予想外の再開
「全員集まりましたね」
部屋に行き、点検と整理を終らせて集合する俺達。
その間に先生は身だしなみをを整えていたようだ。先ほどまでぼさぼさだった髪もしっかり纏められて、服もしっかり着ている。
と言うか、先ほどまでが教師としてまずかったと思う。
「では、この後各自で話し合い、森の探索を行ってもらいます。あとこれ」
そう言って、全員に先生が腕輪を配り始めた。
「これは、この森専用の魔法アイテム、通信の腕輪です。連絡を取りたい人を思いながら、話しかけると、相手側に声が届くようになっています。もしはぐれたりしても落ち着いて、それを使い合流しましょう。それでは探索開始です」
これから、俺達の探索が始まる。俺はルリ、キャロ、シャロの4人で行こうと思ったのだが。
「あ、シオン、初日だけは、私とキャロちゃんとシャロちゃんの女子組みだけで探索行くから」
「ごめんね、シオンにぃ」
「また後でね~」
そう言って、早々に森の中に入ってしまった。だがいくらなんでもあの3人だけにするのは、まずいと思ったので、直ぐにヘラのほうを見る。ヘラも俺の意図を察したようで、3人後を追っていった。
「シオン、僕達は用事があるから、先に行くぞ。また後でな」
アレスが俺に一声かけて、いつもの護衛を連れて森に入っていく。用事と言うのは、もしかしたら王都と関わりのあることかもしれないが、それを聞く前に居なくなってしまった。
そして残ったのは
「シオン君、置き去り組み同士、探索一緒にいかないっすか」
「シオン様、できれば私も一緒していいですか?」
「シオン君、確実に足手まといになるだろうが私も付いていって、いいだろうか?」
転移者、将太と、ガーディアンの組員、ベルと、サブメラの貴族、ノアの3人だった。
しかも全員が俺を慕ってると言う、ちょっと怖いメンバー。ノアなんか未だに、状態異常 シオンに服従、が続いている。
「そうだな、みんなで一緒に行くか。あと将太、置き去り組みとか言うなよ。悲しくなるだろ」
「そうっすね、自分で言ってて、なんか悲しくなったっす」
テンションは低いがここにいても仕方がないので、俺達は森の中に入っていくのだった。
「ノア、前方右側、【レルウルフ】5体、〈風の刃〉で、対応してくれ」
「了解した」
「将太と、ベルは打ち漏らしを処理してくれ」
「わかったっす」
「かしこまりです」
見事な連携で魔物を狩っていく俺達、思ったより息が合うことにビックリした。
俺が索敵と指示を出し、ノアが先制で魔法を放つ。残った魔物を将太とベルが狩っていく。
案外良いチームワークだった。
「流石シオン様です。指示が完璧で私がいつもより強いんじゃないかって錯覚しそうです」
狩り終わった魔物を処理しながら、ベルが話しかけてくる。それに対して疑問をもつ男がいた。
「なぁ、さっきから気になってたんだが、何故ベルは、シオン君のことを様付けで呼んでいるんだ?」
「え、それはですね...」
「悪いがノア、そこに関しては聞かないでくれ、色々事情もあるんだよ」
もはや言い訳にすらなっていないが、怪訝そうな顔をしながら、ノアは了承してくれた。
「それにしても、魔物が少ないっすね」
確かに、将太が言うように不自然なほど魔物と遭遇しない。もしかしたら同じ道を誰かが通っていて、すでに魔物を狩った後かもしれないけど。
「ちょっと止まれ、前方に何か気配を感じる」
魔物がいないと思った矢先に、何か生き物の気配を感じた。
そして、少しすると俺は、見知った子達が現れた。
「シイナ、あなた一体どこに行く気、ちょっと魔物の連戦でお姉ちゃん疲れたんだけど」
「たぶんこの辺にいると思うんだけどなぁ...あ!」
現れたのは、エルフのシイナちゃんと、ヒマリちゃんだった。
シイナちゃんは俺を見つけて、駆け寄ってきた。
「シオンお兄さん、久しぶり!!」
満面の笑みで俺に飛びついてくる。そんなシイナちゃんを軽々キャッチした。
ヒマリちゃんもこちらに気づき近寄ってくる。
「2人共久しぶり。ところで、どうしてこの場所に?」
普段エルフは自分達の里から出る事はほとんどない、だからここにいるのは不思議であった。
「シオン様、その子達は誰なのです?」
「シオン君、できれば説明して欲しい」
「シオン君ってロリコンだったんすね...」
ヒマリちゃん達をを初めて見る3人は、エルフの特徴的な耳を見ながら、俺に尋ねてきた。
ついでに、将太は軽く殴ってやった。
「紹介するよ、この子達はエルフの姉妹、大きい方が姉の、ヒマリちゃんで、小さい方が妹のシイナちゃんだ」
「初めまして、ヒマリです」
「やっほー、シイナだよ!」
2人は将太たちに挨拶する。将太たちも軽く自己紹介を行った。
周りに、魔物がいないことを確認しながら、皆で休める場所を探して。休憩に入った。
「結局、2人はどうしてここにいるの?」
「それはですね、この森の精霊族の方と交流会をしに来てるんですよ」
「お母さん達は、精霊さん達のところにいるよ、あたしはシオンお兄さんの気配を感じたから来ちゃったんだ」
「「「「!?!?」」」」
俺達は全員驚いた。この森に精霊がいるなんて、聞いたこともなかったから。
どうせやる事もないし、精霊さんにも興味津々で行かない選択肢はないと思った。
「なぁ、シイナちゃん。俺達を精霊さん達のところに、案内してくれないか?」
「いいよ~」
即答で許可を得た。ヒマリちゃんは少し悩んでいたようだが、渋々了承してくれた。
休憩も終えて、俺達は軽い足取りで精霊のいる場所に向かった。
ルリ「シオンが精霊のいる場所に行くって」
キャロ「え!ずるいわ」
シャロ「兄さんいいなぁ~」




