異世界のエリクサーほど凄い物はない
本来はいつもどうり月曜の予定だったのですが、この話で、この物語『今流行の異世界転生をしたので、異世界で最強を目指す。』は一周年を迎える事ができました。
てことで投稿日をずらしました。
これからもよろしくお願いします。
「あ、そういえば」
「どうしたのシオン、早く戻りましょう」
エルフの里を出て始め転移してきた場所まで戻って俺は、ある事を思い出した。ちなみにエルフの里で貰った神草は、俺の〈ディメンションバック〉の中にしまってしまってある。
俺、将太に「古代森林に着いたら連絡する」って言ってんだった。もう用件も済んだしすぐ帰ればいいが、とりあえず〈テレパシー〉で連絡してみた。
『将太、聞こえるか?』
『ん、んあぁ~、帰ってきたんすね、ってあれ姿が見えないっすけど?』
どうやら将太は寝ていたらしい、無理もないことだとっくに0時は回っていて。普通の人なら寝ている時間だろうから。
『今俺の魔法で直接脳内に話しかけてるんだ、だから俺達はまだ帰ってない』
『あ~、なるほど俗に言う テレパシーってやつっすね』
さすが元日本人、能力名なんて言ってないのに当ててしまうなんて。
まぁ話が早くて助かる。
『とりあえず報告だ、こっちは無事エルフの里に行けて、神草という薬草を手に入れた。花蓮さんの様子はどうだ?』
『まじっすか!ちゃんと見つかったんっすね。姉さんはシオン君達が言った時に比べると、だいぶ顔色が悪くなってるっす。このままだと本当に長くは持たないって、素人が見てもわかるっす』
エルフの里にいた時間は2時間ぐらいだが、相当侵食されてしまってるだろう。俺の思った以上に時間がないな。
『わかった、今から一瞬でそっちに帰る』
そう言って、将太の後ろに〈転移〉した。
「一瞬ってどれぐらい、ってうわ!ビックリした!」
まさか本当に一瞬で帰ってくるとは思ってもないらしく。振り返った将太が俺たちに気がつき驚いた。
それにしても、将太の言ったように花蓮さんの症状がこの数時間でかなり酷いものになっているな。
時間もないので早急に神の雫を調合する事にする。
「将太悪いけど、空き部屋ってあったりしないか?」
「え?一応あるっすよ」
「その部屋で、調合するから案内してくれ」
「わかったっす」
将太に連れられ、何もない空き部屋に連れてきてもらった。
何故わざわざ部屋をしたのかというと、単純に集中力の問題だ。調合も決して簡単なものではない、少し分量を間違えれば、正しく効果が聞かなかったり。作りたいものが作れなかったりもする。
俺は〈ディメンションバック〉の中から、ハルモニー、神草、調合セットを取り出した。
調合に関しては知識と経験はある。実際、古代森林は神草はないが、他の素材は豊富だった。今取り出したハルモニーも過去に俺が作ったものだ。
俺は全集中で調合を開始した。
.....
....
...
調合からおよそ20分、俺の手には保存用の瓶の中に入った。いかにも神々しい光った液体、エリクサーができあがった。
だがこの時点では見た目のインパクトしかなく肝心な効果がわからない。俺は手の持っているエリクサーと思われるものを〔完全鑑定〕で調べてみた。
鑑定結果
神の雫 この液体を飲ませるまたは、かける事によって、その者の状態異常を全て治すことができる。ただしすでに死んでる者には効果はない。
「よし!」
思わず声に出してしまった。だがこれで花蓮さんを救う事はできる。俺は急いで花蓮さん達のいる部屋に向かった。
俺が扉を開けると将太とルリが振り返り、俺の手に持ってるものを見て嬉しそうな顔をする。
「シオン、できたんだね」
「あぁ、完成した。とりあえずこれを花蓮さんに飲ませる、将太飲ませてあげてくれ」
俺が将太に手渡すと、それを受け取りすぐに飲ませた。始めはうまく飲み込めてなかったが、少しずつ飲んでいき、そしてエリクサーはなくなった。
すぐに俺は〔完全鑑定〕で花蓮さんの事を見る。
鑑定結果
名前 蒼井花蓮
種族 人間
状態異常 なし
「将太、ルリ、花蓮さんの状態異常は治った。これでもう大丈夫だと思う」
よく見ると、花蓮さんの顔の色もよくなっている。息もさっきまで辛そうだったが、だいぶ落ち着きを取り戻したっぽい。
「シオン君、本当にありがとう。ほんとうに」
将太が泣き出した、あぁ本当によかった。そう思うと急に気持ちが軽くなった。そして俺の意識はどんどん遠のいていく。
「え、シオン君どうしたんっすか?!」
そんなに慌てるなよ、ただ疲れて眠いだけだから。
だが俺の思いは将太には届かない、もう声すら出てないから。そして完全に意識が落ちていった。
「ちょ、ルリさん!シオン君がたおれちゃったっすよ!」
「大丈夫よ、〈鑑定〉で見たけど眠ってるだけだから、それより私もここで寝ていい?」
「そう...なんすか、ベットも布団もないっすけどそれでいいならどうぞ」
「ありがとう、おやすみなさい」
「はぁ~確かに僕もどっと疲れたっす、おやすみなさい」
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朝、いつもの時間に眼が覚める。だがそこで見たのは、いつもとは違う景色。
そういえば、花蓮さんを治したあと寝落ちしたんだった。いつもベットで寝てるから、床で寝ると体が痛を覚える。
周りを見渡すと、俺のすぐ横で、可愛らしい寝息をたてながら、眠ってるルリ。その可愛さに思わず頭を撫でてしまった。髪の毛もさらさらしていてとても気持ちいい、ずっと触っていたいぐらいだ。
そして、次に眼に留まったのは、壁に背中を預け座ってるように眠る将太だ、将太もかなり遅い時間まで起きてたから、今はぐっすりだろう。
最後にベットで寝ていると思うカレンさんのほうを見る。花蓮さんはベットにはいるが、上半身は起こしていて、俺と目が合う。
ん、自分で考えていて不自然な事に気づく。
花蓮さんが上半身を起こしてる?
まさかぁ、と思いいったんルリを見てからもう一回ベットを見る。するとやっぱり上半身を起こしていて、俺と目が合った。
「おはよう、そして初めまして」
「えええぇぇ!!」
俺は、朝の早い時間から、驚愕の声でうるさくしてしまった。
将太「寝るときに、さりげなくシオン君の傍に行くなんて、ルリさん以外と大胆っすね」
シオン「どうでもいいですけど、ポイントくれたら嬉しいです」
ルリ「この物語もこの話で一周年!これからもよろしくお願いします!」




