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楽園の王に告ぐ.  作者: sajho
第二章『ゴールド・エッグ_Ⅱ/You Lose.』
404/430

intro.(C)

※ 前節最終章の A_Scene Of The Most Amazing In Paradise.にて、内容を一部変更いたしました。


 キメラプラン → ニライカナイ提言

 変更理由は、こっちの方がかっこいいからです。

 よろしくお願いいたします。













 冒険者。

 それは、ヒトの身で遥か彼方を思い、いずれ到達する魂の呼び名である。



「……、……」



『母体』を打倒した『谷』に私たちの行く先を阻む者はいなかった。

 私、エイリィン・トーラスライトは天蓋を目指す。


 階層一つ一つを這うように登って、見果てぬように思えた天井へはすぐに到達できた。


 天蓋。

 掌で押せば、感触は曖昧だ。ボロボロと崩れて、道が開ける。


 ……傍らではメターフィアが私の戦闘行為を褒めたたえていた。

 それに意識を割けないのは、私の冒険が悪路を選んだという自覚があるからだろう。


 冒険者の勝利とは、はたして()()()()()()()()()

 私の知る冒険者各位の勝利はこうだったか? いや、騎士としての勝ちですら、これよりマシだったのではないか?


 私は今、何かを守ったわけではない。何を挫いたかなら明白だ。それは、意図の芽吹きである。



 さぁ、天蓋の先へ。

 空は、――今、晴れる。





















「……。」





















 ()()()

 これまでにも感じてきたにおいを、まずは思った。


 天蓋を押した掌が、そのまま空を暴いた。

 今や見返る必要もない地の底に、天蓋の構成物がガラゴロと落ちる。ソレと共に、液体が滑り落ちてきた。


 その液体が、この匂いの正体だった。

 油が腐ったような、風が朽ちたような、空が止まったようなむせ返るにおい。それは、奇妙な粘度を持つ液体の揮発である。天蓋に穴を開けると、それがズルズルと零れ落ちてきて、私の足元を濡らし、そのまま地の底に滑り落ちる。見れば、別の谷の天蓋を覆っていた()()()()()()が地の底に溜まっていて、滑り落ちた粘液に群がっていた。


 そして、空。



 ――塗りたくったような曇天だ。

 だけど、不思議と煌びやかで、その理由は私が地表に立った時に分かった。


 においを放つ粘液が、地平までを満たしている。地は浅瀬のように透明である。塩の湖のように、遠く地平はそのまま空の模様を写し取っている。


 地上と、地に空がある。もし今日が晴天なら、そこには抜けるような蒼があったはずだった。

 だけど今日は、日和が違う。


 粘土みたいな黄昏だった。日差しは不思議と、緑色を帯びているように見えた。















「ようこそ、トーラスライト」


「……、……」
















 その言葉を私は受け取った。

【冒険者】の極地たる『黄金』。


 私が、彼の前に立つ資格を持っていないことは、すぐに分かった。
















 エイリィン・トーラスライト

 ――22/90


 メタ―フィア・ガルルメシュ

 ――12/25





※次回更新までは少々お時間を頂きます。

 よろしくお願いいたします。


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