少し遅めの誕生日会
投稿が安定しなくてすいません。
戦争が終わり新たな家族を二人迎え俺達は、いつもの平和な日常に戻った。
「ルリ、キャロ、シャロ、帰ろうぜ」
「シオン、その今日は私たち別で遅めに帰って来てくれないかな?」
「今日はシオンにぃのために、」
「キャロちゃんそれ以上はだめよ」
授業が終わり、帰ろうと声をかけるとルリ達は別々に帰ろうと言ってきた。
別にこういうことが今までもなかった訳ではない。女子同士でしか話せない事や、女子だけで買い物したい時もあるのだろう。
だが気になったのは、キャロの「シオンにぃのために」という発言だ。すぐにシャロが口を塞いで言葉を遮っていたが、どうやら俺も少なからず関係はしてるっぽい。
「わかった、今日は遅めに帰る」
「ありがとう、それじゃまた後でね」
「シオンにぃバイバイ」
「兄さん、後で会いましょう」
多少何があるか気になったが、無理に聞き出そうとはせずルリ達は先に帰った。
遅めに帰るとは言ったが特別する事もないので時間を持て余してしまう。
学園にいてもしょうがないから、クラスを出ようとすると。
「シオン君、ちょっと待ってほしいっす」
「どうした翔太。まだ帰ってなかったのか?」
まだ残っていた翔太が俺に声をかけた。普段はリティスさんが家にいるからと言って早く家に帰っているのに珍しい。
「今日もし時間があれば、家に来ないっすか?
「いいのか、俺は暇だからむしろ呼ばれて嬉しいが」
「じゃあ、決まりっすね」
こうして、学園から家に帰らず俺は翔太の家に遊びに行くことになった。
学園から話しながら歩いて大体20分。普通の一軒家に住んでいる翔太。だがこの決して大きいとは言えない一軒家は日本で見覚えがありどこか懐かしい家だった。
「お邪魔します」
「ただいまっす」
家に入りリビングに通された俺は、家にいた翔太のお姉さんである花蓮さんと、翔太の恋人であるリティスさんと久しぶりにあった。一足先に花蓮さん達がいる場所に座り、後から着替えてきた翔太も席に座った。
一つのテーブルを四人で囲う形で俺の真正面には翔太、隣には花蓮さん、翔太の隣にはリティスさんみたいな配置に必然的になった。
家に呼ばれて他愛もない会話をしている中で翔太とリティスさんはずっとイチャイチャしてた。お互いの顔を見れば笑いあい、机の下でお互いの手を触りあったり、手以外にもいろんなところを触りあっていた。
そんな光景をあきれながら見る俺と花蓮さん。
「翔太って家でいつもこんな感じなんですか?」
「そうね、正直居心地が悪いわ、私もだれかいい人いないかな」
どこか遠い目をしている花蓮さん。この人に良い出会いがありますようにと心の中で願ってみた。
「そういえばシオン君知ってるっすか?転移者だけの国があるって話」
「なにそれ?」
翔太とリティスさんのイチャイチャが一段落したところで、翔太が少し興味深い話を振ってきた。
この世界には転移者が割多く存在する。この家にいる四人のうち俺も入れれば元地球出身だし。ナツメや今の勇者も転移者だ。
「なんでも、サブメラから馬車で数日のところにあるらしくて、この世界にはない技術をたくさん持ってるらしいんすよ」
「俺は転移者にカウントされるのか?祖茂もそも転移者以外がその場所に入れるのか?」
「なんでも、住む事はできなくても観光ぐらいなら行けるらしっすよ」
「なら今度家族旅行でいってみるよ」
「その時は感想まってるっす」
こうして、面白い話も聞けて、その後も俺は青井家にいさせてもらった。日も落ちかけて帰ろうとした時翔太に呼び止められる。
「シオン君、アレス君から伝言を預かってるっす」
「伝言?なんだ?」
「日が落ちる前に王城に来てくれって言ってたっすよ」
「あぁ~...ってもうすぐじゃないか!そういうことは先に行ってくれよ。お邪魔しました」
俺は勢いよく青井家を出て迷惑にならないように駆け出した。王城はサブメラの中央で目視するだけならほとんどの場所でできるが、行くとなると少し時間がかかる。
しかもなぜが、今日に限って人混みが多く、全力で走れない。仕方ないので俺は誰の目にも付かなそうな細い路地に入った。
「緊急時でなければ使いたくないんだけどな、仕方ない〈転移〉」
いきなり王城前に現れた俺に入り口で待機している兵士は驚いた。アレスに呼ばれたと伝えると兵士はすんなりと通してくれた。
門を潜れば使用人の一人が俺を待っていて、城の一室の入り口まで案内された。多少くらい道を進み俺が来たことない場所まで案内される。
「この中で、アレス様はお待ちになってます」
「案内ありがとうございました」
軽く会釈をして、俺は部屋の扉を引く。すると部屋の明るさに目をやられ、パァンと何かの破裂音が聞こえる。
光に目が慣れ何が起こったか確認すると、部屋の中にはアレスをはじめルリや母さん達。俺のしているメンバーが勢ぞろいしていた。
「アレス、これはいったい何だ?」
「ルリさんから、シオンが夏、誕生日を迎えたと聞いてな。ただシオンはいろいろ忙しくて、何も出来なかったんのだろう。だからシオンの知ってる人を集めて盛大にやろうと企画されてな」
そう言って、アレスは俺をルリの前まで連れていく。ルリは覚醒状態のような真っ白いドレスを身にまとい。少し照れたよ言うな顔をしていた。
「ルリ、ありがとな。こんな盛大に祝てくれて」
「何も言わなくてごめんねシオン。いろんな人の日程を合わせてたら遅くなっちゃって。一か月も過ぎてしまったけれど。改めてお誕生日おめでとう」
ルリがそういうと、みんなが拍手をして口をそろえて「おめでとう」と祝ってくれる。俺はその光景に感動して何だがでそうだった。
「シオングラスを持て、何か主役から挨拶がなければこのパーティーは始まらないからな」
そういうと、アレスは飲み物の入ったグラスを俺に渡した。それを受けとり、俺は部屋の奥にあるステージまでルリと一緒に案内される。
全員が俺に注目してる中、俺は周りを見て一度大きく息を吸った。
「今日は俺のために集まってくれてありがとう。まだまだ夜は長いみんなで楽しんでいきましょう。乾杯」
乾杯の合図で俺がグラスを上にあげると、集まったみんなも「乾杯」と言ってグラスを上にあげる。
そうして俺の14の誕生日パーティーは始まり。日付の変わる時間までみんな笑顔で楽しんだ。
俺にとって最高で忘れられない日を送るのだった。
ルリ「シオン、おめでとう」
シオン「ルリ、最高の一日だったよ」