フォール家VS隊長達2
今回タイトルが前回の続きなのですが、隊長は出てきません。
フィンと、ミリアが戦いをしていた時、当然他の場所でも戦いは起きていた。
ムーテにある城。ライオネルとシオンが戦ってる別の部屋で、圧倒的な戦いは繰り広げられていた。
「どう...して」
「明白です。前回の時は本気じゃなかった、だけですから」
額から血を流し、方膝をつき武器のクローはすでに壊れかけて、ワンは慢心相違だった。
対するレオは冷え切った目で、ワンを見て。立ち上がるのを待っている。
「そろそろ、諦めてくれていいですよ。負けを認めてくれたら。もう用はないので」
「冗談言わないで。私は負けられないのパパの為にも、この国の為にも」
力を振り絞り、雄たけびのような声を上げワンは立ち上がる。傷を癒すスキルは持っているが、そんなのは使わず一心不乱にレオに攻撃をした。
だが攻撃虚しく、ヒュン、ヒュンと空を切る音だけが、聞こえる。
次第にワンの体力は底を付き、立つ事さえ出来なくなった。
ただレオは、隙だらけのワンに留めは刺さず、ゆっくりと近づいて行く。
「少女よ、この国で何が起こったのですか?なぜ優しかった王は、いきなり豹変したのですか?」
「それは...」
ワンは膝を着きつつ顔も俯いている。質問を答えるのは躊躇っているようだった。
だが、覚悟が決まったか口を開いた瞬間、ビュンと矢が飛んできた。
その矢を叩き折り、跳んできた方2人が見ると、今まではいなかった男性が2人の事を見ていた。
「これだから、獣風情は信用できないんだよ」
ダルそうに言葉を発したかと思えば、ある程度の間合いまで2人に近づく男。その手にはどう見ても禍々しい剣をもっていた。
「貴方は誰です?何故この少女を狙うのですか?」
「あ?なぜかって、そりゃそいつが喋ろうとしたからに決まってんだろ。そいつにべらべら喋られると面倒ねんでね、まとめて処理させてもらう」
男はそう言った後、瞬時に〔縮地〕でレオとの距離をつめる。
男の攻撃をレオが捌こうとした瞬間、にやりと男の口角が上がった。それに気がついたのか、または何かを感じ取ったのか、レオは捌くのをやめ後方に飛び距離を取った。
「ほーん、まさかあの体勢から避けを選択するとは、当たってくれたら一瞬だったのにな」
「毒の類ですか」
「あぁ、そんな優しいもんじゃねーよ。この剣に触れればそこから腐りだす。腐敗だよ」
何故、情報を与えるのか。レオには理解できなかった。男からすれば説明した事に意味を感じてない、勝つ事しか考えてなかったからだ。
だが男にとって、その油断は致命傷になる。僅か一瞬レオは神の力を使いその体を強化した。
そして、〔縮地〕で近づき男の腹を思いっきり殴る。男はグハッ、と悲痛の声を出し。壁までぶっ飛ばされた。壁にめり込む男を見ればどれだけの威力かは想像がつく。
男は先ほどまでのダルそうな表情から一変、苦痛の表情を見せていた。その腹には成人男性の腕が通るぐらいの大きな穴を開けて。
「くそ!腹をぶち抜きやがって!」
「な!何故生きてるのですか!?」
流石のレオもこれには驚きの声を上げる。この状況について来れてないワンは、慌てふためいていた。
「てめーの顔、覚えたからな。次ぎあった時はいたぶり尽くして、生贄にしてやる」
「待ちなさい!」
レオは〔縮地〕で壁に埋まってる男に近づいたが。すでに男の姿はなく。大量の血だけが残っている。
消えた事を確認したレオは、再びワンの元に戻った。
「立てますか?状況が変わったので一先ず。主達の元に戻りましょう」
「...わかったわ」
レオに手を貸してもらいながら。ゆっくり立ち上がるワン。フラフラではあるが、ギリギリ歩けるまでは回復していた。
「主...」
「嘘...でしょ?」
2人が元の場所に戻ると、そこには衝撃的な光景が広がっているのだった。
一方別の場所では。
「ここら辺の筈なんだけどな」
城の地下、1人で道を歩むのはシオンの妹ナツメだ。
ナツメは〈消滅〉を使い一時的に存在を消して忍んでいた。当然いきなり現れた少女に、警備の獣人達は対応できずナツメの来た道には複数の獣人達が倒れていた。
「あ、きっとこれだ」
見るからにも強靭な扉を、発見しその前に立つ。本来であれば専用の鍵を必要とする扉だが、そんな物もっておらず、力ずくでこじ開ける。
「貴女がレオーネ様ですか?」
「あ、貴女は誰ですか?」
牢の中にいるレオーネはいきなり現れ、しかも扉を無理やり壊した少女に恐れを抱いている。
当然だ、見た目は完全にただの少女なのに、その少女が特別製の扉を壊したのだから。
「見つけたぞ、侵入者!生きて帰れると、ウガァ!」
ナツメを追い、後から来た増援のリーダーらしき獣人が喋ってる途中に攻撃される。他の獣人達は一斉にナツメを狙うが、ナツメは表情1つ変えずその増援を、気絶させていった。
「さぁ、お姫様。詳しいお話は後でここから出ましょう」
「え...はい。あ!でもこの扉は開かないんです」
「う~ん。〈破壊〉」
特別製の扉は、ルリの魔法によって破壊される。その常識を超えた行動に流石のレオーネ姫も、頭が追いつかなかった。
「さぁ、これで邪魔なものはなくなりました。行きましょう」
「えぇ、分かりました」
もはや如何していいか分からない、状況だったがレオーネはナツメの笑顔をみて。考えるのをやめた。
レオーネ「この子は、化け物かしら?」
ナツメ「ん?何か言いましたか?(威圧)」
レオーネ「何でもないです」