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新たな始まり

投稿が開いてしまってすいません。今月からは毎週投稿に戻すので許してください。

光すら届かない場所、ここが室内なのか屋外なのかもわからない。そんな怪しい場所に男か女か判断がつかない者たちが3人集まり、話し合っていた。


「ようやくこの時が来た」


「数多くの同志達が命を散らしていったが」


「それも全て救われる」


「「「すべては()()()()()()のために」


入念に練られていた計画はとうとう終わりに向かいつつある。これがシオン達とどう関わって来るのか、まだ知る由もなかった。





「学園長、お久しぶりです」


「久しぶりじゃな」


ここはステラ学園、学園長室。

夏休みもあけ学園が再開した初日、俺は昼過ぎに学園長に話しがあり学園長室までやってきていた。


「それで話しというのはなんじゃ?」


「今年の名誉ある戦い(ドュエルグランツ)についてなんですが」


「そうか、今年も既にそんな季節じゃったか」


手で顎髭を触りながら、窓の外を眺めている学園長。この人もいろいろ考えているのだろう。そもそも去年からこの学園だけ異常な戦力が入ってきていた。俺とルリとキャロとシャロ。この4人だけで他の学園を圧倒することができる。それは去年の大会、新人戦で証明された。

まぁその大会俺は出ていないが。


「シオン君は出場したいのか?」


「まぁ、今年は出るといいましたし」


「じゃがな...」


「やっぱり戦力の問題ですか?」


「うむ、将来が期待できる者が複数いるのは学園長としてもうれしい。じゃが去年の大会の後、ほかの学園長どもがうるさくての。今年もこの学園が上位を総取りすれば、必ず文句が出るじゃろう」


「ほかの学園の生徒も、ルリとかと並ぶぐらい強くなってたりしないですかね?」


「逆に聞くが、ルリさんほどの生徒が他の学園にいると思うか?」


俺の質問に質問で返してくる学園長。まぁ確かにルリは学生の身であるがそれ以上に魔王の娘だ。キャロもシャロも、冒険者では知らない人はいないほどの、元冒険者の娘だし。並ぶ生徒は早々いないだろう。


「そういうことじゃ、まぁシオン君であれば去年出ておらんし、出られる可能性はあるがどうする?」


確かに俺は去年は解説席にいたから、実力を知られていない。一応ルリの恋人である事は、知られているが、あまり関係ないだろう。だが


「ルリや妹たちが出ない大会に出る意味もあまりないですし。今年も参加しないでもいいですかね」


「わかったのじゃ。一応期間はまだあるから気が変わったら言って欲しい」


「わかりました、では俺は失礼します」


話に区切りをつけ、俺は学園長室を後にする。学園長の言った通りまだ決めるまで少し期限があるので、もし出場したくなったら、フォルテ先生に言って学園長に話を通してもらおう。




「ん?あれは?」


学園からの帰り道、少し歩いて帰ろうと普段来ない場所を散策していたら見覚えのある人がいた。道行く人の中でも目立つほどの長身。毛に覆われた体に細長いしっぽ。一目でわかる鍛え抜かれた体。ローガリアの王、ライオネルだった。


「おーい、ライオネル」


「シオン!探したぞ」


久しぶりに再会するライオネルはニカッっと笑いこちらに近づいてくる。お互い自然と右手を合わせ握手する。だがその後すぐにライオネルは深刻そうな表情を浮かべた。


「どうしたライオネル。また邪神関係の奴らが攻めてきたか?」


「おっと、顔に出てたか?そう言う訳ではないんだが...とりあえず落ち着ける場所で話がしたい」


俺は付近の落ち着ける場所を考えるが、この辺りをあまり知らない俺はとりあえず家に招待する事にした。昼を過ぎて結構経ったが、まだ夕方という時間ではない。


「ライオネル、すまないけど家に誰もいないんだ。一国の王をもてなす準備もできてないがいいか?」


「そんな事、別に気にしないぞ」


ライオネルの了承も取れた所で俺たちは我が家フォール家に向かう。父さんと母さんはレオとリアンを連れて王都を回り。ナツメは依頼を受けているらしくルリ、キャロ、シャロは学園が終わってすぐにその手伝いに行っていた。


本題を聞く前に、ライオネルから軽く最近の国の事を聞いてみる。どうやらあの戦い以降、ライオネルは民の意見を色々取り入れ、王としての威厳を取り戻したらしい。元々の信頼も厚かったことから、いずれこうなると俺も思っていた。


もう少しで家が見えるという所だった。


「おいシオン少し先だが誰かが倒れてるぞ?」


「そんな物騒な事あるかよ」


「あるのだから、しょうがないだろそれより急ぐぞ」


俺とライオネルは速度を上げその倒れている人のもとに向かう。俺でも視認できるようになった距離で、嫌な予感がした。倒れていたのは家のフォール家の目の前。いくつもの傷跡がありここまで這ってきたのか血の跡が残っている。うつ伏せで倒れていたのは俺の妹、宮野ナツメだった。


「シオン、その者はお前の」


「〈不死鳥の炎〉」


激戦をした後なのか、見れば見るほど痛々しい傷が付いている。ここに来て力尽きたのか気絶してはいたが幸い息はあった。


「あ、あぁ。お、にい、ちゃん」


「大丈夫だ、傷は塞がっている」


「るりちゃ...ていこ..に...さらわれ」


「シオン、これは」


「いい、ライオネル。何も言うな。とりあえず中に入るぞ」


しっかりと言葉にしてはいないが何かを言ってまた気を失ってしまうナツメ。そんな妹を背に抱えライオネルと一緒に家の中に入った。




「シオン、妹は大丈夫か?」


「あぁ、大丈夫だ。治療はしてある。だが精神的ダメージが残ってる可能性は大きい」


ナツメを部屋に運びベットに寝かしつけた後。リビングで待ってもらっているライオネルと合流する。

この時すでに俺は冷静さを欠いていた。


「シオン...」


「ライオネル。おそらくナツメは誰かと戦い、勝てないと判断してここまで逃げてきた。そして他の妹は誰も帰ってきてない。ナツメが言ってた言葉。おそらくは帝国が絡んでる。いや間違いない」


「十中八九そうだろうな」


「今すぐ帝国に殴り込みを掛けたいが、一度だけアレスに話を通す。王城に行くが付いてくるかライオネル」


「シオンがどんな決断をするかは知らない。だが獣人王の名をもって約束しよう。必ずお前の助けになる事を」


俺がどんな決断をするかわからないとか言いながら、助けになるって。俺が何をしようとしているかわかってるじゃないか。

俺は内心そう思いながら。すぐに支度を済ませて家を出た。


目指すは王城、そして最終的には帝国を目指す。だが通さなきゃいけない筋だけは通しに行く。必ず帝国を潰すと誓い王城に向かっていくのだった。

フィン「胸騒ぎがする」


ミリア「奇遇ね私も」


レオ「主の身に何かあったかもしれません」


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