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非情な2人

今回本編短くて、あまり戦いらしい戦いではありませんがお許しください。

ルリにとって模擬戦や決闘などは、一種の娯楽に近いものだった。汗水を流し互いに高めあったり。時には本気になり自分の意志や誇りを持っておこなう物だと思っている。

だが、命のやり取りをする戦いにおいては当てはまらない。ルリにとって母であり憧れの存在であったアイラはこう教えている。


「もし本当の意味で戦う時がきたのなら、相手に容赦をしたり、情けはかけてはいけない。大事な人や自分の命を失うかもしれないから」


この教えがあるから、本来普通の人なら躊躇う殺しも、ルリは感情を殺しやってのける。




「化け物が...」


1人の兵士は地面に伏しながら悪態を付く。呼吸は浅く放っておけば息をしなくなるほど重症だった。だが彼は良い方であった。周りには仲間として過ごしてきた兵士の無残な死体が転がっているからだ。今この瞬間だけでも生きてるのは幸いだった。


「あれ、まだ生き残りがいたんだ」


「ヒッ」


きっと彼には目の前に立った人物が美しさを兼ね備えた、異形の存在か何かに見えていたのだろう。だがその兵士の前に立ってるのは、シオンの恋人で魔王の娘であるルリ・サタナスだった。


「頼む、許してくれ。死にたくないんだ!」


「ごめんなさい」


「それじゃ。ガハッ」


兵士の言葉がルリに届く前に、ルリはグングニルで兵士の息の根を止めた。ルリが謝ったのはあくまでも殺す事に対してのせめてもの謝罪だった。


「私達を殺そうとしたんだから、仕方ないよね」


ルリの発した言葉は誰にも聞こえない。なぜならルリを中心として血溜まりと死体が大量にあるからだ。ここにルリの言葉が聞ける人などいなかった。


こうして、帝国軍数百名はルリを前にあっさりと絶命したのだった。




「チッ、本当にお前らは化け物だぜ」


「余所見をしてる暇があるんですか?」


「しまっ...」


戦いにおいて油断は禁物。フェーデンの見せた一瞬の隙をレオが見逃すはずが無かった。レオの攻撃に対応しきれずフェーデンは左腕を奪われた。

途中までは互角と言えなくも無かっただろう。お互いに激しい攻防を繰り返し、浅い傷は幾つかついたが深手を追う事は無かった。ここまでは


フェーデンの持つ武器をレオは対策していたのだ。本来フェーデンの持つ剣、ぺルドンは傷つけた相手を内側から一瞬で腐らせ死に至らしめる。幻想(ファンタズマ)級の剣だ。当然掠っただけで時間は掛かるが死に追い込むことができる。


だがレオはシオンほどではないが神の力を使える1人。完全に効果を受けない様にする事はできないが、浅い傷なら腐敗の効果を受けない様にする事ができたのだ。


そして一瞬の隙。ルリがあっさりと連れてきた兵士を殺し、そこにフェーデンは意識を奪われたのだ。きっとローガリアに行く前のレオなら深手を与える事はできなかっただろう。だがレオも成長も成長している。


「ったく、姿が変わってると思ったら。前よりも強くなってるじゃねーか」


「我も成長してるのですよ」


「だが、腕の1本如きで!ってあれ?」


フェーデンは威勢よく踏み込もうとしたが、足に力が入らず前に倒れる。ギリギリの所で右手を着き完全に倒れることは免れた。

ここでフェーデンは自身の体に起こっている異変に気がつく。全身に力は入らず、視界も霞んで見え、震えが止まらなかった。そんな状態のフェーデンにレオはゆっくりと近づいて行く。


「てめぇ、俺の体に何しやがった」


「何って、毒が回っただけですよ」


そう言って、レオは手にはめているクローぎらつかせる。見た目はただのクローだがしっかりと付与が掛けられている。


「この武器は徐々に毒が回るようになっているんです。ゆっくりじわじわと。意識を失わせるほどではありませんが、まともな思考を保つ事は不可能ですよ」


「本当に化け物だな。この世界を征服でもするつもりかよ」


完全に地面に伏したフェーデンは少しでも抵抗しようと、ボロボロの状態で粋がる。いや、もうこれしか出来る事はないのだ。


「貴方は前に言いましたよね。「次ぎあった時はいたぶり尽くすって」安心してください。我はそんな悪趣味ではないので。何か言い残す事はありますか?」


「後悔するぞ、帝国を敵に回したこと」


「そうですか、忠告は受け取っておきましょう」


最後の会話を終え、レオは背中からフェーデンの心臓をクローで貫いた。吐血交じりの苦痛の声を上げ、体を何回か痙攣させてからフェーデンは絶命した。




こうして、シオンの居ない所でルリ、レオは見事に圧勝して見せたのだった。


ルリ「あれ、これって」


レオ「我たち」


ルリ、レオ「完全に悪役キャラなのでは!?」

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