自滅
投稿期間が開いてしまって申し訳ない。
今回あまりまとまった仕上がりではありませんが、直せる時に直していきます
「常に制空権を確保しろ!空は俺達異種族連合の物だ!」
トライドールが指揮を飛ばせば周りの龍人達は雄叫びと勘違いしそうなほどの声を張り答える。数は多いとは言えないがそれでも帝国は空にいる龍人たちに手も足も出なかった。
この世界には、昔から伝えられている特殊な職業龍騎士と言うのが存在している。
龍騎士は気性の荒く強力な魔物である、ドラゴンと友好関係を結びはじめて龍騎士として認知される。
龍騎士自体はドラゴンと友好的な関係を結べれば誰でもなれるが、ドラゴンと友好的関係を結ぶというのは簡単な事ではない。
そんな中でも龍人は見た目が似ているからなのか、龍騎士になれる素質を持つものが多くドラグーン王国では龍騎士だけの少数精鋭部隊が存在している。
戦争において空中戦はかなり重要度の高い戦いになる事が多い。空を制する事ができれば戦争を有利に進める事ができる。
普通の生物は空を飛ぶことはできない。ドラゴンに似ている龍人でも羽はなく空を自由に飛び回れない。そこで龍騎士達はドラゴンの力を借り空を飛ぶ。空を飛ぶには基本的に4つの方法が存在する。
まず龍騎士達のようにドラゴンの力を借りて空を飛び回る。
2つ目は魔法を使う方法、超級魔法である〈飛翔〉と風属性の中級魔法である〈旋風〉を駆使して空を飛ぶことができる。だがこれは空を飛んでいる間〈飛翔〉を常に使用し続けなければいけないので、魔力量が少なければ長時間空を飛ぶことは不可能とされている。
3つ目は生まれつき、もしくは成長の過程で飛行系スキルと羽が生えてきた者。生まれつきの方に該当するのは羽をもつ獣がベースの獣人か、サキュバスなどの一部の魔族達。デメリットなどは存在しないが長時間の飛行には身体的な疲労を伴い。また誰かを掴んだりして飛ぶのは一部の者にしかできない。
最後は方法は空を飛ぶための、魔法道具を作り出す事。
帝国に住む人の種族は人間。本来であれば空を飛んで制空権争いをすることはできない。だが飛行艇という魔法道具を作り出し制空権を確保しようと試みていた。
飛行艇は船のような形をした物で、魔力の宿る石、魔力石を動力として大量に使うことで空を飛ぶ船が完成する。本来はそんな簡単な話ではなく、いろんな仕組みがあるのだがかなりややこしい設計になっている。
飛行艇のメリットは船のような形をしていることから、大きさによっては何百人もの人が乗り込む所とができる。また何人も乗り込むことによって飛行艇から魔法を使い攻撃もできる。さらに言えば飛行艇事態に大砲などの装備を付ける事によって、飛行艇事態が攻撃可能になる。
だが当然メリットがあればデメリットも存在する。まず前進しかする事ができない。方向転換はできるが多少の時間を使ってしまい緊急回避などは間に合わない。そして小回りが利かない。空を動き回る龍騎士に対しては飛行艇にある大砲では攻撃を当てることはかなり難しい。さらに飛行艇の一部が大破してしまえば空を飛び続けることはできない。
そもそも飛行艇は戦闘向きではないのだ。
「くっそ、魔法部隊がこんなに役立たず共の無能集団だったとは、おい誰か僕の事を守れ!」
飛行艇の中で一人の男は喚き散らかしている。それを見ている帝国の兵士達はボロボロの状態でどうすればいいのか必死に頭を回していた。
この男は邪神の使いの1人、10機ある飛行艇の中でもひと際でかく豪華で一番性能の良い飛空艇の指揮官をしている男だった。だがこの男に指揮能力は全くなかった。邪神の使いという身分を利用し横暴な態度をとり周りを見下している。確かに能力値や戦いのセンスは高いのだがそれゆえに勘違いを起こしている。
世界は自分を中心に回っているのだと。他の邪神の使いともあまり仲が良くなく1人で何でもやろうとする。
そして挙句の果てには失敗をすれば、すべて他人のせいにするどうしようもない人物だった。
「あれが、指揮官のいる飛行艇か」
「トライドールさん。援護に来ました」
「ティターンさん!感謝します」
ドラゴンの背に乗るトライドールは少し離れた場所にひと際目立つ飛空艇を発見する。様子を伺っているところに精霊族の長ティターンが合流した。ティターンは普通の精霊ではない。成長し精霊王という種族に進化しており、スキルによって自由に空を飛ぶことができる。
「トライドールさん、あの飛空艇何か変じゃないですか?」
「確かに、なぜか分からないけど中で何度か魔法が使われてるように感じる...あ、煙が出てきた」
2人が飛行艇を見ていると、飛行艇全体から煙が出始める。そのまま中で損傷があったのか飛行艇はどんどん高度落としていった。
一方そのころ飛行艇内部では
「指揮官、どうしま、カハァ」
「な、何をするんですかしきか、ウッ」
「お前らがいけないんだ。お前らのせいで僕の作戦が失敗するんだ。此処の奴らを殺して僕がすべてやってやる」
邪神の使いは船に乗っている帝国の兵士を次次に殺していった。抵抗する帝国兵もいたが、邪神の使い相手では為すすべなく死んでいった。
「くっそ、なぜうまく操作できないんだ!なぜ地に落ちる!僕の魔力をこれだけ入れてもだめなのか!」
1人になった邪神の使いは操作の分からない飛行艇でいろいろ試していく。だが飛行艇内部で兵士を殺したことによって飛行艇が傷つき空を飛ぶことはできなくなっていた。それを魔力不足と勘違いし動力室で魔力を足すが一向に飛行艇の高度が戻る事はなかった。
「仕方ない、この船を捨てる。そもそも設計が悪いんだ。僕が使えない船を用意した帝国が!〈飛翔〉」
邪神の使いは飛行艇の外に出て魔法を使い空を飛ぶ、だが先ほど魔力を大量に使ってしまいその飛行は力無くかなりふらついている。そしてとんだ先にはトライドールとティターンが居た。
「おう坊主、もしかしてお前邪神の使いか?」
「ハァハァ、誰が坊主だ!僕は邪神の使いだぞ」
「そうかじゃあ、弱ってるとこ悪いな」
「なぜ槍を持って近づく...クッソ」
「逃がしません風の鎖」
「な、なんだこの鎖!や、やめ」
言葉の最中だが邪神の使いの首をトライドールが切り落す。こうして最後の邪神の使いは、驚くほどあっけなくこの世界を去っていくのだった。
トライドール「俺達だけあっけないな」
ティターン「お互い無事な事を喜びましょう」