ダンジョン
獣人の国なのに話が少し逸れる?
まぁこれもいいよね
馬車で旅をして3日目。とうとう経由地点の町に着いた。
フォール家、商人、フローズ、俺達が目指すのは、ローガリアの首都ムーテだ。
だが、さすがに1週間も馬車の旅は過酷なものになる。食料も尽きてしまうし、精神的な疲れも出てしまう。
だから、長旅の時の経由地点はとても大事なのだ。
「ではまた明日、門の所に集合という事で」
「はい、我々フローズのメンバーは、商人であるトトルコさんと一緒にいるので、何かあればフィンさん達も頼ってくださいね」
トトルコさん、フローズのメンバーと別れ、俺達は宿を探す。時期的に宿屋も空いており、一軒目の宿屋で部屋を確保することができた。
だが...
「ここが私とシオンの泊まる部屋ね」
「あ、あぁそうだな」
何故か俺とルリは相部屋になってしまった。確かに全員分の部屋を用意するのは厳しい事だが、さすがに異性で恋人でもあるルリと一緒の部屋なのはどうかと思う。
「ん?どうかしたのシオン?」
「いや、何でも」
ちょっとジロジロ見すぎたか、ルリは俺の視線に気が付き、首をコテンと傾げた。またその姿がとても可愛らしかった。
「ずるいわ、私もシオンにぃと一緒の部屋がいいのに」
「そうだよ、ルリちゃんだけ、ずるい~」
「まぁ、キャロちゃん、シャロちゃん落ち着いて。わ、私もお兄ちゃんと一緒の部屋がよかったけど」
荷物の整理をして、広場に集まると、父さんの母さんに迫る妹達の姿があった。どうやら俺と一緒の部屋じゃなくて不満らしい。
まるでハーレムのような状況に嬉しさがある反面。キャロもシャロもナツメも俺にとっては妹だ。何か間違いがあったら、俺の中で罪悪感がきっと凄いだろう。
「ようやく、全員集まったね」
「はぁ、シオンどうにかして、あなたの妹達が、一緒の部屋がいいらしいのよ」
俺とルリに気が付いた父さんと母さんは若干やつれていた。この数分で一体どれだけの猛攻にあったことやら。よく見るとレオとリアンが大量に食べ物を持っている。きっと父さん達におねだりしたのだろう。
「今日はどうするの?みんなで行動?それとも各自観光?」
「まぁ、この人数で動くのは大変だし、個人でいいよ。それに最近ルリちゃんとイチャイチャしてないだろ。この機会にデートでもして来な」
父さんは親指を立てながら、俺とルリに行くように言ってくれる。だが当然妹達が、そんな父さんを責めまくった。父さんは「この場は任せて、行って来な」と死亡フラグ的な言葉を残し、さらに顔がやつれてるのだった。
「やっぱシオンは皆に愛されてるね」
「はは、そうだな」
俺は苦笑いしながらルリに答える。だが俺にとっての一番がルリである事には変わりはない。まぁそんなこと恥ずかしくてルリには言えないけど。
この町はノイといい。ローガリアの国の中では上位に入るぐらいには、人気の町らしい。活気に溢れ獣人国なのに、サブメラと同じぐらいいろんな種族が、町を歩いていた。
何でもこの近くにはダンジョンと呼ばれる洞窟が存在しているらしく。それ目的の冒険者も集うらしい。
ダンジョンはこの世界に数多く存在する、不思議な場所の1つでノイの近くにある洞窟のようなダンジョンもあれば、遺跡や神殿のような建物型のダンジョンも存在するらしい。
ダンジョンは奥に行けば行くほど、高価なものや、良いアイテムなどが手に入る。ただし奥に行くほど、強力なトラップや、強力な魔物も存在するらしいが。
ダンジョン自体が不思議なものではあるのだが、その中でも不思議な事はある。それは倒した魔物が勝手に消滅して、ドロップ品と呼ばれるアイテムになる事。
本来であれば、死体は残り、処理をしなければならないが、ダンジョンではその必要性がないのだ。さらに強い魔物を倒すと、レアドロップもあるという。
なんと言うか、ダンジョンだけまるでゲームの世界のようだ。
「本当によかったのかルリ、町デートじゃなくて、ダンジョン探索なんて」
「うん。何となくだけどシオンをここに連れて行かなきゃいけない気がする」
ルリの言葉に、疑問を覚える。だが俺が質問する前にルリは俺の手を引いて。ダンジョンの中に入ってしまった。
結論から言うと、中が想定していたダンジョンと全く違った。
俺が想定していたのは、某ゲームのような薄暗く迷路みたいなダンジョンだったが、綺麗に整備された道、現れない魔物、宝のない最奥。どうやらほぼ完全に探索されつくしてしまったらしい。
「なぁ、ルリ帰ろうぜ。ここにはないもないみたいだし」
「シオン気が付いていないの?」
そう言いながら、最奥の空の宝箱をどかして、その位置にルリが立つ。手招きされ、そこに行くと足元が急に光りだした。
「え?」
気が付くと、さっきまでいた洞窟とは違い、建物らしき中に俺とルリはいた。そして目の前には大きな扉がある。中から感じる強力な気配に俺は息を呑んだ。
「ルリここは?」
「シオン、行きましょう。あなたに必要なものが、きっとあるわ」
俺は意を決して扉を開ける。ギギギと不気味な音と共に、俺より数倍以上ある扉は開いた。
中は広々とした空間と奥に扉が見える。そして部屋の中心と思われる場所に、完全武装した人物が立っていた。
「来たか、選ばれた者よ」
ゆっくりと顔を上げ、俺の事を見つめる。その視線は鋭く、普通の生物ではない事だけはわかった。
右手に持っている槍を構え、俺が準備するのをどうやら待ってくれるらしい。
この場は戦う以外の選択肢はない。そう思った時には俺とルリは武器を構えていた。
「では行くぞ、選ばれた者よ。我が名はオーディン。貴様らを試すものだ」
物凄い、迫力と共に一瞬で間合いをつめられる。ここから化け物たちの戦いが始まった。
???「見つけた。父様の探している出来損ない」
レオ「!?、一瞬殺気が」