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一発KO

今回は特別回を書くつもりでしたが。ネタが思い浮かびませんでした。

なので普通のお話です。(できは微妙)

「ちょっと、これはどういう事か説明してくれる」


フォルテ先生は笑顔なのにひたいに青筋を浮かべていた。

結界が消えた瞬間の詰め寄り方は誰も認識できないほど早かった。


「え、えっと、その」


あまりにも怖い笑顔に俺はどもってしまう。正直怖すぎる、今までの優しくて生徒思いのフォルテ先生はいなくなってしまったようだ。


「実は、かくかくしかじかで」


「あぁん、ふざけてるのかな?大体かくかくしかじかってなに?説明になっていないわよ」


ちょっと茶化しただけなのに、先生から、いや女性からでちゃいけないような声できれられた。


「実は――」


俺は今回の事を先生含めてクラス全員に説明した。大事にしたくなかったがここまでやってしまった以上はもうどうしようもない事だ。

アレスは「やるなら事前にいってくれ」と呆れ顔で言っていたが。言えないことだってある。むしろ他の人に広めなかった俺偉い。と傷つい心を自分で癒していた。


この騒動のせいでちょっとざわついたが、フォルテ先生がみんなに解散の指示を出しみんなは帰っていった。

こうして色々あったが無事に特別授業を終わらせる事はできた。


「あのフォルテ先生」


「あ~私用事を思い出したわ、てことで今回の関係者で勇者様が起きるまで見てなさい」


俺達が自然に残れるように手配してくれる先生に感謝を、なんだかんだ言って、先生は俺達の事をしっかり考えてることが身にしみて分かった。

小声で「あなた達の事情は知らないけど、シオン君にはこれで貸し1ね」と言って訓練場を出て行ったが、聞かなかったことにしよう。



「うぅ~、僕は...」


しばらくして勇者は目を覚ました。この場に残った俺とルリとキャロとシャロと将太と愛美さんは、十分な警戒をしている。もしかしたら術者が消えた事により暴走するのではないかと、だがそれは杞憂に終った。


俺と目が合うとゆっくりと近づいてきて、右手を出した。


「君が僕を止めてくれたよね、本当にありがとう」


「別にあなたの為じゃありません、あなたには謝ってもらいたい相手がいた、だから助けただけです」


意味ありげな言葉を言いながらも、しっかりと握手はする。そして若干影になりつつある、将太を前に出した。


「こっからは、お前の事だろ。話し合いはお前がしなよ」


「ありがとうっす」


後の事は将太に任せて俺は2人に様子を観察する、観察者になった。

勇者と因縁のある将太、この2人の他にまだ役者が足りないそう思い俺は〈テレパシー〉でルリにある人を連れてきてもらうように頼んだ。


勇者と将太はしばらくお互いを見つめ合っていた。そして先に言葉を発したのは勇者の方だった。


「君は花蓮さんの弟の将太君だったね、しばらく見ないうちに大きくなったね」


将太は無言のままだった。何も言っていないが怒っているのは雰囲気から察せる。

その様子に気づいたのか、勇者も表情を引き締まった。


「僕は、自分のした事を覚えている。君達家族にした事も覚えている、花蓮さんの事は本当にすまない。許してくれなんてむしのいいことは言えないけど、どうか自暴自棄にだけはならないで欲しい」


勇者は深く頭を下げた。きっと心から出た言葉なんだろう。見てる俺も驚くような綺麗なお辞儀だ。

それにしても記憶があるとは思わなかった。たぶん勇者の中での罪悪感は半端な鋳物だろう。


「僕はもう怒っていないっす、初めの頃は勇輔さんを恨みたくてしょうがなかったっすが、もう全てどうでも良くなったっす。それに謝るならば僕じゃなくて姉さんに謝ってほしいっす」


「え、花蓮さんに、だって花蓮さんはもう...」


勇者が知らないのは当然だと思ってたが、やっぱり花蓮さんが生きてるのは知らなかったっぽい。

将太の言葉に勇者は困惑中、将太はさっきまで怒ってるように見えたが今はそうでもないらしい。もしかしたらさっきまでのは全て演技かも。そうだったら将太はかなりの演技派だと思う。


「シオン連れて来たよ」


やっとルリが戻って来た。この場に必要なもう1人の役者、花蓮さんを連れて。

花蓮さんを見た勇者は固まった。そして今まで将太と勇者を見てるだけだった、愛美さんも固まった。


「えぇっと、久しぶり、勇輔君に、愛美ちゃん」


「え、俺は夢でも見てるのか」


「大丈夫、ゆー君、私にも見えてるから」


なんていうか、思ってた展開と違った。なぜか3人互いに見合って、話が進まない。

そんな中勇者が花蓮さんの方を向き、一息ついて、また頭を下げた。


「花蓮さん、本当にすまなかった。一発殴って欲しい」


「え、いいの!それじゃ遠慮なく、歯食いしばってね」


「え、ちょ」


これは完全に予想外だった、まさか花蓮さんがあんなに綺麗なアッパーを勇者の顎にあてるなんて。

ゴン、と言う鈍い音がして勇者はまた地面に倒れた。


「ゆー君!!ちょ花蓮ちゃんいきなり過ぎるよ。やるにしてもタイミングがあると思うよ」


「愛美ちゃん、これでいいんだよ、私はもうあなた達にかかわらないから。2人でお幸せに。将太帰るよ」


ほとんど会話もせずに将太を連れて花蓮さんは帰ってしまった。

颯爽と現れ、即効で帰る。さすがに誰も予想してなかった。そしてなんともいえない空気が流れた。


「俺達も帰るか、愛美さん勇者の事頼みました。もし何かあったらこの学園に来てください」


倒れた勇者とその幼馴染を放置して。俺達も帰宅した。

こうして、忙しい一日も終わりを迎える。夕食の時にこの話を母さん達に話したら、2人は大爆笑だった。

将太「姉さん、本当によかったんすか」


花蓮「あれでいいのよ、あれが私達の最高の別れ方なの」

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