作戦会議
次回、クリスマスに日に本編とは関係ない特別会をやろうと思います。
それと同じように年末年始もやろうと思ってます。
特別授業中は何もない、普通の授業だった。勇者のパーティー内でそれぞれの得意分野を見せて、興味があるもの、その分野を伸ばしたいものが、その人のところに集まるというものだった。
勇者は接近戦をメインにした戦い方。愛美さんはとエピーロさんは魔法に関する事。ヤークさんは主に索敵の重要性、狩人としての動きなどを教えていた。
「皆さんお疲れ様です。今からお昼の時間なので、ご飯とかを食べてまたここに戻ってきてくね」
フォルテ先生の合図で一旦授業が止まる。各自食堂に向かう感じだ。
ここで俺はある人を呼び止める。
「愛美さん、ちょっといいですか?」
勇者パーティーの転移者愛美さんだ。
勇者達も今から食堂に向かおうとしてたようで、まだ4人全員いる。
「え、うん大丈夫。すぐ行くからゆう君たちは先行ってて」
「ああ」
もしここで勇者も残っていたらちょっと面倒くさかったが、愛美さんは、1人になってくれた。
とりあえず愛美さんを連れて訓練場から少し離れた場所に移動する。
そこにはすでにルリ、キャロ、シャロ、将太がいた。
「なんで、キャロとシャロがいるんだ?」
訓練が終わる前に〈テレパシー〉を飛ばしたのは、ルリと将太だけのはずだけど。
「ルリちゃん達の後をこっそりつけて来たわ」
「何してるのかな~と思って~」
本当は何が起こるかわからないから、居て欲しくなかったけど、こうなったら2人は引き下がらない。仕方ないから。この場に居てもいいことにした。
「キャロ、シャロ、今から大事な話するから。話が終るまでは何も聞かないでくれ、後で全て話すから」
「「はーい」」
俺たちの話を聞きながら未だに状況が飲み込めてない愛美さん、だけど一瞬、将太のほうを見て気まずそうにした。
「愛美さん、状況は分らないと思いますが単刀直入に聞きます。勇者はおかしくなってますよね?」
「な、なんでそれを?!」
やっぱり気づいていたのだろう。俺が言った時明らかに驚いた顔を見せた。
「ここにいるのは、勇者の異変について知ってる者です。将太の事は知ってるでしょ?話っていうのは勇者の事です。とりあえず立ってるのも疲れますし、座ってください」
愛美さんはまだ少し動揺しているが。適当な場所に座ってもらった。
時間もないので、俺から話をし始めた。
「まず、勇者についてだけど、分かった事はエピーロさんに操られてるって事だ」
俺の言葉にルリ以外の全員が驚いている。ルリはどこか納得したような表情だった。
以外だったのは愛美さんもこの事を知らなかったことで、どうやら様子がおかしい事しか分かってなかったらしい。
「シオン君、それは間違えないっすか?」
将太の質問に、俺は首を縦に振った。
この事に関して間違えはない、なぜなら〔完全鑑定〕を使ってるから。
「ね、ねぇ、ゆう君をどうするの?操られてるってわかるなら、助けてくれるの!?」
愛美さんは声を少し荒げた。幼馴染の事で必死になっているのかな。
でも正直、勇者を助ける義理はない、それに助けてもこちらに対してメリットなどない。
「大丈夫よ愛美さん、話はよくわからないけど、シオンにぃなら助けてくれるわ!」
「そうだよ、兄さんは優しいから、必ず助けてくらるよ~」
俺の考えなどお構いなしに、俺の妹2人が助けると言ってしまった。でも、これで良かったのかもしれない。
いつからだろう、自分の知り合い以外の人間を助ける時に、メリットやデメリットで判断するようになったのは、これを機会に考えを改めるべきなのかと思った。
「わかった、勇輔さんの事は助ける。とりあえず今はどうするかを話し合おう」
助けると言っても、まだ何も決まってない。最終的に黒幕であるエピーロさんをどうにかしなきゃいけないけど、何をどうするか。
「私1つ提案なんだけど、勇者を気絶させて。守る人がいなくなったエピーロさんを、ここにいるメンバーで尋問するのはどう?」
ルリが手を上げて、提案を皆に話してくれた。だけど内容がむちゃくちゃすぎる気がする。
「ルリさん、そもそもどうやって勇者を気絶させるんっすか?」
「それは、今日の最後におこなわれる予定の、摸擬戦でシオンが戦って気絶させればいいんじゃないかしら?」
そう言って、俺の方をチラッと見てくるルリ。
「で、でもいくら操られてるからって、ゆう君は一応勇者だし、い、今までだって対人戦で負けた事はなかったよ。シオン君は確かに凄いかもしれないけど、気絶させる事なんて難しいんじゃないかな」
愛美さんはやっぱり幼馴染だけ合ってか。勇輔さんの事をよく理解してるのだろう。だからこそルリの提案は厳しいと感じるんだろう。
正直今の実力なら、何の邪魔さえなければ負けるとは思っていない。仮にエピーロさんが何か支援系の魔法をこっそり使ってたとしても負ける気がしない。
「まぁ、その案でいいか。たぶん気絶させる事はできると思う」
そこが決まれば、後は俺の中で考えてた作戦を実行できれば勇者を助けつつ、誰も傷つかないで済むかもしれない。
「ルリの案と、俺の考えた作戦で勇者を助けようと思う、皆それでもいい?」
誰1人として、否定はしない、それよりも俺の作戦を聞きたいって顔をしている。
こう言うのは何だけど、もっと色々言ってくれてもいいんだよ。自分の考えとか出してくれてもいいんだよ、まぁ口にはしないけど。
「摸擬戦で勇者を気絶させた後、ここにいるメンバーとエピーロさんが入るように結界を張ってもらう。結界はルリと愛美さんに任せる。この時、他の人が入らないようにして欲しい。
キャロと将太はエピーロさんがこちらの作戦に気づいて逃げようとしたら殴ってでもいいから逃がさないようにしてくれ。
シャロは〈隠密行動〉で姿を消しながら。勇者を結界の端っこに連れてって欲しい。人質にされると厄介だから。エピーロさんが勇者の方に向かった時点で応戦してかまわない。
俺が操ってる状態を無理やりでも解除させる、これが作戦だけどいい?」
全員が首を縦に振った。これで作戦は決まった。後は実行するだけ。
「あ、私ゆう君達と合流しないと怪しまれちゃう、先に行くね。私もがんばるけどゆう君の事お願いします」
一度俺たちに頭を下げて、愛美さんは食堂の方に向かって行った。作戦の事、話さなければいいけど。少し心配だ。
「シオン、私達もお昼にしましょう、お弁当お義母さんと、作ってきたから」
そう言いながら、ルリが〈ディメンションバッグ〉の中から大きいお弁当箱を幾つか取り出した。蓋も開けてないのに、すでに良い匂いが漂ってくる。
そして一時的に作戦の事など考えずに、おいしいご飯を彼女と妹達と友達と食べるのだった。
愛美「シオン君って何者なの?」
シオン「全てが終わったら教えてあげますよ」




