サタナス家
まずは謝罪です。1週間投稿できなくてすいませんでした。
色々予定があったり。体調を崩してしまい。投稿ができませんでした。
一応今週から、月曜日は定期更新、木曜日は不定期更新でやって行きたいと思います。
去年は23時更新でしたが。今年からは0時更新でやっていきます。
補足です。魔族の国の名称はイルミナ。
魔族の都市の名称はメシア
シュテルクストの人間が住む国。シオン達が住む国の名称はサウスです。
今回は魔王一家に焦点を当ててますが、ルリの父親に当たる人物は出てきません。存在はあります。出番がないだけです。
エンド村の付近の森、通称 古代森林。
古代森林を抜けると魔人たちが住む国が存在する。
国の名前は{イルミナ}ルリもそこの出身だった。
{イルミナ}の中央には{メシア}と呼ばれる魔族都市が存在し、そこに魔王城が存在する。
王都サブメラの城と同じぐらいの大きさで、魔王である、アイラ・サタナスも普段はそこ君臨している。
その日もアイラは、魔王の間の玉座に座り、書類の整理などを行ってたが、普段と違う事があった。それは…
「…」
「…」
魔王の間には普段いるはずない人物がアイラの様子を見ながら待っていた。だがその人物を気にすること無くアイラは作業を続ける。
「珍しいよな、母上から呼び出しなんて。なぁリリエル」
「そうだね、ローザお姉ちゃん」
魔王の間の外からローザと呼ばれる女性とリリエルと呼ばれる女の子の声が聞こえてくる。その声に気づきアイラは作業の手を止めた。
「母上。入るぞ」
「ママ、入るね」
そう言って、2人は大きな扉を同時に扉を開ける。そして同時に「「あ!」」と声を上げた。そこから先に動いたのはリリエルだった。
「ルリおね〜さま〜!!」
そう、アイラと一緒に魔王の間にいたのは、サブメラにいるはずのルリだった。
短い距離なのに風が起こるほどの速さで、飛びついて来たリリエルを、ふんわり受け止めて、頭を撫でてあげるルリ。こうして、魔王城に、魔王一家が集まった。
だが、今から始まるのは家族の楽しい団欒の時間などでは
ない。それを物語るように、アイラから放たれる魔王としての威圧が、場を支配した。
その雰囲気を肌で感じ、すぐに片膝をつき姿勢を正す3人。
「まずは、3人共集まってくれてありがとう。集まってもらったのは、ルリの事を話すため…単刀直入に言うわ、ルリは魔王としての力を覚醒させた。」
「「!!」」
ローザとリリエルは、視線を一瞬でルリの方に向ける。2人は、何となく雰囲気が違うことを察してはいたが、その事実に衝撃を受けている。
だがその事実は、衝撃から喜びに変わり。リリエルは抱きつき、ローザはルリの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「だけど話は、そこでは終わらないわ。むしろ本題はこっち。ルリの婚約についてよ」
アイラの言葉の瞬間、場が凍りついた。ルリは若干頬が緩み、それを見たリリエルが「イィ〜ヤァ〜」と自身のツイーテールをブンブン振り回しながら駄々をこねる。ローザは鋭い視線をルリに向けながら、リリエルの脳天にチョップを落とし落ち着かせる。
「それで母上、ルリの婚約候補ってどんなやつなんだ?」
「そうです、お母様!変な輩なら私がぶっ殺します!!」
「ルリの相手わね、サブメラに住む一般人で、名をシオン・フォールと言うわ」
その言葉に、リリエルは唖然となる。ローザは目を細め、さらに鋭い視線を送る。この2人は、魔族で魔王の娘であるからこそ。ルリの恋人、婚約候補が人間で、ただの一般人だと聞いて思うところがある。
特にリリエルは、長女であるローズの事を「お姉ちゃん」次女であるルリの事を「お姉様」と、言ってしまうぐらい、ルリ大好きっ子であるから、相手が人間であると知ると、殺意が湧いてくる。
だがその殺意も、次のアイラの一言によって、歓喜になる。
「ルリ、不思議よね。なぜこのタイミングでその話を持ち出したのか、この話は成人してからでも遅くない。そう思うわよね。ハッキリ言うわルリ、現状では、あなたとシオン君の婚約を認める気はないわ」
「ヨッシャー!!さすがお母様、分かってる!!」
「ちょっと、リリエル黙りなさい」
「あ、はい」
あまりの嬉しさに、魔王状態のアイラに何も臆さず、喜びを伝える。冷静に注意されても、リリエルはガッツポーズを止める様子はない。
この状態のアイラの前で、ここまで感情的になれるのは、魔族の国を探しても、いやシュテルクストを全てを探しても、ほとんど、いないであろう。良く言えばどんな威圧にも屈しない強靭なメンタル。悪く言えば、場を一切弁えない。リリエルはそんなおてんば娘なのだ。
だがここで、今まで黙っていたルリが立ち上がり、一瞬で〔魔王:覚醒状態〕を発動して、実の母であるアイラを睨みつける。この時横並びしていた、三姉妹だが、ローゼがアイラを守るように、ルリとアイラ間に入った。
