。かなり無茶な一撃ではあったが、振るえること事態が、シャロの身体能力の高さを証明しているだろう。

だが、試合は完全にシャロのペース。キャロの槍が命中したと思いきや、それはシャロの魔法で作り出された偽者。本体はいつの間にか後ろに回り込んでいて、大きな隙を狙い勝負を決めに行った。


「嘘、〈障壁〉!」


「ギリギリ間に合ったわ」


不意を付いたシャロの攻撃は、完全に決まったと思われた。だがキャロは、間一髪のところで、ピンポイントに〈物理障壁〉を展開していて。この攻撃を防いだ。そして、油断したシャロを狙わず。安全に距離を取り、槍を構えなおした。


「なんと言う、ハイレベルな戦いでしょう。新人戦とは思えない戦いです」


「凄いですね、あの一瞬で裏を取り、攻撃したシャロ選手。不意を付かれたのに、ピンポイントで〈障壁〉を展開できたキャロ選手。観客の人も大盛り上がりですね」


ここまで、凄まじい速さで行われた戦闘について来れてなかった、観客だが、1度止まると、会場が歓声の嵐に包まれる。カスミ先輩の言ったとおり新人戦とは、思えないレベルの戦いが繰り広げられている。


「次の一手で決めるよ」


「そういう事は、言わない方がいいんじゃないかしら」


珍しく、シャロが語尾を伸ばさず、真剣な表情でキャロを観察している。今の戦闘を見せられれば、シャロの次の行動が、接近戦か魔法の遠距離戦か、予想する楽しみを、俺や観客たちに与えてくれる。


「行くよ!〈炎の弓(ファイヤーアロー)〉」


「甘いわ!」


またしても、先に動いたのはシャロだった。だが今度は、先に魔法を撃ち本人はその後ろから、近接攻撃をやろうとしてる。だが1度、体勢を立て直したキャロは、〈炎の弓(ファイヤーアロー)〉をなぎ払いで消し、シャロに正確な突きを繰り出した。だが、


「本体は、こっちだよ~」


「上ね!ウッ、まぶし」


本体だと思っていたシャロは、実は偽者、さっきと同じでこれは、土魔法の〈土人形〉。そこで本物と思われるシャロはいつの間にかキャロの真上に移動していた。咄嗟に上を見上げたキャロは太陽の日差しに目をやられて視界を奪われる。これは完全にシャロの作戦だ、そして、


パリン


〈防壁〉の割れる音がした。この戦いの勝者は()()()の方だった。

見てる者は呆然とした。そして戦っていたシャロは困惑していた。シャロの本体は勝敗が着くまで上にいると思われていた。しかし本当はキャロの背後にいたのだ。

キャロは視界を奪われ、その状態で上を警戒していたはずなのに、ノールックで槍の矛先は見事に後ろに突き出されていた。


「勝者、キャロ選手!!」


『マジか...』


『どうしてあの状態で勝てるんだよ!』


『今年の新人戦やば過ぎるだろ!』


審判の合図と共に、試合はベスト4第1試合は幕を閉じた、勝者キャロ、これで決勝進出が1人決まったのだ。観客の興奮度は上がりに上がりっぱなし。圧倒していたと思われてた、シャロを負かし、見事に勝利したキャロには盛大な拍手と歓声が送られ続けた。


「ねぇ、キャロちゃん~、どうして最後わかったの?」


「それわ、姉の勘ってやつよ。それとシャロちゃんと一緒に暮らしてきたから、読めたのもあるわ」


「そっか~、悔しいな~。でも応援してるよ。決勝も頑張ってね~」


「ありがとう、シャロちゃん」


最高な試合を見せた2人は、最後に握手をして会場から去って行った。最後の最後まで2人には盛大な拍手が送られ続ける。


そして次がベスト4、2試合目ルリ対アンリの試合になる。だが白熱しすぎたのもあってここで少し、休憩が設けられた。


「カスミ先輩、少し席空けますね」


「わかった。試合までには戻って来るんだぞ」


カスミ先輩に言って直ぐに、この会場を出る。そして会場から少し離れた、木陰のベンチに座る少女に歩み寄った。


「シャロ、試合お疲れさま」


「あっ、兄さん。惜しかったんだけど負けちゃった~」


俺に気が付いたシャロは、顔を上げて微笑む、しかしその目からは、涙がこぼれ出ていた。

それに気付いた、シャロは何度も目を擦り涙を止めようとした。


「あれ~、なんで...止まれないんだろう。なんで、涙が出るんだろ~」


「泣きたければ、泣いていいよ。シャロはよく頑張った。キャロに勝つために色々考えたんだよな。元々不利ではあったんだ、アレだけできたのは、凄い事だよ。誇っていいんだよ。でも悔しくて泣きたいなら、泣いていいんだよ」


「兄さん、グスッ、少しだけだから、本当に少しだけだから」


そう言いながら、俺に抱きついて、胸元でシャロは静かに泣いた。俺も優しく抱きしめて、頭を撫でたりして、この少しの時間を過ごしていた。

シャロ「兄さんありがと~、おかげで吹っ切れたよ」


シオン「それは、よかった。じゃあ俺は戻るからな」


シャロ「バイバ~イ」


シャロ(本当にありがとう、兄さん)

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