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開戦前夜

週一投稿のはずなのに、いつも時間ギリギリになってしまう。

もっと書く時間が欲しい

「何が...起こったんだ」


その男はかすかに残った力を振り絞り、周りを見渡す。空は暗いが月明かりのおかげで何とか現状を把握することはできる。

既に致命傷を受けており、何とかして周りの生存者を探すのだが


「100人ぐらい居た、この部隊が全滅だと」


辺りはすでに血の海で染まっており、生存者など居るとは思えなかった。もしかしたら死体に隠れて息のある者がいるかもしれないが、この男にそんな人物を探す力など残っていない。


「おや、まだ生き残りがいたんですね」


そんな絶望している男の前に、ケモ耳としっぽが生えて、血で真っ赤に染まった獣人が現れた。

この獣人はレオである。武器を素早く振るい、ベットリついた血を落とす。


「なぜ獣人が、サウス国に手を貸すんだ」


「冥途の土産です、教えてあげましょう。我は獣人として手を貸してるのではありません。家族を傷つけられた怒りであなた達を殺したまでです」


男がレオをよく見れば、怒りに捕らわれた様な表情はしてないが、全身からその殺気はひしひしと感じ取ることができた。

だがこの男も100人近くを指揮する軍人として誇りがある。


「化け物が、だが帝国にはもっと化け物がいる!帝国にえいこ」


その男が最後まで言葉を発することはなかった。レオが首を切り落とし帝国から来た一つの部隊は全滅を迎えるのた。


「本来なら、死体処理までするべきですが...血につられて魔物が集まっているようですし、彼らに任せますか」


そう言って、レオは暗闇に紛れて姿を消したのだった。




時間は少しさかのぼり、サウス国城門での出来事。すでに軍は動いており大勢の兵士がドラグーン王国を目指し出発していた。

本来であれば、何日もかけてようやくたどり着ける距離のドラグーン王国。その距離を僅か数時間で移動する方法がある。それは移動装置(テレポーター)だ。

毎度思うがこれほど便利な魔道具も中々ないだろう。流石は異世界。


「よぉアレス。なんだかすごい重装備だな」


「あはは、王家の特別装備だからな。普段軽装備な分動きずらい」


「アレス様はその装備でも十分にあってますよ!」


アレスと俺が話していると別の所からハナもやってきた。久しく見るハナの護衛姿はアレスよりも様になっていて。流石は何年間もアレスの護衛をしていただけあると感じられる。


「それにしても、戦争が始まるのにハナはずいぶん気楽そうだな」


「まぁ、シオン君の実力を知っていれば恐れることもないからね。それに私見ちゃったんだよね」


含みを持たせたハナの言い方に俺とアレスは首をかしげる。そして衝撃的なことをハナは言った。


「私のスキル【予知夢】で今回の戦争は圧勝するのを」


「でもそのスキルは外れることもあるだろ、例のアレスの件は何もなかったわけだし」


「そうでもないよ、アレス様の件はまだ時期じゃないだけかもしれない。本来私のスキル【予知夢】は近い未来の出来事を予測するだけ、必ず近い未来と断言できないしね。でも今回はよっぽどの事が起きない限り戦争は勝てる」


「アレス、お前の嫁さんある意味化け物だな」


「僕にとっては最高のお嫁さんだよ」


俺がいるにも関わらず堂々とイチャイチャしやがってと内心思うが、この2人が幸せそうでよかったとも思う。一時はハナの精神状態はとても不安定だったから。


「そんな事よりシオン、本当にあの事は任せてもいいのか?」


「任せろ、部隊もその数も把握している。何より俺の家族がやる気でね」


アレスの言ったあの事とは、すでにこちらに攻めてきている帝国軍の処理の事だった。かなりの数の兵士が戦争に参加する事になり、サウス国自体の防衛が手薄になってしまう。だから今晩のうちに、攻めてきている部隊をすべて処理すると俺が申し出た。


幸い帝国は斥候の様な者しか送ってきておらず、わずか4部隊でどれも100程度しか数はいないとすでに調べはついていた。


「アレス、次はドラグーン国で会おうぜ」


「無事に来いよ、この戦争お前がいないと始まらないからな」


そう言って俺とアレスは拳を合わせる。そこで一度アレスたちとは別れ俺も、一つの部隊を潰しに行こうとしている時だった。


「ちょっと待って」


「ハナ!いいのかアレスの所にいなくても」


慌てた様子のハナが俺を止める。先ほどの場所から少し離れた場所でこの場には俺とハナしかいない。


「シオン君に一つだけ伝えたいことがあるの」


ハナは息を整え顔を上げる。その表情は妙に真剣だった。


「この戦争。確かに私達異種族同盟が勝つの。でも疑問点があって」


「何か問題が起きるのか?」


「問題というか...この戦争で帝国は滅びる。でも滅ぼすのはシオン君じゃない。何かもっと黒い塊のようなものだった」


「黒い塊?人じゃないのか?」


「わからない。多分だけど私には認識できない存在で、夢の中ではっきりしないからそういう風に現れたと思うの。だから気をつけてね」


「わかった。気を付けるそれじゃ俺はそろそろ行くから」


ハナと話している最中。レオから1部隊を壊滅させた連絡が入り、俺も急いで帝国兵が潜んでる場所に向かう。だが俺の中でハナの言葉は妙に引っかかるのだった。




そして時は戻る。レオが部隊を壊滅させた時間。他の場所でも潜伏している帝国兵は奇襲を受けていた。


「ふぅ~、僕一人で100人を相手どるのは流石にしんどいな」


1人の男性が死体の上に座り、休憩をしている。周囲は炎魔法で焼けた様な跡が残り、原形をとどめている死体が少なかった。


「僕たちの娘を攫ったんだ。これぐらいの報いは受けてもらわないとね。まぁもう聞こえないだろうけど」


この部隊を壊滅させた男性、フィンは独り言を言い残し、死体を燃やし尽くした後この場から消えていった。

そして同時刻別の場所では、


「どうして、女一人殺せないんだ!」


「ですが隊長、あれは化けもグハッ」


休憩中だった。帝国の兵士達の前にミリアが正面から殺しまわった。レオやフィンの時と違い。襲われた事に気づいた帝国兵は何とか対応するがその奮闘も虚しく。全員等しく殺されていった。


「ヒィ、化け物め」


「あら、レディーに向かって化け物とは帝国の人は失礼ね」


唯一残っている、この部隊を率いる隊長も必死に抵抗しようとするが、目の前のミリアの存在感に身動きが取れなかった。


動かない帝国兵を見て、一度顔を逸らすミリア。次の瞬間にはミリアの姿はブレ、隊長の首が宙に舞っていた。


「これで、皆殺しにできたかしら。他のみんなも...大丈夫よね」


こうしてレオ、フィン、ミリアがたった1人で部隊を壊滅させ。帝国は初めから手痛い打撃を受けることになるのだった。

トライドール「各国の兵士たちを休ませる場所。この領土にあるか?」


ティターン「それならいい案がありますよ」

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