本当の黒幕
物語もいよいよ最後の方に近づいて行ってます!
「それにしても、すごい人数が集まったな」
「ん?シオンなんか言った?」
「いや、何でもない」
独り言のように呟いたつもりだったが、どうやらルリには聞こえてしまったらしい。別にわざわざ説明する事でもないので、あえて話したりはしないが。
今フォール家には神と人合わせて14人も集まっている。普通の家ならこの人数が入りきることはないが、流石父さんたちの家リビングに全員集まってもまだ余裕があるぐらいの広さがる。
俺とナツメがズイーゲルの森でティファと出会ってた時、ルリ達の方でも問題が起きたのを帰って来てから知った俺、ルリ達を助けてくれたのは、俺も一度は戦ったことのあるオーディンさんと、白と黄色の袴を着て金色の長い髪を後ろで一本結びしている。ライライさん事雷神と、黒と緑の袴を着てこの中では一番大きいフーラさん事風神。
この状況をある程度知ってそうな、オーディンさんとティファを連れて家に行き、今日会った事を父さん、母さんレオ、メイシスに伝えて、詳しい話を聞くため全員がリビングに集まった。
「そろそろ聞かせてほしい、邪神だと思っていた、ティファがどうして俺達の味方なのか、そしてオーディンさんが狭間からこっちに来た理由とか」
俺が2人に質問すると、2人は互いの顔を見て再び俺を見た。そしてティファが話し始めた。
「まず、今回の黒幕はゼウスと呼ばれる神よそしてそれを話すと同時に、私が邪神と呼ばれた経緯や、過去に何があったのかを、ここにいる人には聞いてほしい」
ティファはドゥエサスとニュクスの間に生まれた神の1人、もともと深海では有名だった2人の間に生まれただけの事もあり、生まれたばかりでもその力はかなりのものを有しており、上位神になるのも時間の問題と言われる程だった。
幼き頃から良き両親に育てられたティファは神の力や神界でのすべき事を異常なまでの速さで覚えていった。
だがそんな時、ティファは己の中の根源たる力が破壊の力であるとティファ自身が知ってしまった。いくら神とはいえまだ幼い少女、破壊の力が決していい物ではないと思っていたティファはこのことを当時の最高神ゼウスに話した。
「ゼウス様、私の中の力は破壊です。その事についてどうお考えになりますか」
「ふむ、破壊...か。悩むところもあると思うが気にすることはない。だがその力をよく思わない連中もいるであろう。ドゥエサス達には話したのか?」
「いえ、まだお父様達には話しておりません」
「それはよかった、この事はわしとティファだけの秘密だ」
それから、ティファはある程度の事をドゥエサスから教わり、破壊の力の使い方はゼウスから教わるようになった。
そしてその時から、すでにゼウスの計画は始まっていた。ティファに力の使い方を教えている時から、少しずつティファの精神に干渉していった。
そして時間は過ぎて、ティファの精神はほぼ完全にゼウスに支配された。だがこの時ティファの自我が消えているのではなく。あくまでゼウスが任意のタイミングで、ティファを操れる状態になっていた。だからこそ、自分達の娘であってもその変化にドゥエサス達は気が付けなかった。
そしてゼウスはティファを暴走してるように見せた。一時的に表面に出る自我を消し、鍛えた破壊の力で暴れさせた。そしてこれをゼウスが神界でも問題にしてティファを邪神であると言った、それから様々な神を集めティファを討伐する事になった。
当然すべてはゼウスの計画のうちで、まだ利用価値のあるティファをゼウスは殺す事はしない。ゼウスは最高神のせいで自由に動けない事を煩わしいと感じていた。だからこの機会に最高神を誰かに託すことにした。それが当時盲目的にゼウスを信じ神界でも力のあるドゥエサスだった。
ティファを封印して自分も消えるように見せたゼウスは、計画通り最高神の地位を捨て自由に動けるようになった。だがゼウスが生きてるのを知らればそれこそ問題になってしまう。そこでゼウスはティファを使い、その世界シュテルクスとに邪神の使いと言う者たちを送り込み力を集めていた。
「ここまでが私の知るすべて」
その話を聞き沈黙の間が生まれる。ゼウスその名前自体は俺も知っている。まさか消えたと思った奴が今回の黒幕だったなんて。
そう思ていたのだが、一つ気になる事があった。
「なぁティファ、この話結構ゼウスの心情とかも入ってるが、なんでそんなことわかるんだ?」
「それは、私の力が理由ね。一時はほぼ完全に精神を乗っ取られていたけど、かすかな所で破壊の力が精神支配を拒み、逆に残った精神がゼウス様の心情とかを記憶していたわ」
ゼウスも詰めが甘かったという訳だ。そのおかげでティファがこちらにいるからいいんだけど。
それにしても、黒幕はわかったが相手の戦力が一向に掴めない。ピューリやメフィスト。神の中で裏切り者がいる以上、ゼウスを信仰していた一部の上位神たちも敵だと思っていいだろう。それを踏まえてもこちらで神と戦えるのは、俺、ナツメ、ルリ、レオ、メイシス、オーディンさん、ライライさん、フーラさん。その中でもルリは単体で神と戦うのは危険かもしれない。
その事で悩んでいると、フーラさんが「はっはっは」と高笑いをし始めた。
「戦力差が、圧倒出来だな!シオンお前もそう思うだろ?」
「ええ、そうですねフーラさん。俺もそこで悩んでまして」
「おいおい、お前も神なんだろ?だったらさんとかいらねぇよ。それより戦力が少ねぇならこっちも増やそうぜ、神に匹敵する戦力をよ。そうだろ姉貴」
「そうね、偶然とはいえこれも何かの縁、私達も協力するわ」
その言葉を聞いて、俺は少し安心した、たまたま居合わせたと聞いていたから、今後どこかに行ってしまうかもと言う不安もあった。だが少なくても強者の2人がいる事で間違いなく士気も戦力も上がるだろう。でも肝心の戦力を増やすというところが俺にはわからなかった。
「フーラ、戦力を増やすっていったいどうするんだ?」
「そんなの、俺と姉貴。この2人と契約する奴を探せばいいんだよ」
その言葉に、俺達は沈黙する事しかできなかった。
シオン「そんな簡単に契約なんてできるのかね」
ルリ「私、また足を引っ張りそうで怖い」