interval..
さて、
例によって俺が、スキル『黄金律〈Ⅷ〉』の恩恵で以ってロリをボッコスカのド貧民にしてやって後、俺たちは一度、軽食を求めて部屋を出ることにした。
「(ほっこり)」
「(不機嫌)」
大富豪を始めた頃から、およそ二時間は立っていただろうか。
ほっくほくな俺は意気揚々と自室の扉を押しのけようとして、
「――あれ?」
がすっ、という効果音とともに、押しのけた扉をつんのめさせた。
「……ご主人様。大富豪のご主人様。どうされたのですか?」
「えっと、いや、開かなくて……?」
ノブに返る感触を鑑みるに、向こうに何か荷物のようなものがあって、それが扉に噛んでいるらしい。
……それであれば、スタッフを呼ばずとも無理やりにでも戸を押しのけてしまえばいいと考えて、俺は体重をかけて扉を更に押し込む。
ずるり、するりと、果たして、
次第に扉が、開いていく。
――そして、
「(呆然)」
「(絶句)」
正確に言えば、部屋の扉の前にあったのは「荷物」などではなかった。
――先ほどの「ゴブリンスr」が、頭部のフルフェイスを致命的に陥没させて、そこに倒れていたのだった。
「……、」
「……、」
「……、……」
「……、……」
「え、まって。これは絶対だめだよ。パロディキャラ引っ張ってくるに飽き足らずこんな扱いとか絶対だめ」
「ぱろでいきゃら? なんですか?」
「落ち着け。落ち着け俺たち。いいかロリ、静かに速やかに誰にも見つからないようにこいつを部屋の中に運ぶぞ。そしてズタ袋に包んで飛空艇の外に放り出す。大丈夫さ心配するな。飛行機から投げ落とした死体の身柄なんてそう簡単に見つかるはずがない。これは完全犯罪だよ」
「…………、どうしてわざわざ私たちが犯人の死体隠すのを手伝わないといけないのかとかっていうのは聞いても大丈夫でしょうか」
なんという平和ボケした思考回路だろうか。誰が殺したのかなど何の問題でもない。ここで真に問題視すべきは「ゴブリンスr」が死んでいるという一点に尽きるだろうに。
今ならまだ間に合う。誰にもばれちゃいない。俺はこの冒涜的な光景を誰にも秘して墓場まで持っていく! そう、覚悟を決める間際に……、
「き、きゃああああぁあああああああああああああああッ!!?」
俺たちのものではない悲鳴が、唐突に響く。
甲高い声に反射的に視線を移すと、そこには、女性スタッフらしい人物が両手を口に当てて腰を抜かしている姿があった。
――夏を間際にした、とある日に、
「……、……」
その、倫理的にもなろう的にも決して許すことのできない高空の密室殺人事件は、静かに幕を開けたのであった……。




