07..
「……、……」
――自身の憔悴を、ボストマンは感じ取る。
朝。
こんな悪趣味なモーニングルーティンであっても、気付けば身体は順応をしていた。
職員が登庁する時間帯よりも早くに失神から目覚め、自身が収まっていた樽を片付け、朝靄に冷えた全裸体を毛布で温める。
明らかに睡眠の不足した思考は、日に日に緩慢になっていく。
それに加えて、彼自身の今の状況。彼は今朝も常温に戻したミルクで喉を癒しながら、どうやって全部放り投げてやろうかと空想する。
……いや、やはり事情は違う。
彼の身体は、そして思考も、どこか状況に慣れつつあって、
「……。」
ゆえに、今日は珍しく客観視というものが出来そうだった。
はてさて、部下たちは今の自分を、どのように思っているのだろうか?
「(いや、……よそう)」
昨日、ランチ時にうっかり外をうろついてしまったのだ。
すでにこの仮設テントは、ボストマンが全裸で樽に詰められているのを目撃したらしい職員と、その主張を悪質なプロパガンダだと声を張る職員で二極化していた。
まさかこの輝かしい領にこんな形で紛争が発生するとは、彼自身思ってもみなかったことである。
……もはや彼に、その紛争を止める気力も、止めるような動機も、ありはしない。
「……。」
夏の日は長い。
昼間に響きそうなほどの早朝に目を覚ましたというのに、日は既に薄く灯っている。
執務に追われ、味を理解して食う食事など数日に一度だった頃の方が、ずっと情緒があった。
その頃ならきっと、この景色に力強さを感じたはずだ。タッチの差で日差しより早く起きた自分に心ばかりの心強さでも覚えてやって、ストレッチで代謝の炉に火をくべる。そうして、万全に一日を始めたのだろう。
今はもう、それは不可能だ。
ただ毛布とミルクで身体を温めて、外からテントへ侵入する朝靄の冷たさを眺めるだけだ。
「。」
どうしたら終わるのか。
それを考えていた。
その答えは、
――ああ。
いくつかはあるけれど、そのどれを選んでも、あの少年は納得などしないのだろうな。




