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ライオネルとドリアーナ

本編を進めず、少し別の話を書いてしまいました。ちなみに後2話ぐらいあります。

シオン達が帝国内に侵入していた頃、帝国外では異種族同盟の部隊とシオンによって半分以上の兵を失った帝国軍が戦闘を繰り広げていた。


「数で優ってるんだ、無理するんじゃねーぞ」


最前線に立ちつつ全体に聞こえる声で指揮を執るライオネル。王が自ら前に出て戦っている姿は獣人だけでなく、すべての種族の士気を上げる事に繋がっていた。


王の中でもライオネル、龍人の王トライドールは常に前線で戦い、ティターン、ドリアーナ、アレス、ウロノスは後方で全体指揮を執り、何かあれば前線に出るという事になっている。


「王、報告が」


「聞かせろフーロ」


「例の存在が現れた模様、現状ホースが相手をしており周辺の兵士は撤退させました」


「ようやくお出ましか、ご苦労フーロ。俺がその場所に行く、フーロは別の場所の支援にむかえ」


「了解です」


ライオネルは、ローガリア部隊3番隊の隊長フーロから報告を受け、改めて気合を入れる。例の存在との戦闘は避けられないと分かっていたが、それでも体が震えてしまう。

だがこの震えは、恐怖心でなく、武者震いだと自分に言い聞かせて急ぎ、1番隊の隊長ホースのもとに駆け付けた。


「ホース、無事か!」


「おやぁ、どうやら獣人王のお出ましですかぁ、怖い怖い」


「王よ、来てくださりありがとうございます。間違いなく奴は例の存在、邪神の使いです」


「わかった、報告ありがとう。下がって休め」


報告を受けてから、すぐに駆け付けたはずなのに、ホースはすでに幾つもの傷を負っている。対する邪神の使いは傷どころか、余裕の笑みすら浮かべている。

ホースは獣人国でライオネル達、王家を除けば一番強い獣人。信頼している部下を圧倒する存在の前に、ライオネルは引かずむしろ前に出た。


「来るんですかぁ、いいんですかぁ、貴方じゃ勝ち目はありませんよ」


「ライオネルさん1人なら勝てないかもしれない、ですが私もいます!」


「ドリアーナさん!」


後方にいたはずの、ドリアーナがライオネルの援護に来て、強化魔法を付与する。通常の強化魔法に合わさり、エルフ特性の魔法も組み合わさってライオネルの力は倍以上に膨れ上がる。


「〔獣王の剣(ビーストソード)〕!」


「そんな単純な攻撃、なっ!はや。グハァ!」


自らの力を過信しすぎていたのか、邪神の使いはライオネルの攻撃を直で受ける。


「すげー、こんなに体が軽いのは初めてだ」


「エルフの強化魔法は特別ですから」


過去ジェシカに手も足も出せなかったライオネルが、邪神の使い相手に強烈な一撃を打ち込めた事に思わずガッツポーズをとってしまう。そのままドリアーナとハイタッチをする。


「やりますねぇ、流石に響きました」


直撃してもなお、平然と立ち上がる邪神の使い。だが顔は余裕そうだが膝が震えているのをライオネルは見過ごさなかった。


「次で決める。ドリアーナさん最大魔法を頼む、おぉぉぉ〔獣王の剣(ビーストソード)〕」


「わかりました〈森の恵み(エルフの加護)〉」


「獣風情が、死ねぇ〈煉獄(ギヒノム)〉」


邪神の使いの炎に正面から突っ込む、ライオネルは体が焼け苦痛の声をあげるがそれでも前に進む。そしてとうとうその刃は邪神の使いを両断した。


「やった、俺が倒したん...だ」


「ライオネルさん、しっかりしてください!〈癒し(ヒール)〉...ふぅ一命はとりとめましたか」


自らも痛みを伴うのにそれでも、進む精神にドリアーナは心から敬意を表した。辺りに兵士は居らず倒れたライオネルを後方まで運ぶのは、エルフの女性、ドリアーナには無理な事だった。兵士を探し呼ぶ事もできたが、今だけはこの勇敢な戦士を自分の膝で介護しようと思い、しばらくライオネルはドリアーナに膝枕をされる事になった。


この事がのち、ライオネルの妻レオーネにばれ、家族会議が行われるのは別の話。

ライオネル「すやすや」


ドリアーナ「ふふ、今は休んでください勇敢な戦士よ」

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