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ど派手な開戦

1つ訂正です。

今まで人間国のサウスを、サウス国と表記してましたが。今後はサウスと表記します。


「凄い光景だな」


思わず声が出てしまう。目の前に広がる様々な種族と、圧倒的数で構成された部隊。異種族同盟が結成されてから、その人数は何となく予想していたが実際に目にすると迫力がすごい。

人間の国ステラから約5千、魔族の国イルミナから約5千、龍人の国ドラグーンから約4千9百、獣人の国ローガリアから約1万、エルフの里と精霊族からは合計約100人、合計で約2万5千人もの人達が集まっていた。

対する帝国側は、情報によると約1万。兵の数だけで1万5千もの差が着いている。


「シオン君、準備は大丈夫?」


「大丈夫ですよアイラさん、俺はいつでも行けますよ」


魔族の軍に指揮を出し終わったアイラさんが、俺のところまで来てくれる。すると続々と各国のトップが俺のいる場所に集まり始めた。

この戦争では幾つかの約束事を異種族同盟側で決めていた。

1つ、お互いの事を尊重し同盟間で無駄な争いは行わないこと。

1つ、互いの国の内部情報を探ろうとしないこと。

そして一番重要な1つ、無理な戦闘は避け死者を出さないこと。


人数の差がある以上、無理な戦いは得策ではないと皆考えている。異種族同盟の中でも回復魔法を使える者はそう多くない。それにまだ誰も死者を蘇らせる魔法は使えない。だからこの戦いで一般の兵士が無理をする必要はないのだ。

むしろ俺や、アイラさんなどの単体で最強に近い者が、周りに被害を出さずに殲滅していった方がいいのだ。


「さてシオン、お相手も準備が整ったようだぜ」


「シオン、僕からのお願いはたった一つだ、この異種族同盟を勝利に導いてくれ」


ライオネルとアレスが、俺の背中を軽く叩いて気合を入れてくれる。やり方は古典的な気がするが痛みが俺に現実を理解させてくれる。



「シオン」


「父さん、母さん」


遅れてやってきた、父さんと母さんは俺の目の前までやってきて、交互に俺を抱きしめてくれる。そんな予想外の行動に俺は惚けながらも、思わず抱き返してしまった。


「ごめんねシオン、この世界で成人する前のあなたにこんな事やらせたくなかったわ」


「でも、シオンはもう止まれないからね。僕もミリアも最後までシオンの味方だよ」


2人にそう言われ、思わず泣きそうになってしまう。この世界に来てからずっと面倒を見てもらい。何かあっても必ず側にいてくれる。

改めて、自分が異世界に来てから恵まれていたと認識できた。この2人の為にも、そして俺の為に動いてくれた皆の為にも無事ルリを救出して、戦争に勝つ事を心に誓った。


「シオン君、開幕の仕掛けは君に任せるわ。ド派手なの一発お願いね」


「はい、アイラさん。〈神の審判(ゴットジャッチメント)〉!!」


俺の得意とする最強魔法。まだ完全に朝日が昇ってないこの世界を、それ以上の強い光が包み込むようだった。帝国の城門前に配置された兵士達はその光に身動きをとれないまま、消えていく。もしかしたら決して罪のない人かもしれない。だがそんな事を戦争相手に考慮する気などさらさら無くなっていた。


「さぁ、皆一気に攻めるってあれ?」


俺が振り返り、突撃の合図を出そうとしたら、アイラさん初めみんなその場に固まって動いてなかった。予定では俺の魔法の後、間髪入れず部隊が動き出すはずだったのだが、その様子がまるでない。


「あの?どうしましたか?」


「ごめんね、シオン君まさか1人で半数以上を消すとは思ってなくて」


アイラさんがそう言うと、周りのみんながうんうんとうなずいていた。ただレオとナツメとシキはやけに嬉しそうな顔をしてるのが見えた。

こうして、開幕1万5千の差が、あっという間に2万の差に変わるのだった。





「何が起こったのだ!至急報告しろ!」


「報告します、謎の光が発生後我が軍の兵士が半数以上消えたと報告が入っております」


「なにぃ!邪神の使いは全員無事なのか?」


「はい、その者達の無事は確認が取れてます」


帝国城内で、指揮を執っていた一人の男が慌てふためいている。この男こそ帝国の王ガナード・カーザ。7人の邪神の使いをこの世界で統率しており、軍事にばかり力を入れ常に世界を掌握しようと企んでいる男。まぁ現在邪神の使いは3人しか残っておらず、卑怯な宣戦布告をしたにも関わらず、なぜか防衛に回って、鍛え上げた兵士達は、半神のシオンに一瞬にして消されてしまった。哀れな王。


「王よ、手痛くやられましたね」


「イズミ。無事だったか」


イズミと呼ばれる男は、この現状でもやけに冷静さを保っている。そこには絶対的な自信があるから。その落ち着き様をみてガナードも落ち着きを取り戻す。


「イズミ、今すぐ原初の魔王復活までどれくらいだ?」


「明確な時間は断言できません。ですがもう少しで...」


イズミが言葉を言い終わる前に城が大きく揺れる。敵襲かと城内の兵士たちは慌てるがそれをガナードが落ち着かせる。


「イズミよ今の揺れは」


「えぇ、復活しました。向かいましょう原初の魔王のもとに」


ガナードとイズミは、玉座を離れ急ぎ地下奥地の復活場まで向かう。


「素晴らしい」


「原初の魔王、これほどとは」


そこにはすでに復活した。黒鉄の鎧に身を包んだ、禍々しい存在が仁王立ちをして待っているのだった。




「ルーちゃん!」


「うん。気づいた。シオンの魔法を感じ取れた」


「兄さんが助けに来てくれたんだね~」


牢屋で閉じ込められていた。ルリ、キャロ、シャロは〈神の審判(ゴットジャッチメント)〉でシオンの存在に気が付く。隔離された場所ではあるが、それほどシオンの魔法は強力だった。


「きゃ、すごい揺れだわ」


「今度は何んだろうね~」


シオンの魔法のすぐあと場内の揺れを感じる3人。キャロとシャロは感じ取れていないようだがルリは1人、復活した原初の魔王の気配を感じ取っていた。


「2人とも、ここから急いで逃げよう」


「ど、どうしたのルーちゃん」


「説明してる暇はない、急いで!」


珍しく焦っているルリの様子を見て、キャロとシャロも慌てて準備をする。ルリのスキルで作られたこの空間は、すでにシャロとルリが解析しており、いつでも脱出できる準備は整っていた。


(どうか、この存在に私たちが見つかりませんように)


心の中でルリが祈り、牢屋から脱出して一気に城外に向かう。幸運なことに原初の魔王どころか、兵士に見つかることもなく無事に脱出は成功できた。


「ルーちゃん。本当にどうしたの?」


「まぁ、キャロちゃん。まず兄さんに合流しよう~」


こうして、ルリ達は無事帝国城内を脱出することに成功するのだった。

ナツメ「やっぱ、お兄ちゃんは主人公だよ」


シオン「ナツメも大概だけどね」


各国のトップ「2人とも大概だよ」

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