本来の目的
今回は、ちょっと短めです。
一時は、かなり追い込まれたりもしたが、誰も死ぬ事無く、俺達はナフティカを消滅させる事に成功した。
だけどここで、俺は違和感を覚える。
そもそも、なぜナフティカと戦う必要があったのか、俺がティターンさんから依頼された内容はなんだったのか。
「あ...」
思い出した。封印されてた魔物、【死を呼ぶ混合種】の調査を依頼されてたんだ。
今まで、影が薄かったが改めてその姿を認識すると、
「寝てるだと!」
完全にお休みモードだった。俺の視線の方を皆が向くと。ルリとキャロ、シャロは「「「あ、いたんだ」」」と声を合わせて、【死を呼ぶ混合種】の事を知らない、父さん達は首を傾げていた。
これは、絶好のチャンスだった。確かにナフティカよりは弱いだろうが、気を抜けばこちらも大ダメージを受けるかもしれない。寝てる、この状況で神の審判を決めれば確実に消滅させられる。
そう思い、魔法を使おうとした瞬間に、頭の中で声が聞こえた。
『シオン、待つのじゃ』
『この声は、ドゥエサスなのか?』
声の主はこの場にいない、神様だった。とりあえず、一度魔法をやめて、話を聞くことにする。
『よいか、目の前にいる魔物は、本来その森の守護じゃった。だが、人間の勝手な思い込み、そして悪の感情、それを取り込みそうなってしまったのじゃ』
『そうだったんですか!?』
だとすると、それほど悲しい話はない。森を守っている偉大な魔物を凶悪だと勘違いし、封印するなんて。まぁ、俺も危うく消滅させそうになっていたけど。
『それでじゃ、今のお主なら魔法〈浄化〉が使えるはずじゃ。それでその魔物を守護者に戻してやってくれんか?』
『そういう事なら、任せろ!』
一旦話を終えて、改めて【死を呼ぶ混合種】に対峙する。その魔物は寝ていて、俺の事なんか見てすらいないけど。
「〈浄化〉」
俺を使ってから、効果が出始めたのか。今まで漂っていた。どす黒い気配が消えていく。
「シオン、これって」
この状況を理解していないルリが、俺に質問してくる。もちろん他のメンバーも理解してはいないが、口には出さなかった。
ぐっすり眠っているのを確認して、この状況と俺がどうなったのかを説明する。
当然だが、かなり驚かれた。まぁ自分の家族や恋人が死んだと思ったら、神と会ってて、さらに強くなって、戻ってくるなんて、信じられないと思うから。
俺が話し終わると同時に、【死を呼ぶ混合種】が起き上がった。
問題はないと思うが念のため〔完全鑑定〕
鑑定結果
魔物名 森を守る混合種
種族 不明
討伐ランク 測定不明
魔物の説明 ズイーゲルの森を守る本来の姿。半神によって〈浄化〉された事によって、能力値が大幅に上昇。言葉を理解する。
これで、キマイラも報われる。この事をティターンさんに報告すれば、長かった依頼も言えることができる。そう思って、少し浮かれていたら。キマイラが俺に話かけて来た。
「貴方が、我を救ってくださったのですね。まずはお礼を言います。本当にありがとう」
「いえ、貴方は、悪くないですから」
そう、このキマイラは悪くないのだ。人間の為行ってきた魔物を、その人間が封印する。これでキマイラが悪いなんていう奴はいない。
「我は、一度悪に染まりました。今こうやって理性を取り戻せても。森との繋がりは切れてしまって、行く当てもありません。なので、我と〈使い魔契約〉を行ってくれないですか?」
〈使い魔契約〉それは、調教師などが使う闇魔法で。魔物に合意があった場合のみ、契約することが出来る。その魔物は、魔物としての力を最大限、活用できて、自らの戦力にもなるらしい。
尚、契約の魔法は、他にもあるらしい。
俺には、この話を断る理由がない。キマイラが森を守る使命から開放されてると言うのなら。キマイラのこの先の道は自由だろう。だからこの申し出を俺は受けさせてもらった。
「わかりました、では使いますね。〈使い魔契約〉」
「我は、この者を、新たな主として、精一杯仕えよう」
俺と、キマイラの足元が一瞬だけ光、無事に契約は完了される。
こうして俺は、初めて魔物と契約することが出来た。
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魔法解説
〈浄化〉光属性の派生魔法、聖属性、上級魔法。主に悪霊、怨霊を消すときなどに使われる。悪しき霊などに取り付かれた。者に使うと、その者はなの事もないが、悪しき者だけ消すことが出来る。
〈使い魔契約〉上級、闇属性魔法。契約魔法の中では一番言い魔法とされており。これで契約できると。魔物の力を最大限まで引き出すことが可能。
全ての契約魔法に共通だが、契約者より格上の魔物には意味がない
キャロ「シオンにぃ、急に止まって大丈夫かしら?」
シャロ「兄さんって~たまにあるよね~」




