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兄と昔の妹

今新しく、別作品を投稿する準備を始めています。当然この作品も終わりませんので、よろしくお願いします。

高評価、ブクマもよろしくお願いします。

「・・・」


「・・・」


お昼が過ぎ、教室には俺とナツメの2人が向き合って座っていた。会話は無くただ黙々と時間は過ぎていった。


「あの、お兄ちゃん」


「シッ、ちょっと待って。いるのは分かってるから、はいって来いよ」


ナツメが頑張って話し始めようとしたのを止めて、教室の扉の方に向かって呼びかける。すると外からクラスメイトが続々と悪びれもせずに入ってきた。


「はぁ~、お前らな気になるのは分かるけど、盗み聞きは感心しないぞ」


「ごめんね、シオン。でもどうしても気になっちゃて」


代表して、ルリが謝るが、結局教室には全員集まってしまった。


「シオン、そろそろ説明してくれないか?宮野さんとシオンの関係性」


「ナツメは俺が地球にいる時の妹だ」


アレスに聞かれて、素直に答えると皆驚いていた。この場所にいる奴は俺が転生者だと知ってはいるが、俺に妹がいる事は知らなかったから、余計ビックリしてるだろう。


俺は、普段から転生前の話はしない。ルリにさえ妹がいたなんて教えた事が無かった。それはあっちの事を俺が持ち込みたくなかったと言う意思と、俺とナツメの最後の別れが良くなかったからだと思う。


クラスの皆にナツメを紹介した後に、逆にナツメに皆の事を紹介した。もちろんこの時今の妹のキャロやシャロ、そして恋人のルリのことも紹介した。

俺が皆の事を紹介するにつれて、ナツメの表情は寂しそうに変化していった。

話しも1段落付いた所で、ナツメが話し始める。


「あのね。お兄ちゃん。私ずっと謝りたかったの、あの時酷いこと言ってごめんね。それじゃ」


「おい、ナツメ!」


俺に一言謝罪をすると同時に、ナツメは教室から飛び出して行った。少しだけ涙を流しているのを俺は見逃さなかった。

ナツメの後をを追い、急いで俺も教室から飛び出す。

そして残された者は、その光景を呆然としながら見つめていた。


「とりあえず、これ以上シオンと宮野さんを詮索するのなしな。一応彼女も転移者だ、この国では重宝される存在、何かあったら遅いからな。と言う事で解散」


アレスがしっかりまとめ、2年Sクラスは全員が帰宅する事になった。

その際、シオンの妹と恋人が何かヒソヒソ話していたのを誰も見てないふりをするのだった。




「やっと見つけた。ナツメ」


「どうして、ここが分かったの?」


教室から飛び出したナツメは、学校からかなりはなれた場所で1人座っていた。今のシオンはこの世界で、最強に近い存在で本来であれば学校付近で捕まえられると思っていた。

だが、シオンの追っかけた相手は、10年以上シオンと暮らしていて、あのドゥエサスからチートスキルを貰った転移者、結果見つけ出すのに、少し時間は掛かってしまった。


「俺は、お前のお兄ちゃんだからな。何となくどこにいるのかわかるよ」


俺の言葉を聞いても、ナツメは何も言わなかった。もう逃げるつもりは無いらしく、俺が隣に座っても動く気配はなかった。


「お兄ちゃん、私ね嬉しかったの」


突然ナツメが話し始めたと思ったら、その瞳は物凄く真剣で何かを訴えようとしていた。


「私からすれば、ほんの少し前の事だけど、もう二度と会えないと思っていた、お兄ちゃんと再会できて、凄く嬉しかった。でもお兄ちゃんには今の生活がある、新しい妹がいて、初めての恋人が出来て、新しい親がいて、幸せそうなおにいちゃんを見れて、私満足なんだ。お兄ちゃんにとって私は、過去の存在。だからね、私は1人で」


バチン


ナツメが話してる最中、俺はナツメの頬をビンタした。痛くないようにしたから、大丈夫なはずだけど、それでもナツメはいきなりの事で驚いている。


「ふざけるなよ、俺にとってお前が過去の存在?俺にとってお前は、今でも大事な妹だ。どうせお前の事だから、1人で生き抜く、とか言うんだろ。そんな悲しい事言うなよ。お前が1人で生きて生きたいって、心から思ってるなら応援する、だけど今のお前は、寂しそうで、悲しそうな顔をしている。そんなお前を放って俺は、どこにも行かないよ。俺はナツメのお兄ちゃんなんだから」


「お兄ちゃん...ごめんね。本当に酷いこと言ってごめんね」


俺の言葉を聞き終えたナツメは、泣きながら俺に抱きついてきた。そして赤子のように泣きながら何度も何度も謝った。そのたびに俺はナツメの頭を撫でてやった。この行動に凄く懐かしさを俺は、感じるのだった。






「お兄ちゃん。本当に大丈夫かな?」


「あぁ、心配するな。父さんも母さんもいい人だ」


俺は、ナツメと手を繋ぎながら、住んでいる家に帰る。ナツメは少し緊張しているのか、その手は少し震えていた。

ナツメは、幼い頃から俺と二人暮らしで、親の愛情と言うものをまだ知らない。だからもし拒絶されたらと言う、不安と緊張があるのだろう。


「この大きいのが、お兄ちゃんの住んでる家なの」


「そうだよ、ナツメ入るぞ。ただいま」


「おじゃまします」


あまりの家の大きさに圧倒されつつ、ナツメはビクビクしながら家に入ってきた。誰の出迎えもなく、若干疑問ではあったが、とりあえず事情を説明するべく、リビングに向かった。すると


パン!、パン!、パン!


部屋に入ると同時に俺達に向けて、クラッカーらしき物が放たれる、当然この事態は予想できていなかったので俺もナツメも困惑する。

そんな俺達を見ながら、母さんと父さんが笑顔で近づいてきた。


「母さん、父さんこれはどういう事?」


「大体の話は、キャロ達から聞いてる。それで急いで準備したってわけ」


「準備って何の?」


「新しい家族を迎え入れるなら盛大なパーティーよ、シオン」


キャロ達の方を見ると、グッと親指を立てて「やってやったぜ」みたいな顔をしてる3人。とりあえず俺も親指を立てる。


こうしてフォール家で新しく家族を迎え入れる宴は始まった。

フィン「僕たちの出番も最近少ないね」


ミリア「まぁ、主役は子供たちですからね。私達は縁の下の力持ちって事で」


フィン「小話だけど、会話中。娘をキャロ、シャロと呼ぶのが僕で」


ミリア「キャロちゃん、シャロちゃん、とちゃん付けするのが私です」


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