奴隷制度
今回から、新学期です。
まだまだ、一年生は抜けられません、トホホ
一体いつになったら、冒険者になれるのか。
「はぁ~」
新学期始まって早々、盛大なため息がこぼれ出る。
どうして...
「シオン、ため息をつくなよ。別に悪いのは、僕じゃないだろ?」
「そうっすよ、今回はシオン君が悪いっす」
「すまないけど。今回は、私もシオン君を擁護できない」
アレス、将太、ノアが、それぞれすき放題言ってくれる。とりあえず将太の頭を叩いとく。
新学期1発目の学園は、お昼に終って。その後ルリと出かけようと思ったのに。何故か男達だけで王都を見て回ってる。
この前の花火大会の時、どこから流れたが知らないが、俺とルリが展望台の上に居た事がばれて。罰として、今日アレスの視察に付き合わされてる。ちなみに2人で行く予定だったが、将太が「暇だからついてくっす」と面白半分で付いて来て、ノアが「ハンスに頼まれたから来た」との事らしい。
本来はアレスとその護衛で視察に行くらしいのだが、あの3人も毎日アレスといて、自由時間らしきものがなかったから、アレスが強制的に休ませたらしい。
だからって、俺を連れてくなよ。と秘かに思った。
「ふぅ~これで、残りは1軒だな」
「早く行って、早く帰りたい」
「シオン君は、予定でもあるんすか?」
「ルリとイチャイチャする!」
「ハハ、シオン君らしいな」
気が付けば、時間も夕方になりかけていて。これまでに9軒のお店を回った。全ての店が特に問題がなく。むしろ良店ばかりだった。アレスが来たから、媚びへつらうのではなく。お客様としてしっかりとした対応が、子供の俺から見ても凄いと感じた。
「ちなみに、最後は、どんな店なんだ?」
「あ~それは、ノア、シオンに教えてあげてくれ」
「え、何故ですか!?嫌ですよ。こういうのはアレス様の仕事でしょ」
最後に行く店を聞いただけなのに、やけに言うのを嫌がっている貴族組み。その様子に俺と将太は首を傾げた。
やがて諦めたように、アレスが話し始める。
「視察で最後のお店は、実は決まりがあって。場所なんだが...奴隷商に行くんだ」
その言葉を聞いて、俺と将太は表情が険しくなる。それを見たノアが「やっぱりか~」と小さく呟いていた。
「まぁ、二人がそんな顔するのも分る。実際に転移者に、この話をするとシオン達と同じ反応するから。だから僕もノアも言うのを渋ったんだ」
まぁ、俺も将太もそして転生者のほとんどは、地球の人だろうから、奴隷に対して良いイメージは持っていないだろう。でも、この世界に奴隷と言う精度があるのは知っていた。詳しくはないけど。
「なぁノア、奴隷について詳しく教えてくれないか?その制度が有るという事は、それなりにしっかりしたシステムがあるんだろ?」
「あぁ、そうだな着くまでに少し話すか?長くなるがいいか?」
アレスの言葉に俺と将太は無言で頷く。俺も将太も話を真剣に聞いている。この世界で生きるなら、その生活にあるものを受け入れなければいけないから。
「奴隷と言っても、その中にも種類がある。決して奴隷の全てが非道な扱いを受けてるわけじゃない、と言う事だけは、初めに言っておこう。奴隷には、戦闘奴隷、奉仕奴隷、最低奴隷、非合法奴隷の四種類に分けられている。戦闘奴隷は主に冒険者や商人が臨時で戦える者が欲しい時、などに契約したりする。
奉仕奴隷は基本的に家事や、身の回りの事を長期的に任せる時に契約するらしい。
最低奴隷は犯罪などに手を出した者がなる、まぁこの奴隷と契約する人間はよっぽどの物好きと言ってもいい。
そして最後の非合法奴隷は、大きな声では言えないが愛玩奴隷だったり、我々国側が把握していない非合法な者だったりする。まぁ貴族の中にもやばい奴はいて、他の種族を、夜の奉仕の相手にしたいが為に愛玩奴隷を買う者もいる。非合法な者と言うのは、人を攫ってそ者に奴隷紋を入れ、奴隷にすると言った。正式な奴隷ではないんだ」
アレスの話を聞くだけなら、全ての奴隷が決して悪いようには、されてないんだろう。
まぁ愛玩奴隷なんかは、聞いてて気持ちのいいものではないけど。
「奴隷になる事でのメリットは、国から幾らか支援金が出るんだ。それに奴隷商にはなるが、住む所もあり、ご飯もでる。それに支援金を国に返せば、いつでも奴隷を辞められる。一時期は奴隷になって、いいパートナーを探すのが流行ったらしい。
逆にデメリットは、契約した主がよくなければ、怪我などをさせられたりもする。まぁ奴隷を負傷させた場合、しっかりとした理由がない限り、その契約主が最低奴隷に落とされる事はあるが」
奴隷に関して言えば、いいイメージを持っていなかったが、ここまでしっかり奴隷を考えて、制度が作られてるのを聞くと、素直に尊敬する。奴隷って働かせるだけ働かして、使えなくなったら捨てるってイメージだったから。
「さっきから、アレス様、契約って言ってるっすけど、どういう事なんすか?」
「あぁ~説明してなかったか、奴隷になると体の一部に奴隷紋と言うのが入って。奴隷と契約する人間の間に、魔力での回路みたいなのが繋がるんだよ。それが契約」
「なぁ、奴隷には、どんな命令が出せて、どんな命令が出せないんだ?」
「基本な命令は、何でも聞かせられる。だけど、それを奴隷が拒む場合、強制力がそこまでないから、奴隷は言う事を聞かない。でも、最低奴隷と非合法奴隷は別なんだ。その2つだけは、契約者の命令にかなりの強制力を持つ。自害しろとか、そういう命令じゃなければ。基本的奴隷に拒否権はないらしい」
俺も将太も、奴隷について考え方を改める必要があると、感じていた。正直、奴隷が非道の扱いを受けてるようなら、一度アレスとまじめに話そうかと思ったが、その必要もないっぽい。
「アレス様、着きましたよ、奴隷館」
「ここが、奴隷館!?」
「立派な、建物っすね」
先頭を歩いてたノアが、立ち止まり、俺達を案内する。そこは外見かなり豪華なお屋敷だった。
俺は、ちょっとワクワクしながら。奴隷館に入るのだった。
アレス「と言うかノア、なに1人無言を決め込んでるんだ」
ノア「いや~、奴隷については私より、詳しいからいいかなぁ~と」
アレス「解せぬ」




