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ピンチ、魔王の娘

今回もルリ視点で話が進みます。

「さすが魔王の娘と半神の妹たちね。私のしたいことは全くできないわ」


そう言いながら楽しそうに笑う相手。私達は一切気を抜かず武器を構えながら相手の様子を窺った。

戦い始めてまだ数分、こっちは3人で攻撃をしているのに一切相手を崩せないでいる。最初から全力で倒すつもりがそれを失敗し、むしろ全力で魔力を使い続けているから私達はどんどん不利な状況になっていた。私たちの中で誰か1人でも魔力が切れたらその時点で負けは確実になる。

そう考えると私達は誰も動けないでいた。


「ふーん、そっちから来ないなら私が行くよ!」


「〈(プラズマ)〉」


目の前の相手が私達に迫ってきそうな時、後ろから私たちの間を抜け光が相手を襲った。今まで対峙していた相手から余裕の笑みが消え、間一髪で避ける。

その光景に知り合いの誰かが助けに来てくれたと思い、私達は魔法の使用者を確認した。

そして驚いた、そこにいたのは上半身裸で空を飛んでる男性と、その横に金色の長い髪をたなびかせて雲に乗りながら高速でこちらに向かってくる女性がいたから。


「大丈夫か嬢ちゃんたち?」


奇妙な2人が私たちの元までやって来ると、私たちの前に出て今まで戦っていた女性の間に入る。

気配からこの人達も神だとわかるがどうやら敵ではないようだ?


「この国に神がいるなんて予想外だわ、人限定の結界にしたのは失敗ね」


「状況はわからないけど、貴女が悪い神なのはわかる。この子達はもう傷つけさせないわ」


「図に乗るなよ、2つ名を持たない下級の神が2人増えたぐらいで。あたしは」


「狡猾の神、メフィスト」


「!?その声」


私達と戦っていた神が名乗りを上げようとした時だった、そいつの後ろからこちらに歩いてくる人影がある。そしてどうやら本当にメフィストと言うらしく。メフィストは後ろを確認した。

その声は私も聞き覚えがある。前に狭間と呼ばれる場所で戦い、私に神槍ロンギヌスを託してくれた神。

オーディンさんだった。


「久しいなメフィスト」


「ッ、まさかあんたまで来るとはね、オーディン」


偶然私達に挟まれる状況になったメフィストは半身になり両方を警戒している。私とキャロちゃんシャロちゃんは、もうこの場について行けず唖然としているだけだった。


「下級の神2人とあんたがさすがに厳しそうね」


「??何を勘違いしている。そこにいる神も2つ名持ちだぞ」


オーディンが言うと、メフィストが私達を助けてくれた神を見る。そして待ってましたと言わんばかりに2人の神は一歩前に出た。


「私は雷の神、雷神(らいじん)


「俺は風の神、風神(ふうじん)


2人はメフィストに名乗った思いきや、私たちの方を向き「私の事は気軽にライライって呼んでね」「俺はフーでいいぜ、姉貴にもフーラって呼ばれてるからな」と言ってくれた。

この2人どれほどの実力か私には図りかねない。でもオーディンさんと同等なら形成は一気に逆転した。

そしてそれはメフィストもわかっているのだろう。

今まで余裕がなさそうだった顔に、不気味な笑みが戻った。


「雷神に風神、それにオーディン。まともにやりあえば勝ち目はないわね」


「メフィスト、お前はどうせこの場から逃げる逃げる術を持ているのだろ。だったらあの方に伝えておけ。人間があなたを討つと」


オーディンさんはメフィストをここで仕留める気がないのか、武器は持っていても構えない。むしろ逃がす前提で誰かに対して伝言を伝えた。それを聞いたメフィストは「フンッ」と不機嫌そうにしてこの場から消えた。

一時はかなりのピンチだったが、何とか切り抜け私達は安堵した。


オーディンさんは私達の元まで来て、ライライさんとフーラさんを見る。


「まさか、雷神と風神がこの場にいるとは」


「偶然よ。たまたま結界に巻き込まれてこの子達を守っただけだもの」


「それより、オーディンだっけか。アンタは俺や姉貴の事を知ってるんだな」


「当然だ、神の中でも異例の存在。知らない神も少なくはない」


オーディンさん達の話を聞きながら、私は考える。また助けられてしまったと。いつもはピンチはシオンに助けてもらい。今回はたまたまいたライライさん達に助けてもらった。情けない。私1人じゃろくに神とすら戦えない。自分の事が本当に情けなく感じた。


「ルーちゃん、大丈夫?」


「うん、助けてもらったし。私は平気。それよりごめんね私のせいでキャロちゃんとシャロちゃんを危険な目にあわせて」


「大丈夫だよ~、むしろルリちゃんがいなかったら私達オーディンさん達が来るまで持ち応えられなかったと思うから、ルリちゃんありがとう~」


こんな私にシャロちゃんは感謝してくれている。その気持ちがただ純粋に嬉しかった。

メフィストが居なくなり、少しして私は知ってる魔力が近づいてくるのを感じた。

そして遠くの方から声が聞こえてくる。


「おーい、ルリ、キャロ、シャロ」


「シオーン、こっちだよー」


私の声が聞こえたのか、シオンはこちら手を振りながらこっちに向かてくる。どうやらシオンの方で起きてた問題も解決したみたいでナツメちゃんはシオンに背負われているが無事なようだった。だが気になるのはシオンの横にいる少女。どうやらシオンがまた知らない女を連れ帰ってきようだ。

その少女を見て私は少しため息が出る。優しいシオンの事だナツメちゃんを助けるときにその子も助けて連れて来たとか言うのだろう。

私はそう思っていた。誰にでも優しいのはいいことだが、なぜかシオンの周りは女の子が集まってくる。

だがそんな愚痴はシオンには言わず笑顔でシオンを迎えた。


「お帰りシオン」


「ただいま。ところでこっちでも何かあったんだな」


オーディンさんを見て何かを刺したらしいシオンは、家の方向に歩きだした。


「シオン、何があったか聞かないの?」


「聞きたいのはやまやまなんだけど。ここじゃ落ち着かないし家に行こうぜ。俺もこの子を紹介しないといけないし、そっちの2人も紹介してほしい」


そういって、歩いてるシオンは一度足を止めライライさんとフーラさん見る。じっと見つめ合い数秒、お互い何も言わずシオンはまた家に歩きだした。


メフィストを退け、家につき神を交えての話し合いで、私達は本当の敵について知ることになるのだった。

ライライ「偶然の重なりってすごいわね」


フーラ「姉貴、ここは退屈しなさそうだな」

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