表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/216

託す者

フォール家での話し合いが行われてから2日後。この日は学園がない日で俺はとある人物から呼び出しをされて、その場所までやって来ていた。


「父上、シオン君を連れてきました」


「入ってくれ」


「「失礼します」」


ここは俺達が住むサウスの王城、その玉座の間。俺を呼んだのはこの国の国王ウロノスさんだった。アレスも一緒についてきて一緒に玉座の間に入る。この場には俺、アレス、ウロノスさんの3人しかいない。


「学園が休みなのに、わざわざ来てもらっててすまない」


「いえ、気になさらないでください。この国の王ウロノス様に呼ばれたからには、来るのは当たり前ですから」


「そう言ってもらえて、助かる。それと今は公の場ではない。わざわざ堅苦しい言葉は使わなくても大丈夫だ」


「それは助かる、俺も堅苦しい言葉は苦手でね」


俺とウロノスさんは軽い挨拶程度の会話をする。ウラノスさんとは帝国との戦争以来で普段会う事もない。今日呼ばれた理由も俺は知らなかった。


「シオン君、さっそくで悪いが本題に入らせてもらう。アレスから大体の事情は聴いた」


ウロノスさんの言葉でなんとなく、呼ばれた理由がわかった。俺は前日学園でアレスに現状話せる範囲の事を話していた。そしてその事をアレスもウロノスさんに伝えていたのだろう。


「本来なら、今後君のする事は、この世界で生きる者がする事だろう。だが今現状では君以上の適任者はいない。この世界の事、未来を君に託す」


「そうですか、確かに託されました。それに俺をこの世界に呼んだドゥエサスもきっとこうなる事を予知していて、俺に託してたと思います。任せてくれとは言いません。ですが全力で挑む事だけは誓います」


「...そうか、今回の事公にできる問題ではない、シオン君を称え爵位を上げることも難しい。だが必ず戻って来てくれ、その時はできる範囲で要望には応えよう」


「ありがとうございます。期待してますね」


そこで話は一段落つき、ウロノスさんに一礼して俺は玉座の間を後にした。




「シオン君、無粋な事かもしれないが勝機はあるのか?」


「さぁ、正直分からん」


アレスの質問に俺は素直に答える。今の状況でこちらの戦力はまだ多いとは言えない、さらに相手の戦力は未知数。これで勝てると断言できるほど俺は能天気ではない。


「シオン君、君に重荷を背をわせるつもりはない。だけどこれだけは言っておく、どの道君と、君の周りの人達が負ければ誰も太刀打ちはできない。だから気楽に戦ってきてくれ」


「はぁ、この国の国王と王子に託されたんじゃ俺逃げるわけにはいかんなぁ」


「なんだ?逃げるつもりだったのか?」


「フンッ、まさか。それじゃわざわざ見送りありがと、王子様」


そう言って、俺は王城を後にした。


そしてその足で中央広場に向かう。特に意味はないがなんとなくそこの景色が見たくなった。

しばらく椅子に座っていると俺の目の前にとある人がやって来る。


「シオン君、こんなところで何してるの?」


「フォルテ先生」


目の前にやって来たフォルテ先生は学園では身に着けていない剣を背中に身に着け、防具も装備している。おそらくクエストの帰りなのだろう。


「シオン君、隣いい?」


「どうぞ」


俺に一声かけフォルテ先生は、俺の横に座る。少しの間2人で景色を見ていると、フォルテ先生は俺の顔を見ずに話しかけてきた。


「シオン君、あなた死ぬ気?」


「なっ!急に何言いだすんですか?」


いきなりすぎる言葉に、俺は動揺してしまった。そこでもう一度フォルテ先生の顔を見ると、フォルテ先生は俺の目をジッと見つめている。

その言葉が冗談ではないことが伝わってきた。


「私も冒険者をやって、そこそこ経つ。たまに見るのよ。あなたのような死ぬ気で何かをしようとする目を、もう一度聞くは、死ぬ気?」


俺はフォルテ先生の言葉にすぐには返答できなかった。確かに俺は心のどこかで、死ぬ気で今回のゼウス討伐を達成させようと思っていたかもしれない。だけどそれ以上に思っていることがある。

その事を考えると不意に笑みがこぼれてしまった。


「なんで笑ているの?私は真剣に!」


「フォルテ先生。確かに今回の件、下手をすれば死ぬかもしれません。ですが俺は死なない。なぜならルリがいますから。俺が死ねばルリが悲しむ。もう見たくないんですよルリのなく姿を」


そこまで言うと、フォルテ先生は驚いた顔をした後、深く息を吐いた。そして椅子から立ち上がった。


「大事な話をしてるのに、まさか惚気られると思わなかったわ。シオン君手伝える事があったら何時でも呼んで、私も、おじいちゃんも必ず駆けつけるから」


そう言い残して、フォルテ先生はこの場を去っていった。

それはそんな、フォルテ先生の言葉を嚙み締めながら、家に帰るのだった。

フォルテ「私と、シオン君が2人で話すのって実は初めてじゃないかな?」


シオン「そんなはず...あるかもしれない」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