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戦いの後

龍人とは、一説によると龍が人間の血を取り込み、人間に近い生物になったものだと言われている。だが、他にも神が創った生物とか、人間が生まれるより前に生きていた種族。など様々な推測がされている。もちろん全ての説は裏づけする証拠がなく、龍人誕生の話しは分からない。

龍人の特徴は腕の鱗と太い尻尾である。鱗はスキルや魔法ではなく、生まれつきの物で体を守る役割がある。

尻尾は自由に動かすことができ。攻守共に使う事のできる、龍人の武器である。




「セレスティアさん。1人で何やっているんですか?」


「他の人は寝床に入りましたよ」


「シオン君とルリさんか。私はしばらく見張りをしようを思ってな」


終わりの龍(エンド・ドラゴン)】を倒してから、少し離れた場所。戦闘で傷ついた部隊の休憩もかねて、野営をする事になった。

外見の傷は俺の力で治す事ができたが、精神の傷を癒す事はできない。中には死を経験した者だっている。その人達を無理に動かすのは帰って危険になるのかもしれない。

野営地の中央にある焚き火、その付近に座るものを設置しセレスティアさんは1人、見張りを担当していた。


「それにしても、大変でしたね」


「私とシオンがいなかったら、全員死んでいたかもしれないのに」


「国の決めたことだ、仕方ないさ」


どこか諦めたように言うセレスティアさんに俺とルリは同情してしまう。


「そんな事より2人とも、私の事はセレスと呼んでくれて構わないぞ、昔から名前が長いと言われてたからな」


暗くなりかけた雰囲気を明るくしようと、セレスティア、いやセレスさんが言葉をかけてくれる。

それを察し、これ以上を悪い話をするのはやめにした。


セレスさんが率いる。ドラグーン国の部隊は年に一度ドラゴン討伐の命が下される。定期的でなく、どのドラゴンが現れるのかも決まってないが、ここ数年は、【混沌の龍(カオスドラゴン)】がよく現れたらしい。

今回も同じでドラゴン出現の情報を聞き、部隊は組まれた。だが例年と違う事がおきる。本来なら調査部隊が組まれ、ドラゴンの種類、ある程度の強さなどが調べられるのだが、とある貴族の発言が全てを台無しにしたらしい。


その貴族はこの討伐作戦にも来ており、この野営で、前線にも出てすらいなかったのに、貴族専属の護衛達と共に大きな馬車の中で寝泊りしている貴族だ。あろう事か、俺の力を「認めない」と言った。あの貴族なのだ。


その貴族の名前は、イディオ・ドゥラーク。ドラグーン王国ではだいぶ名のある貴族の坊ちゃんらしい。あの貴族が「調査など必要ない。僕の力でドラゴンなんて一瞬で葬り去れる!」と発言しセレスさん達が必死に止めるが、ドラグーン国の王様、龍人王が討伐命令を出してしまったらしい。まぁ結果は酷い物だが。


「セレスさん、俺達も先に休ませてもらいますね」


「セレスさんも早めに休んでくださいね」


「ありがとう2人とも、明日には国に帰るからその時は、私が手厚く歓迎しよう」




セレスさんに一言伝えてから、俺とルリはその場を後にする。セレスさんから借りたテントをすでに組み立てており、俺とルリもそこで一休みをする事になる。一見ただのテントなのだが、俺が少しだけ手を加えた。そう、このテントに入る瞬間俺の〈空間創造(マイワールド)〉に入れるようになっているのだ。当然俺とルリ以外が見ても、中はただのテントで、俺とルリのダミーが寝ているように見える。


「ルリ、どう思う?」


空間創造(マイワールド)〉の中の椅子に座り、ルリの問いかける。ルこの質問が来ると思っていたのか、ルリは少し考える素振りを見せる。


「腐っている気配がするね、もしくはあの貴族を王族達が何らかの理由で贔屓してるかもしれない」


「やっぱそうだよな」


ルリの意見は、俺の考えと全く同じだった。民の上に立つものがそもそも腐っている、典型的なダメ国家。だがもしかすると別パターンも存在するかもしれない。たとえば、


「イディオが、邪神の使いで。裏でドラグーン国を牛耳っているとか」


「あ~、可能性はあるね」


俺の意見に納得したような表情をするルリ。だが言ってみたが事実かどうかは分からない。だが少なくてもあの貴族が、何らかの特別な存在なのは、俺もルリもわかっている事だった。


「私、状況によっては魔王の娘である事を公表しようかな」


「え!?」


ルリから出た提案は、実に意外なものだった。普段ルリはどこにいても自分の正体を隠している。俺と付き合ってから、魔族である事を隠す事は無くなったし、名誉ある戦い(ドュエルグランツ)でルリの正体を知った者は少なくはない。それでもルリが魔王の娘である事は知らない者が多い。

知らない場所や、知らない人がいる中でわざわざ自分の立場を言う事をルリは嫌っている。


「もし私が、正体を明かしたら、シオンは私の未来の旦那様って事にするから」


「は!?」


先ほど以上に俺は、驚いた。だがそれ以上に嬉しさもある。例え今は仮でも「旦那様」と呼ばれることが何とも心地良い。行ったルリ本人も恥ずかしかったのか「もう寝るね、お休み」と言ってベットに入ってしまった。

俺も寝る準備をして自然とルリのベットに入り込む。決していやらしい事などはしない一緒に寝るだけだ。


こうして戦いの終わった静かな夜を2人で過ごすのだった。

シオン「豆知識ですがリディオはフランス語で愚者と言う意味です」


作者「それ俺の解説じゃね」


ルリ「まぁ、誰が解説してもいいんじゃないかな」

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