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兄、妹の手伝いをする

パソコンが直るまではしばらくスマホでの書くので、週一投稿になります。

「それじゃお兄ちゃん、ちょっと行ってくるね」


「行ってらっしゃい」


ナツメは何度か俺の方を見て、どこかに行ってしまわないか心配そうな表情をしながら、とある家に向かっていく。


(もうどこにも行かないよ)

そんな事を心の中で思いながら俺は苦笑をしていた。


今日俺とナツメは冒険者ギルドの依頼で、サブメラから数時間程離れた村にやって来ていた。

依頼と言っても受けたのはナツメで、俺はただの付き添いである。


依頼の内容は村の近隣にある森。名をオボロの森と言う。その森から大量に魔物の気配がするという情報が入り、討伐をする事になった。


本来依頼とは、ソロ又は最大4人のパーティーが受けるものだが、稀に大人数での依頼が存在する。今回がその例だった。

大人数で受ける依頼の例はいくつかあるが、今回は魔物の数が多いということで、4人パーティーが10組、そしてソロのナツメの計41人が依頼の参加人数となる。


現在の段階で確認できた魔物は、ゴブリンやオークなどの弱い魔物だけだが奥に行けば、それよりも強力な気配がある事はわかっている。


ナツメがいない間に1人で情報整理しているところだった。


「君もこの依頼を受けた者か?」


手の甲に見える鱗、長くて太い尻尾。上質な装備を身につけた女性の龍人が傍にやって来て、俺に声をかけてた。


「いえ、俺は妹の手伝いできただけですよ。ところで何処かでお会いしたことありますか?」


俺の事情を話、次いでに質問する。この女性と会うのは初めてのはずだが、どこか見覚えがある。というか、この前行ってきたドラグーン王国にいる龍人達の誰かに似ている気がしたのだ。


「いや、私と君が会うのは初めてのはずだが…」


「そうですよ、いきなり変な事聞いてすいません。あ、自己紹介がまだでしたね。俺はシオン・フォールです」


「シオン君か、私はミハネル・リューネだよろしく」


ミハネルと名乗った女性は右手をだし、握手を求める。俺はその手を握り返しながら、頭の中では別の事を考えていた。


(ミハネル・リューネどこかで見たことあるし、聞いた事もあるような…)


「あ!思い出した!ミハネル・リューネ確か奴隷館で、シュミルさんから聞いていた名前だ!それにリューネはセレスさんと同じ名だ」


「セレスティアを知っているのか?」


突然大きな声を出した俺に、少し驚いているミハネルさん。だが俺がセレスさんの名前を出すとどこか懐かしそうな顔をしていた。


「実は…」


「そうか、祖国ではそのような事が」


俺はドラグーン国の事をある程度、ミハネルさんに話した。まぁ、あまり大事にならないように国の上層部しか知らない事だし、ミハネルさんが知らないのも無理はないだろう。


「シオン君、もうちょっとお話を」


「ミハネル、時間だ行くぞ」


ミハネルさんが話してる最中に、別の男が割って入り話を中断させた。時間という事は森に入り依頼が始まるのだろう。

割って入った男はミハネルさんとお揃いの防具をつけており、ミハネルさんと同じパーティーの人、もしくはそれ以上の関係の人なのだろう。

ミハネルさんはもう少し話したそうにしていたが、渋々その男に付いて行った。


「お兄ちゃん、お待たせ」


「おかえりナツメ」


「さっ、私達も森に入ろう。作戦については歩きながら話すね」


「りょーかい」


俺とナツメは横に並び、2人でオボロの森に入って行った。

今回の依頼では、本陣と遊撃部隊の2部隊に分かれる。5つのパーティーが本陣、別の5つのパーティーが遊撃部隊だ。ナツメは遊撃部隊になっているらしく、当然一緒にいる俺もそれに参加する。


この世界では冒険者は成人してから、つまり15歳でなければ成れないもので、本来14歳のナツメは冒険者には、成れないのが決まりだった。

だがこの決まりには1つ例外が存在する。


それは転移者の存在。転移者はこの世界で成人してなくても、意思の尊重がされ冒険者になる事ができる。何故なら転移者には神から与えられる能力があるから、それだけで普通の人よりも何倍も強い。だからこそ、転移者である事が証明されてれば、未成年でも冒険者になる事は可能なのだ。


「森に入って、まだ少ししか経ってないのに、もうあちこちで音が聞こえるね」


「そうだな、流石一流の冒険者達、仕事が早い」


オボロの森に入って数分、既に色んな場所で金属のぶつかる音、魔法の衝撃音などが聞こえてくる。今回集まった冒険者はナツメを除き全員がBランク以上の冒険者。ゴブリンやオークなど相手にならないだろう。ナツメはまだEランクだが、能力だけを見ればここに集まった冒険者など圧倒的に格下だろう。


当然ナツメも既に数十体の魔物を狩っており、既に周囲には魔物の気配が無くなっていた。

そんな中、さくほどまでと違う激しい戦闘音が聞こえ始めた。


「どうやら、本陣が戦い始めたな」


「お兄ちゃん、音に釣られた魔物が来るよ。フォローよろしくね」


魔物達は音に釣られてやって来る事もある。本陣に弱い魔物が近づかないようにするのも、遊撃部隊の役目であった。

だがここで今までと違う事が起きる、まず今までは、俺達が探し不意打ちを狙うなり、先手を取っていたが、本陣付近で待機しなくては行けない今、無数に迫り来る魔物相手に陣地を防衛する。つまり後手に回るのだ。


常に〈索敵(サーチ)〉で来る場所を予測し、対処しなくてはならない。波が途切れるまで止まることは無い。だからこそ、この森には連戦経験のある1流の冒険者しかいないのだ。


「来るよ!」


「ナツメ倒せる魔物に意識を向けろ、抜けた魔物は俺が倒す」


左右正面から、ゴブリンとオークがいっせいに現れる。集合体恐怖症の人が見れば、確実に失神するほどの数だ。その数相手に、ナツメは暗殺者用のナイフ1本で突っ込んで行ったこと。

対峙した魔物は確実に首を落とし、一撃一殺を確実に行っている。だがこのやり方では圧倒的数の魔物は止められない。

そこで俺の出番だった、鬼神刀と魔法を駆使し迫る魔物を一匹残らず狩っていく。


それを数十分ほど行った時だった。


「魔物が来ないね」


「もう終わりだろう」


俺とナツメはお互い返り血で、血まみれになりながらも遊撃部隊としての仕事は達成した。

辺りには無惨な魔物の死体が残り、それは全て俺の魔法で消し炭にするのだった。

シオン「ナツメの顔が血で台無しだな」


ナツメ「魔物の血の匂いってなんでこんなに臭いんだろうね?」

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