おてんば娘は棒立ち。アイラに至っては、そんなルリの睨みも、何もなかったように振る舞う。
「どうして?どうして私とシオンの婚約を認めてくれないの?場合によっては…」
「おい、ルリそれ以上はやめた方がいい。いくらルリでも、私と母上の2人は相手できないだろ」
声を荒らげてはいないが、ルリの声は明らかに冷めきっている。それは、ルリが何をしでかすが想像がつくぐらいに、だからこそ、姉であるローゼは止めに入る。いくら家族であっても、魔王に攻撃を仕掛けるような罪は犯させない。
「あわわ、どうしよう。お姉様の味方に付きたいけど、今回は、お母様側に付いた方がいい気もするし」
今更ではあるが、リリエルはアイラを呼ぶ時、普段は「ママ」と、魔王状態の時は「お母様」と呼び分けている。そして一人あわあわする、おてんば娘。結局どちらにも付かず終始中立の立場にいる。
「ルリ。私はね、婚約は自由でいいと思うの、どんな種族でも、どんな性格の人でも。あなたが好きなら、それでいいと思うの。でもね、昔から言ってる事だけど、魔王の娘である、あなたは、そしてローゼもリリエルも自分と実力が同等の人と婚約しなさいと」
これが、魔王アイラの、そして母親の約束。ルリの婚約を認めない理由。魔王の娘である以上は、その肩書きを、持つ以上は、2人の実力にあまりの差がある事は許されない。
それは、どちらかが、片方に頼られ続けるのを防ぐため。
また、片方は圧倒的な実力を持つ者、もう一方は実力を持たない者、この場合の婚約は、仮に伴侶を失った場合、残された方は悲しみに明け暮れる。それをアイラは知ってるからこそ、実力が同等でなければ、許しは出さない。
その意図を理解してるから、リリエルとローゼは思ってしまった((シオンと呼ばれる少年は、ただ一般人なんだ))と。この2人は、過去シオンとアイラが模擬戦をしたことを知らない。そして実は学園順位でシオンが上にいる事も当然知らない。だから勘違いした。
ルリの事は、魔族なら知っている。13歳にして、ステータスSを持つ少女。類まれなる才能を持つ魔王の娘。何度も言おう、だからこそ勘違いした。
「いいルリ、今のあなたとシオン君だと、圧倒的にシオン君の方が強いわ、それもあなたが全力を出しても、シオン君は半分の力を出さないで勝てるぐらいに、それほどの実力差よ」
…
何秒間だろうか、魔王の間に静寂が訪れる。聞こえていて、分かっていても、理解できないその真実に。ローゼとリリエルは黙ってアイラを見る。ルリは察して〔魔王:覚醒状態〕を解いた。
「やっぱり、そういう事なんだ」
「う、嘘だろ、母上?勇者でもない、普通の人間がルリを凌駕するだって?」
「う、嘘だよね?!お姉様ほどの人が、たかが人間に負けるなんて!」
この2人も、姉妹だからこそ、ルリの実力は十分に理解している。だから贔屓でなく、冷静に実力を分析して、ルリが劣るなど、もっと言えばルリが圧倒されるなど想像もつかない。
「それで、お母様はどうすれば、私とシオンの婚約を認めてくれるの?」
ルリにとってシオンと婚約しないという、選択肢はない。その意思は母であり、魔王であるアイラに牙を向けるほど、この思いは、誰にも止められない。〔魔王:覚醒状態〕を解いたルリからでもその強い意思は、見て分る。
「そうね、あなたには圧倒的に実績が足りないわ、まず名前を残しなさい。手始めに、サウスで行われる。五大学園祭の新人戦で優勝しなさい」
そう言うとほぼ同時に、アイラも魔王状態を解く。一瞬にして先程までの張り詰めた空気がなくなる。その事に娘たちはホッと一息。
「分かったよお母さん、必ず優勝して認めてもらうから」
その言葉は力強く、その目には希望が宿っている。もはやルリは、誰にも止められない。そんな妹の成長にローザは「フッ」と笑い。リリエルは「殺す、とりあえず殺す」とシオンに殺意を向けていた。
リリエルも口では、怨み言を言ってるが、昔から心を閉ざしがちで、冷徹だったルリをここまで変えた、シオンに興味は湧く。興味を持つのはローザも同じ。
短い時間であったが、空気の張り詰めた話し合いは終り。その日1日は、久しぶりにルリもサタナス家でゆっくり過ごすのだった。
シオン「久々の投稿なのに俺、出番ないし、よく分からん殺意受けるしで、災難じゃね」
リリエル「お前を殺す、ここで今」
シオン「ネタに走るのは御法度だぜ、義妹ちゃん」
ローザ「なぁ、私も今回初登場だが、リリエルのキャラ濃すぎてあまり印象に残らんよな。どう思う義理弟?」
シオン「いや、あなたぐらい冷静な人が居てくれるのは、非常に助かる」
ルリ「シオン...2人に手を出したら戦争が始まるからね」
シオン「ほらこれだよ、やっぱ常識人は大事だよ」
キャロ、シャロ「「常識を持たない人が、どの口で言ってるんだか...」」




