ガーディアン
勇者との騒動そして俺の正体を明かしてから、時は経ち現在学園は夏の長期休みに入っている。いわゆる夏休みだ。
ちなみにこの長期休みの前にクラス変動する生徒もいるらしいが、俺達Sクラスは誰も下には行かなかった。
毎学期2回にわけて実力テストがあり、テストは筆記試験と、技術試験に分かれている。誰も下には行かなかったがキャロだけは結構怪しかったのだ。キャロは筆記テストを苦手として1回目の時に「大丈夫よ、なんとかなるわ!」と言っていたが、結果はまぁ酷い。だけど2回目の時には俺とシャロとルリの3人が必死に教えてどうにかなる点数まで持ち直した。
そんなこんなで、勇者騒動以降はテスト以外何もなく平和に過ごしていた。
そして長期休み中、普段なら暑さに負けてごろごろ自堕落な生活を送っているが、この日は違う。休みだと言うのに俺とルリは学園に来ていた。
「今更どんな話をするんだろうな」
「そうだね、もう終わった事だから私も気にしてないんだけどね」
長期休みでも学園は、基本的に空いている。そして俺達はある人たちに呼び出された。
普段俺達が使う教室で待っているようで、その場に向かう。
扉を開け、そこで待っていたのは、
「お待ちしていたです。さぁさぁ中にお入りくださいです」
「ルリ様、シオン様、どうぞこちらへ」
「・・・・」
ベルとへラと見た事ない男の人だった。
ベルとヘラは立っていたが、男の人は座っていて、机に両肘乗せて手を組み口元を隠すようにしている。まるで碇ゲン○ウのような姿勢だった。
「なぁ、なんで俺まで様付けなんだ?」
「いやシオン、それ言ったら私が様で呼ばれてる理由も分かってないから」
いつの間に俺は信仰対象になったんだろう。俺はルリが様付けされてる理由は知ってるが教えない、それは俺が言う事じゃなくて、ベルたちが話す事だから。
「じゃあ、その辺りから話していきますです」
「まちなさい、その前に私達は言うことがあるはずよ」
俺達が様呼びされるよりも前に先に話す事ってなんぞや?正直心当たりはない、ルリの方を見ても「さぁ」見たいな顔をされた。
「この前はルリ様を危険な目に合わせてしまいごめんなさいです」
「あれは、完全に私達の責任です。本当にすいませんでした」
「部下の失態は私の失態でもある、私からも謝罪しよう。すまなかった」
今まで喋らなかった男性も立ち上がり、2人が頭を下げる。この前と言うのはおそらくルリ誘拐の時の事だろう。
急に頭を下げられ焦ったのか、ルリはわたわたし始めた。
「もう気にしてないですよ、それより話を始めてください」
ルリの言葉を聞いて、なぜかベルとヘラは安心したような表情になった。男性の方は何かを納得したような表情になり、改めて座りなおした。
俺達とベル達は互いに正面を向かうようになっていて。ベルとヘラはずっと立ちっぱでベルが話し始めた。
「まず、お2人は私達が魔族である事はしってるですよね?」
「ああ」
「ええ」
その事は知っている。あの時介入してから2人が気になって身元調査を俺が勝手に行った。ルリの方は何となく魔族の気配たにんかを感じたらしい。
「実は私とヘラはある組織に入ってるです、その組織の目的が魔王の娘であるルリ様を、影からお守りすると言うものであるです」
「お守りする理由は、ルリ様が強力な力をその身に宿していて、いつルリ様を狙うやからが現れるか分からないからです」
「そして、さっきの話に戻るんですが、様付けで呼ぶのはルリ様が私とヘラの守る対象だからなのです。あと組織の方がルリ様には必ず様を付けろと徹底もしてるです」
まぁ、ここまでの話は俺は知っていた。だけどルリは違う。ポカーンとなってる、もう完全に付いていけなくなってる。ルリにしてみれば他人から守られることが少なかった為、どう反応していいのかわからないのだろう。
「ルリが様付けされる理由はわかったけど、俺が様付けされる理由がわからない。何か俺にもあるの?」
「いやぁ、あの、それは...です」
「私の口からじゃちょっと」
んん?何故か俺の質問を聞いた2人は顔をほんのり赤く染める。そのせいで余計わからなくなってしまった。
「仕方ない、それは私が...」
「ちょっと待った」
理由を説明してくれようとしてる男性を一旦止め、ここまで気になっていた確かめる。
「あなたの誰なんですか?ベル達より偉い人なのはわかりましたが、名前とか聞いてません」
「あぁ、それは失礼した」
そう言いながら、立ち上がり俺の方に近づいてくる。
「私は、組織{ガーディアン}のトップ。アギラードと言う。よろしく」
そう言って、握手を求めてきたのでそれ応える。
握手が終って、また席に戻ると思ったが、アギラードさんは俺の前に立ったまま説明をし始めた。
「2人が、君に様付けするのは。君がルリ様の伴侶だからだそうだ、だが私は頭が固くてな、ルリ様の伴侶がルリ様より弱い者など認められないのだよ」
俺がルリの伴侶?確かに俺とルリは付き合ってるし、ゆくゆくは、そういう関係に成れたらいいと思っていたが、どうやら勘違いをしているようだ。まぁ否定するつもりはないけど。
「それで、私は君がどんな人物か見たくなったのだよ、まぁ結果としては、魔族でもなければ、覇気もない、強者と思うような気配もない。そんな者を組織のトップとして伴侶とは認められないのだよ。だから、私に認めて欲しければわかるか?」
「決闘、または摸擬戦ですか?」
「話が早くて助かる。幸いここにはそういった事をするのに適した場所があるようだしな」
話し方は非常に冷静なのに、俺に対して物凄いプレッシャーをかけてくる。
俺ってそんなに弱く見えるのかな?ちょっとショック。まぁ俺が転生者である事はベルもヘラも知らないし、アギラードさんにも報告されてないのだろう。
まぁどうせ、遅かれ早かれこの人とは戦う事になってたかもしれないので、この場で受けても問題ないと思い。受ける事にした。
「わかりました。お受けさせていただきます。では訓練場に案内しますね」
「はん、ずいぶん冷静だな、その余裕そうな態度がどこ持つか楽しみだ」
少し笑いながら、さらに圧をかけてくるアギラードさんを俺は訓練場に案内した。
そこで衝撃の戦いが始まろうとしていた。
ルリ「シオンが私の伴侶...伴侶...フフ、フフフフ」
ベル「あ、ルリ様が壊れたです」
ヘラ「ベル、恋する乙女はあれが普通なのよ」




