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転生者の悩み事

今回はシオンの心境について書きました。

『なぁシャロ、ルリは大丈夫なんだよな?』


『うぅーん、怪我とかは大丈夫だと思うんだけどね~やっぱいろいろショックだったんじゃないかな~』


『まぁさすがに同族に誘拐された事は心にきてるだろうな』


『心配だけど今はそっとしておいてあげよう』


ルリを救出してから、すぐスラム街から脱出した俺とシャロとルリ。誰も怪我などせずみんな無事だと思っていたが、ルリは帰ってる最中何も喋らず、ただ遠くのほうを眺めてるように見えた。


「おいルリ、そこ足元段差があるぞ」


「え、きゃ」


足元の段差に気づかず、倒れるルリ。

見事顔面から衝突しそうになる、所を間一髪で俺が受け止めた。


「本当に大丈夫か?さっきから何か考えてるようにも見えるけど?」


「....」


「おーいルリ、しっかりしろー」


「あ、ごめん、本当に大丈夫だから」


反応が一瞬遅れていたが、体勢を立て直し俺から離れる。だけど相変わらずルリは、どこか遠くのほうを見ていた。

結局家に着くまで何度か転びそうになるが、その度に俺が支える事になった。

ルリを支えるたびの、髪から良い匂いがして、ちょっとドキッとしたのは内緒だ。


「ただいま」


「ただいま~」


「ただいま戻りました」


「ルゥゥリちゃーん!!」


家に着き玄関を開けたらキャロ飛び出してきて、泣きながらルリに飛びつく。

いきなりの事でキャロを受け止めたルリは、後ろに倒れそうになったが、速攻でルリの後ろに回り支える。

二人分の体重が一気にかかるが、力のステータスSSはだてではない、よろける事もなく支えられた。


「お帰り三人とも、無事でよかったわ。ご飯もう少しでできるから、先お風呂にはいちゃいなさい」


母さんも出迎えてくれて、改めて家に帰ってきた事を実感した。

いろいろあったが、みんな無事に帰ってこれて本当によかったと思う。




「...って綺麗に終われる話じゃないわよね」


「はいその通りです」


「まぁミリア、無事だったのはいいことだよ」


「そうだけどねぇ」


お風呂も入り、夕食も食べて時間はいい時間なのだが。

俺は今リビングで、母さんと父さんに今日の事を報告していた。

報告しなきゃいけないところをいろいろ省いたら、案の定怒られた、でも言わせて欲しい眠いんだもん。

ちなみにルリは食欲がなかったらしく少し食べたら先に部屋に行って。キャロとシャロは部屋に行ってるようにと母さんが言っていた。


「まぁ、僕もいろいろ聞きたいことがあるのも確かだけど、一番聞きたいのは...魔族を殺してどう思ったかってことかな」


父さんは口調こそ軽いものの、いつにもないぐらい真剣な表情だった。


「どうかって聞かれても、正直どうとも思ってないかな、ルリを誘拐した時点で殺そうとは思ってたし...」


「そっか、まぁ確かに相手は犯罪者だし、心を痛めたりする必要はないけど、何かあるたびに相手を殺そうとするだけは、ダメだよ」


「わかった、気をつける」


「うん、分かればいいんだ。さて僕はもう特に言う事もないから、アイラ質問をどうぞ」


俺の回答を聞いて少し満足したらしく、父さんはいつもの感じに戻った。逆に母さんのほうが「さぁ覚悟はできてるかしら」と言わんばかりの表情になっていた。



あの後も質問攻めにあい、夜もだいぶ遅い時間になってしまった。母さんのほうも質問が切れて、ようやく開放されると思ったが、最後の最後で思わぬ質問をしてきた。


「結局シオンはルリちゃんの事どう思ってるの?」


「どうって、いい友達だと思ってるよ」


「本当にそれだけ?」


よくわからない、どうして母さんが、ルリの事どう思ってるのかを聞いてくるのか。

俺が改めて関係を聞かれてどう答えようか悩んでると、母さんは父さんのほうを見て二人して、呆れたような顔をした。


「私とフィンから見ても、シオンがどう思ってるか、どういう感情を抱いてるのかわかるわ、その事をよく考えてみなさい」


「まぁ、回答を急ぐ必要はないと思うけど、もしかしたらルリちゃんもシオンと同じ気持ちかもよ」


「え、父さんそれってどうゆう」


「じゃあ、僕とミリアは寝室に行くから、おやすみ」


「シオン、今日はいろいろお疲れ様、おやすみ」


二人は結局、俺に何も言わずにリビングを出てしまった。

てか最後の父さんの発言が俺の頭でずっと繰り返されてる。


「ルリちゃんもシオンと同じ気持ちかもよ」


俺と同じ気持ちそれがどういう事なのか、ぶちゃけてしまえば俺がルリに対して思う気持ちは、紛れもなく好きという気持ちだ。

それもはじめて見た時から惚れてた、ようは一目惚れってやつだ。

だけど、ルリは魔王の娘だから、もっと言うなら魔族だから。

そう思って少し遠慮していたところもあるのかもしれない。

だけど部屋を出る前の父さんの最後の言葉、あれが物凄く引っかかる、もしかしたらと思ってしまう。


「はぁ~最後の最後で余計な爆弾落としやがって父さんは、おかげで眠気が覚めちまったじゃねーか」


独り言を言いながらとりあえず部屋を出る。眠気も覚めてしまったので、とりあえず庭に行く事にした。

前の世界で眠気が覚めたときは決まって室内から出る、その癖がまだ残っていたらしい。

外は気温も暖かく、空は星がたくさんあった。庭で寝っころがり星を見ながら自分の気持ちを整理していく。

改めて、ルリの事をどう思ってるのか、今後どうなりたいか。

暖かい気温の中考え事をしていると、少しずつ眠気もくる。


(まぁたまには、外で寝るのもいいかもな)


俺はゆっくりと瞼を閉じて、ルリの事を考えながら寝るのだった。

ミリア「青春だね」


フィン「青春だね」

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