来客
最近週1投稿ですいません。
なるべく頑張って週2にしたいのですが時間が
頑張ります。
異種族同盟と、帝国による戦争が終わって約1か月ほどの時が流れた。大事になったのが噓のようにシオン達は平和な日常に戻っていった。
だがシオン達にも変化はある。それが原因でまた新たな問題が起ころうとしていた。
(明らかに、この国からあれの力を感じる...)
太陽がちょうど真上にある時間。
全身をボロ布で覆い、汚いフードで顔を隠した女性がサブメラに入っていく。見た目の怪しさもあり当然正面からの入国はなく、魔法を使い自身を認識させないようにしている。
普通にしているだけでも、気色悪がられるか通報されるレベルで怪しいが誰もそれには気が付かない。それをわかっているからか、女性は平然とサブメラ内を歩いている。
(此処ね、あれの力を一番感じるのは、でもどうして人間の国にあれがいるのか)
女性はとある家の前で立ち止まる、普通の住宅街に一つある異様なまでに大きな家。外見は貴族の家のように派手ではないが、大きさだけで周囲との違いを感じられる。だがそれ以上にこの女性はとある気配に執着していた。
(さて、ここにいてもしょうがない。あれと出会えば刺し違えてでも)
そう心で思いながら、その家の扉を叩く。すると数秒後に家の中から足音が聞こえた。それと同時に女性は感じている。自分の目標が近づいていることに、あれが兵士や部下を使わず、自分の目標と初めから一対一ができる幸福と、死に対する恐怖がこの女性の心を支配する。
全身を覆っているボロ布の内に隠した幾つもの武器と、魔法を使うための魔力を集中させる。そして家の扉は開かれた。
「待たせたの、してこの家に何用だ?生憎だが今家の者は全員出払っている」
「え!」
女性は困惑している。家の中から出てきたのはゴスロリメイド服を着た少女、いや幼女と言っても違いない子供で、だがそれは自分が探していた存在の気配に間違いはなかった。我に返り幼女を観察するが、それから敵対の意思は感じられない。どうしようか迷っていると。その幼女は扉を開けたまま家の中に戻ろうとした。
「誰か知らんが、妾に用があるのだろ。とりあえず中に入って待ってはくれないか?」
「わ、わかった」
この幼女には殺気が気付かれている。こうなっては下手な事はできない。言われた通りおとなしく家の中に入り、この家のリビングであろう場所に通された。
「とりあえず飲み物だ。シオンが返ってくるまでは寛いでくれ、もちろんその飲み物に毒などは入っておらん」
幼女はそう言いながら、目の前に飲み物の入ったカップを置く。幼女は自分の対面に座り、同じようなカップに入った飲み物に口を付けた。
女性は言われた通り、シオンという人物が帰ってくるまで、大人しく待っていることにした。
「ただいま」
「お邪魔するっす」
とある調べ事の為アレスとウロノスさんのいる王城まで行き、何も分からずに翔太を連れて俺は帰宅した。
「メイシス、飲み物を...誰?」
「痛っ、シオン君扉の前で止まらないでほしいっす。あれお客さんっすか?」
俺にぶつかった翔太が鼻を触りながら、俺に文句を言ってくる。だがそんなことは気にならず、むしろリビングで座っている如何にも怪しい人物に目がいった。
「人間!?どうしてここに!?」
俺と翔太を見るなり、勢いよく立ち上がった。声からして女性というのは察していたが、立ち上がった時にフードが取れて、肩まで伸ばされた奇麗な髪、整った顔立ち、だが大人びてもいる。汚い服やボロボロのフードから想像できないほど美しい女性がそこに立っていた。
それより気になったのは、この女性の言葉。どう見ても俺と翔太は人間で、この国はいろんな種族はいるが、一応人間の国でもある。なのに俺達を見るや否や人間であることを驚いていた。
よく見れば、俺達に驚いている中で女性はメイシスに対してかなり警戒もしている。もしかするとここをメイシスの拠点か何かと勘違いしているのかもしれない。
メイシスの事だ、俺がいないときにこの女性に適当な事を言ったのだろう。別に俺もメイシスに、原初の魔王である事を隠すようにと釘を刺した事はない。むしろゴスロリの幼女を見て信じる人間がいると思ってもいない。
だが一応、この女性に何を言ったのか気になった。
「翔太、適当に寛いでくれ。ちょっと、メイシスこっちに来い」
「わかった」
「了解っす」
メイシスを連れリビングの奥にあるカウンターを挟んだ先のキッチンの方に行く。
「あの女性に何を言ったんだよ」
「いや、妾は何もいっとらんよ、ただシオンが来るまで待ってくれって。家に来た時からあんな感じだったぞ」
メイシスが嘘をついてる感じはなく、おそらく何も言ってないのだろう。じゃあなぜあの女性はあれほどにメイシスを警戒しているのか考えようとした時。「あー!!」とリビングで女性の大きな声が聞こえた。その声に反応して、すぐにリビングに戻る。
すると、女性が、翔太の持っている一冊の本を指さしていた。
「どうした?」
「それ、その日記」
いっけん、女性が日記を見て驚いているだけのようにも思える。だが俺は違和感を感じた。
「翔太。中身見せたのか?」
「いや、見せてないっす。ただバックから取り出したらこの人が」
見た目はただの本にしか見えない物をこの女性は日記と言った。なぜ中身を知っているのか。
「失礼ですが、なぜその本が日記だと思うんですか?」
「それ、私のだからよ」
「「え!!」」
俺と翔太が目を見合わせる。今日王城まで行った理由はまさにこの日記の調査だった。この日記は俺が子供のころレサルの本屋でもらった本。つい最近掃除をしていたら見つけ出した物だ。この日記ただの転移者の日記だと思って放置していたが。よく見返したら転移させられた時から戦争終了までのおよそ数百年の事が書かれている。もしかしたらだが、この書き主はまだ生きてるんじゃないか、と思って調べていた。
調べ始めてからほとんど進展はなかったが、ここに来て持ち主本人が現れると思ってもいなかった。
だが、この女性が言ってるだけで本当かどうかわからない。そこで調べてみようと思った。
「この本、本当にあなたのですか?何か証明できることがあれば、始めの方に書いてある事とか分かります?」
「えっと、たしか転移した時の事を書いた気がするわ、最も転移とか分からないと思うし、その日記の内容なんて読めないと思うけど」
「どうして読めないと思うのですか?」
「あなた達にはわからないと思うけど、その中、日本語っていう別の世界の言葉で書かれているから」
確信した。この女性は間違いなく転移者でこの本の持ち主。
そう思って、翔太に合図して日記を返してた。そして白紙の紙を用意して、翔太に渡した。そしてその紙に自分の名前を書く。日本にいたころの名前を。
「改めて、自己紹介します。俺はシオン・フォール。別名竹下詩音。転生者です」
それを聞いて翔太も急いで自分の名前を紙に書く。
「自分は蒼井翔太っす。あなたと同じ転生者っす」
それを聞いて、今日一番驚いた顔をする女性。そんな時だった。
「ただいま」
「戻ったよお兄ちゃん」
ルリとナツメが帰ってくる声が聞こえたのだった。
???「私以外にも生き残りが」