戦争の終わり
投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
あと少しでこのしょいうも終わりになります。
「よ、幼女?」
「幼女ではない、妾は原初の魔王と呼ばれる存在」
ない胸を張って、精一杯の威厳を見せつけてくるロリ原初の魔王に皆が温かい視線を送る。まるで子供の成長を見ているようだった。
その視線に気が付いた原初の魔王は頬をぷくっと膨らませ、如何にも怒っているアピールをする。それがまた愛らしかった。
「馬鹿にしておるな、馬鹿にしておるじゃろ!」
「いやいや、そんなことないぞ」
そんな、何とも言えない状況の中俺より後ろにいたアイラさんが前に出て、原初の魔王の前で片膝をつく。
「お初にお目にかかります、私は今の魔王、アイラ・サタナスと申します」
「お主が今の魔王か...そうか女性の魔王が誕生する時代か。変わったな」
どこか懐かしそうにつぶやく原初の魔王メイシス。その後アイラさんに一声かけ立ち上がらせた。
「アイラよ、お主はなぜそこの人間と協力する。なぜ人間と手を取り合う?」
「それは...」
メイシスの質問に少し頭を悩ませるアイラさん。悩み終わりまっすぐとメイシスの目を見つめる。
「私たち魔族が幸せに暮らすため。後の世代の魔族に苦労をさせないために、人間と手を取り合ったのです」
「力で支配すればよかろう?圧倒的力の前では誰も逆らうことなどできない」
「それは違います!」
メイシスの言葉にアイラさんではなく、ルリが勢いよく反論する。ここでメイシスもアイラさんでなくルリを観察し始めた。
「お主は誰だ?」
「私は、現魔王アイラ・サタナスの娘。ルリ・サタナスです」
「なるほど。してルリよ、いったい何が違うんだ?恐怖の前には誰も逆らえないぞ」
「確かにそうかもしれません、ですがそれは、いずれ崩れ去る。恐怖の支配は誰も幸せにする事なんてできないです」
メイシスを真っ直ぐ見つめ己の主張をはっきりと述べるルリ、目の前の存在が原初の魔王と呼ばれる存在であっても恐れない姿に、少しかっこよく思えてしまった。
ルリの意見を受けて、メイシスが俺とルリ、そしてアイラさんやここにいる皆を見渡す。そして深く息を吐いた。
「そうか、本当に時代は良い方に変わったのだな。妾は原初の魔王。もう古き魔王だ、これからの魔族はアイラ、ルリ、そなた達に任せたぞ」
「「はい!!」」
こうして、原初の魔王こと、メイシスの一件は片が付いた。戦争も異種族同盟が完勝に終わり帝国兵のほとんどがこの世を去っていった。意外だったのは邪神の使いの1人ケンヤがアギラードさんとルリのお父さん、魔王の夫のプルームさんに降っており今後は魔族がケンヤの事を管理するらしい。
残った帝国領土は国が一番近いトライドールが管理をすることになった。龍人族は一気に領土が広がったが、誰も文句は言わない。むしろ難民になる帝国残兵の管理や、新しい領土を管理しなくてはいけないらしくトライドールが遠くを見つめていた。
「初めましてプルームさん、シオン・フォールです。娘のルリさんと付き合っています」
「君がシオン君か、話はアイラから聞いているよ、今度も娘をよろしくね」
魔王の夫とは思えないほどの礼儀の良さに、初めは驚いた。見た目や雰囲気も優しそうで、あまり魔王の夫感がない。だが、ルリの話になったとき確実に目で「泣かせたら、ただではおかない」と訴えているのに気が付き、自然と身震いしてしまう。プルームさんもかなりの強者だという事がこれだけでわかった。
大がかりな戦争はわずか1日で終わりを迎えた。この事は長く語り継がれると各国の王は口をそろえていった。しばらくこの戦争の後処理などは残るだろうが、こうして戦争は幕を閉じ、すべての種族が各々の国にと帰還するのだった。
俺達は家に無事帰り着く。俺の横には家の大きさに驚き無邪気そうにはしゃぐ、リアンではない見た目幼女。
「家に付くまで突っ込まなかったが、なんで付いてきているんだ?原初の魔王?」
「メイシスでよいぞ。なに妾も封印されるのは飽きたのだ。お主以外の者にはすでにこの家に住まわしてもらう許可は貰ったぞ?」
「そうなの?!」
俺は父さん達に目をやる、するとコクコクと父さんたちが頷いていた。どうやらこの事を知らなかったのは本当に俺だけらしい。
俺の後ろにいた父さんと母さんは、家に入る前に俺の横に並び、俺を見る。
「よし、シオン。今日は新しい家族と、戦勝の祝いにパーティーを開こう」
「私が腕によりをかけて料理を作るね」
そう言って2人が俺の肩を叩き、先に家の中に入っていく。予想外だが新たな家族、原初の魔王メイシスと鬼神刀の擬人化シキを加えて、夜遅くまで家族で楽しく過ごすのだった。
メイシス「ゴスロリメイド服を着てることだし、メイドさんをやるのも面白いかもな」
シオン「原初の魔王が、メイドってそれだけで話がかけそうだな」