取引
ここで奴隷の話しは、終了です。それとこれは夏休み編の延長の話ということに、変えます。
タン、タンと静かな足音だけが響く。壁の奥に隠された場所に入る俺達。
中は薄暗く部屋の扉までに少し道がある。てっきりあの扉の奥が部屋かと思ったら、また廊下だったのだ。
だが、その廊下は決して長いものではなく、ほとんど目と鼻の先だった。今度こそ部屋の扉だと思う、ドアに手を置き開けようとする。
「ちょっと待ってください」
突然後ろに居た、シュミルから声を掛けられた。薄暗い廊下でいきなり後ろから声、ちょっとドキッとしてしまう。
「いいですか、部屋に入ったら気をつけてください」
何故か怖い目つきで、注意を促して来る。今は、〈鑑定〉も〈索敵〉も使っていないから中の様子は分らないが、部屋には獣人が1人だけ居るのは、わかっている。
だが一応、心に留めながらゆっくりと扉を開いた。
部屋の中は廊下と同じで薄暗く、ベット付近にあるランプが1つ点いているだけ。家具がほとんどなく、ベットとランプ、後はクローゼットと、椅子だけのシンプルな部屋だった。
だけど、探している獣人は見つからない。
「上です!」
「ッ!?」
シュミルさんが大声で教えてくるが、天井から、それは、俺目掛けて襲い掛かってきた。
対応しようと思えば出来たが、そんな事せず、体で受け止める。
するとそれは、受け止められた事に驚いたのか、地面に着地し近距離で俺の事を見つめてくる。
「すいません、リアンは部屋に入って来た人を必ず襲うんですよ」
リアンと呼ばれる子は、見た目レオと同じぐらいの幼女だが、目に光がともってない。まるで死んでるような、その目は希望を知らない。まさにその様な目だった。
「どういて、よえなかたです?」
「??」
一瞬この子がなにを言いたいのか分らず、思わずシュミルさんの方を見てしまった。
するとシュミルさんがとんでもない事を言う。
「リアンは、まだ5歳なんです。私の調べではその子は、獣人王の娘、だったそうですが。スキル〔獣人の姫〕を持ってなかったらしく。捨てたとか。それで言葉をろくに覚えてられず、しっかりとは伝えられないんですよ。でも、さっきは、なぜ、避けなかったのかを尋ねてましたよ」
とんでもない要素のオンパレード、レオと見た目が似てるのにマジの幼女だし。獣人王の娘なのに捨てられて、挙句には奴隷にされるって。まぁシュミルさんはあくまで匿ってるっぽいけど。確かに捨てられたとはいえ、獣人王の娘がサブメラに居ることがばれれば、問題に発展するかもしれない。
俺が、1人で考え事をしてる間も、ジィ~と俺を見てくるリオンちゃん。目に光がないから怖い。
「さっきはね、俺なら耐えれると思ったから、受けた。それだけだよ」
そう言って、しゃがみ。リオンちゃんの頭を撫でてあげる。すると突然涙を流し、
「ぱぱ...」
と小さく呟いた。「いや、俺は」と少したじろぐが、そんな俺を離さないようにと、必死に抱きついてくる。仕方ない、小さい幼女に抱きつかれて、泣かれたら仕方ない。あぁ仕方ないな。
と心の中で、呪文のようにリピートした。
「シュミルさん、取引をしよう」
「はい?取引ですか?」
この状況に着いて来れてないシュミルさんは、まさか話し掛けられるとも思ってなかっただろう。素で聞き返してくる。
だがそんなシュミルさんは、無視して。俺は〈ディメンションバック〉を使い、中から布袋を取りだした。
「この中に、金貨が200枚入っている。これでリアンちゃんを買おう。もちろんこの事はアレス達には言わない」
「ほぉう」
「ちょ、シオン君!?」
俺からの取引に、シュミルさんは目を細めて。将太は目を見開いている。先ほどまで空気だった。黒ずくめ2人もざわめく。
「まぁ、聞けよ将太。俺がこの子に親と勘違いされたのに、心当たりがある。決して、可愛いから買おうと思ったわけじゃない!」
「うわぁ~」
将太、何故かドン引きである。俺の言葉のどこに引く要素があるっていうんだ。だが実際心当たりは確かにある。俺の使い魔である。獣人幼女レオ。あいつは、スキル〔獣人の姫〕を持っている。つまりその主である俺が呼ばれるのも納得がいく。
「心当たりがあるのは、本当のようですね。分りました。では、こちら獣人リアンをどうぞ」
最後の方は、店員としての対応だろうか。俺が布袋を渡してから、シュミルさんは、一礼する。
さて問題は、この子をどうやって、アレス達が気づく事無く、外に出すか。
答えは簡単。俺は右手を前に出し
「〈召喚:レオ〉」
床に魔方陣が書き出され、そこから、俺の使い魔レオが出てくる。
先ほどまで寝ていたのか、コクコクと首が動いて、召喚された事に気がついていない。
「レオ、寝てるところすまない、この子を誰にもばれず、家に連れて帰ってほしい」
「ふぇ~、うん。分りますた」
俺からの命令でも、目を覚まさないレオ、だが声は届いたらしく。リオンちゃんの手を取ると同時に〈隠密行動〉を発動した。自然な流れであったが、その一瞬でレオとリオンちゃんを他の人は認識できなくなり。ちょっとパニックになった。
その後何事もなかったように、部屋に戻った。すでに書類に目を通し終わってたみたいで、アレスたちは俺達の事を待っていた。
「本日は、ありがとうございました。今度はぜひお客様としてお越しください」
「うん、機会があったら、僕も来させてもらおう」
アレスとシュミルさんが短く言葉を交わし。俺達は奴隷館を後にした。
当然、帰り道アレスに館のことについて、聞いていたが。何も知らないで全て当してやった。もちろん将太は口封じ済み。
この日、家に帰った後。リビングでスヤスヤ寝ている、レオとリオンに2人の獣人を見ながら、目の光が消滅している。魔王の娘に問い詰められたのは、言うまでもない
明日からの投稿なのですが。一度本編をお休みして、これまで出ていたキャラクター、そのステータス。魔法、スキルについて。などを纏めた物を公開していきたいと思います。
本編を楽しみにしている方、本当にすいません




