名誉ある戦い:パーティー戦
今回はドュエルグランツの内容が浅いため、一つの話でまとめ日常会の章で書きました。
来週は投稿できないかもです
「それじゃ、いつでもいいぞ」
晴れ渡る空、ステラ学園第8訓練場。
俺達2年Sクラスのための特別な訓練場。使用者がいる場合ほかの訓練場よりも、強度や性能のいい結界が張られる。
鬼神刀を構え、神の力も解放した俺に対して、ルリ、キャロ、シャロはフォーメーションを組むように一定の距離を保ち俺と対峙していた。
その他に、この場所にはメイシスや母さん達フォール家。フォルテ先生とグラハム先生が俺たちの戦いを見守っていた。
なぜ俺達がこんな戦いをしているのか、それは学園行事名誉ある戦いのためだった。
冒険者は基本ソロで行動しない。そういう話し合いが各学園長たちで行われた結果、今年からパーティー戦というのが開催されることになった。
ただ初めての試みで、しっかりとしたシステムが組まれておらず今年は学園が決めた代表パーティーを各学園から2組選出し、それがトーナメント形式で戦うことになったらしい。
パーティー人数は2~4人。だが基本的にはどこも4人パーティーを組むと想定されている。ステラ学園でも2年、3年から1組ずつパーティーが決められ3年のパーティーはSクラスから代表された4名だった。
この話が俺たちに来た時、真っ先に俺、ルリ、キャロ、シャロの4人でパーティーを組もうとしていた。それを想定していたフォルテ先生は、俺たちに申請用紙を渡そうとした。だがそこでアレスからストップが掛かる。
どうやら、俺達が出るのは過剰戦力過ぎて、見ている側も盛り上がらないからやめてほしいらしい。というか、俺が出るのはまずいという事だ。それならまだ女性3人が出て優勝した方が華があるらしい。
そういう訳で、俺は渋々諦め、三人が必ず優勝するように模擬戦をすることにした。
軽い気持ちの模擬戦ではないので、フォール家の庭では広さが足らず学園で模擬戦をすることになった。
俺を前にした三人は、仕掛けるタイミングを窺っている。俺の方も三人が相手となれば容易に手が出せない。結果沈黙状態が数分続いていた。
例えば、戦い素人の集団や、指揮系統のある数だけの軍なら俺は攻めあぐねる事もないだろう。素人なら一人一人と倒す時間は然程かからないし、軍のような集団なら指揮をするものや、リーダー格を倒すだけで他は統率が取れずただの有象無象になる。
だが目の前の3人は違う、言葉がなくてもお互いの意図がくみ取れて、行動できる連携性、1人1人が持つ脅威性、俺の事をよく知ってるから何がきても対応できる順応性。
正直俺が居ようが居なかろうがこの3人がドュエルグランツで負ける可能性はないと思ている。
俺が攻めあぐねていると、とうとうキャロが動き出した。〔縮地〕を使った、超高速接近。キャロが得意とする高速の突きを何とか躱し、その懐に飛び込む。一撃で仕留めるつもりで鬼神刀を振るおうとしたが、〈隠密行動〉で気配を隠していたシャロが横から短剣で俺の腹部を刺そうとしてくる。間一髪でそれを素手で掴み取れば、シャロが「うそでしょ~」と不満の声を漏らしたのが聞こえた。
俺が短剣を掴んだすぐあと、至近距離のキャロが蹴りで俺との距離を話す。蹴られる瞬間わざと後ろに飛び、その衝撃をわずかに軽減する。だが次は着地地点をルリが予測して、俺の着地と同じタイミングでルリが神槍グングニルを振るってきた。
たまらず俺は「〈瞬間移動〉!!」と叫び一度距離をとる。すかさずルリが距離を詰め攻撃を仕掛けてくるが、一瞬で体勢を立て直した俺は鬼神刀で応戦。数回打ち合った後にお互いが距離をとった。
「ルリ達、これいつまで続けるんだ?」
「うーん、私はもういいかな、今のでシオンに対抗できるって確信はできたし」
「私もルーちゃん賛成だわ」
「ここでやめとけば、兄さんに引き分けたって言えるし終わりがいい~」
それを聞いた大人組はホット息をついた。おそらく派手な戦闘で結界が壊れるとでも思っていたのだろう。まぁ地面とかは抉れているが周囲に損害は出ていない。
この後、いろんなパーティーの組み合わせで模擬戦をおこなった。最後の方はみんながヘロヘロで家に帰るのもやっとの事だった。
珍しい人と組んで戦う事のできた、貴重な時間でもあった。
後日談だが、名誉ある戦いチーム戦は見事ルリ達が圧倒的な力で優勝した。学生の中でずば抜けていた、ルリ達は申し訳なさそうに優勝トロフィーを持っていたが。そこにいた観客たちは大盛り上がりだった。
ナツメ「私も学生だったら」
フォルテ「シオン君たちの異常性には本当に驚かされる」