シキ
週一投稿が厳しすぎる。
遅れてすいません。
それと、新たな家族の話だけだと限定されてしまうので、この章を変更して日常の話も追加していきます
「おはようございます。ま~すた~」
普段の習慣で早朝目を覚ますと、ぼんやりとした視界に銀髪ロングで日本の体操着姿をしているシキが写る。
「...まだ夢の中か」
そう自分に言い聞かせ、布団を被り直し目を閉じる。だけどすぐに布団は剥がされ瞼を開ければ、体操着姿のシキが前かがみで俺をのぞき込んでいた。
「ますた~朝の鍛錬はしないんですか?」
「...いや、鍛錬はする。それより何で俺の部屋にいて体操着なんだ?」
「マスタ~の記憶にある動きやすそうな服を着てみました~、この服は良いですね。ちょっと胸のあたりがきついですが」
そう言いながら、シキは白を基準にした体操服の襟元を引っ張り、空間を作り出そうとしている。
そもそも体操服なんて学生の着る服で、シキが着ればそうなるのは明白だったが。あえて突っ込みはしなかった。
「それよりますた~。ルリ様はどうしますか~」
そう言いながら、いまだベットで気持ちよさそうに寝ているルリに視線が移る。もはや俺のベットで一緒に寝るのが習慣のルリは俺の鍛錬についてくるとき以外。よほどのことがない限り起きることはない。さらに無理に起こそうとすれば機嫌も悪くなるので、布団をかけ直し。
俺は動きやすい服に着替えてから部屋を後にした。
今この家に住んでいる家族は基本的に一人一部屋、それもかなり広い部屋が与えられている。唯一、一緒の部屋で過ごしているのは、父さんと母さん、レオとリアンぐらいだ。まだシキとメイシスがこの家に来てからそう日が経っているわけではないが、今日初めてシキが俺の部屋に朝から侵入していた。
体操服を着ていることと、鍛錬の事を聞いてきたことから間違いなく、一緒に鍛錬を行うと予想はできる。
案の定、俺が魔力循環を始めると、シキは木剣を握り素振りをし始めた。
一通り魔力の循環が終わり意識がはっきりしたところで、俺はシキに質問してみた。
「どうしていきなり、朝の鍛錬をしようと思ったんだ?」
「そうですね。私自身体を動かしたかったのと。そろそろ私の力をますた~に知ってもらいたいなと思いまして」
そう答えながらも、シキは素振りを続けている。しばらく続けて小さな声で「100回」と言ってシキの素振りは終わった。シキの素振りを横目に見ていたが、まず体のブレが一切ない。素振りは日本の剣道のような頭の上から、一直線に振り下ろすものだったが、止めるときにも剣先にブレがなく、決して素早い素振りではなかったが風を切るような、ぶぉん、という音が聞こえていた。
シキの戦闘を見たのはあの戦争の時、ほんの少しだけだった。だがその中でも軽い身のこなし、一撃で相手をしとめる集中力、さすがは鬼神刀の擬人化と言えるものだった。
もしかしたらシキの体のモデルがルリだから、その能力を継いでるのかもしれないが。
だが実際のところ、シキ1人がどれだけの戦力になるのか俺は、いや俺たち家族は知らない。そもそもシキがシキでいるとき俺の手元には鬼神刀は存在しない。そうなった時俺の戦力がそもそも下がる。だから戦闘中俺が鬼神刀を扱うのが良いのか、それともシキになって頭数が増えた方がいいのかわからない。だからこそ今シキは自分の力を知ってもらおうとしてるのだと、思う。
だがそんな俺の心情を悟ったように、シキは驚くべき発言をした。
「ますた~、私と鬼神刀、それぞれが同時にこの世界に存在する方法はありますよ」
「え!そんな事可能なのか?」
「簡単に説明すれば鬼神刀の中に私の魂が存在していることになります。そして今は姿を変え、この姿になっていますが、剣にある私の魂を分離させてしまえば、〔肉体構築〕で意思のある人型の私と、意思のない武器だけの鬼神刀になる事も出来るんですよ」
「なるほど...なんとなくわかったが、それでデメリットとかあるのか?」
「うーん、特には。強いて言うなら、剣の時危険を感じ取れればすぐにお伝え出来ましたが、離れてしまう以上。伝達が少し遅れることですかね」
聞いている限りは大きなデメリットもないので、一度鬼神刀に戻ってもらい。〔肉体構築〕を発動する。そうすれば確かに元のシキが現れ、手元には鬼神刀が残ったままだった。
「ん?じゃあ摸擬戦する意味なくないか?」
シキが頭数に加わりさらに鬼神刀もある。こうなれば態々戦う必要はない。そう思ったのだが、シキは俺の方を向き右手を上にあげた。
「ますた~、それとこれは別ですよ」
「わかったが、なぜ腕を上げ...」
俺が疑問を言い終わる前にその答えがわかる。シキの頭上に数重の魔法陣のような物が浮かんだと思ったら。そこから見覚えのある剣が俺の方をに向き、射出されようとしていた。
「おいおい、お前どこの英雄王だよ」
「ますた~の記憶にあった技を見よう見まねでやってみましたが、何とかなるものですね。ただ武器は鬼神刀だけですが」
そう、空に浮かぶ剣は俺が今握っている鬼神刀と同じだった。シキが右手を下げれば、数10本の鬼神刀が俺を目がけて射出される。追尾性はなく一直線にしか来ないが、一本でも当たれば致命傷になりかねなかった。
弾きと躱しを続けても、シキの攻撃は止まらない。たまらなくなり無数の剣に対処しながら俺は叫んだ。
「おい!もう摸擬戦の域は越えてるんじゃないか?!」
「大丈夫ですよ。この件すべてに殺傷能力はないのであたっても、切れたり刺さったりしません」
「ばっか、こんな鋭い物が当たれば。殺傷能力がなくても人体には刺さるだろ!」
「ますた~が避けてる限りは、当たった瞬間消えるようになってるので安心してください」
それはつまり、俺が攻めに転じた時点で、この剣が俺に刺さると言っているようなものだった。
楽しそうに剣を射出するシキを見て、だんだん腹が立ってきた。あまり立場とか気にするタイプでもないが、一方的だとどちらが上かわからせたくなる。
「〈瞬間移動〉」
俺は隙を伺い魔法を発動して、シキの後ろをとる。だが俺の行動を読んでいたのかすぐに振り向き、シキ自身が持っている鬼神刀で攻撃してくる。
だがその行動を俺は、〈未来予知〉で読んでいて、攻撃を躱し、俺の藻ている鬼神刀をシキの首に当てた。
「さすがますた~。かなり本気でしたが圧倒されました」
「冗談はよせ、ほとんど防戦一方だったろ。それよりどうやってあんなに鬼神刀を出せるんだ?」
模擬戦が終わり、俺は汗を拭きながら、シキに質問する。シキは飲み物に口を付けて息を整えてから答えた。
「あれは、ただの複製です。空にあった魔法陣は〈武器作成〉で鬼神刀は私なので同じものを作っているにすぎません。だけどどこまで行ってもコピーですし。コピーとはいえ、私かますた~以外が持つことも、武器として使用することもできませんが」
軽い感じで説明しているが、普通の事ではない。
こいつも規格外なんだと改めて認識させられる。
この後お互いに軽く鍛錬をして1日を始めるのだった。
キャロ「フォール家はいったいどこに向かおうとしていおるのかしら」
シャロ「多分家族最強じゃないかな~」