表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

#1 時速70キロの出会い

 黒い装束に、黒い帽子、ホウキにまたがって飛ぶその姿は、紛れもなく「魔女」だった。絵本やアニメではよく見る姿だが、ここにいるのは「本物」だ。


 私は、その魔女に向かって哨戒機を近づける。これが地球(アース)401の人間と、発見されたばかりのこの星の人間との、最初の接触(コンタクト)であった……


 私の名はダニエル。26歳。地球(アース)401遠征艦隊 第22小艦隊所属の駆逐艦6707号艦の哨戒機パイロットだ。階級は少尉。


 我が遠征艦隊は、2週間ほど前に発見されたばかりのこの星に、昨日たどり着いたばかりだ。


 で、昨夜のうちに我が駆逐艦6707号艦は僚艦10隻と共に大気圏内に突入し、上空2万メートルにて待機していた。


 この星は、我々の星である地球(アース)401から200光年離れた星系にある。200光年離れたこの星まではるばるやってきたのには、理由がある。


 宇宙には、700以上の人類生存惑星が存在する。この星は760番目となる予定だ。我々はその星々を「地球(アース)」と呼び、登録番号順に「地球(アース)401」のように呼称する。


 だがこの700以上の星々は、残念ながら一枚岩ではない。宇宙統一連合、通称「連合」と、銀河解放連盟、通称「連盟」という2つの陣営に分かれており、互いに160年以上も争っている。


 我々はそのうちの一つである「連合」に所属する星である。我々が200光年も離れたこの星にやってきたのは、この星を連合側に組み入れるためである。そのためにはまずこの星の住人と接触し、為政者との接触を行い、同盟関係を結ぶ。我々は彼らに軍事・民事技術の供与と交易ルートの提供を行い、彼らからは我々の遠征艦隊を維持するための食料や資源を供給してもらう。いずれ彼らにも自身の艦隊を編成してもらい、10年ほどかけて連合の一員として自立していただく……


 ところで、この星の文化レベルは上空観察により「2」だとわかっている。農業革命後、産業革命以前の文明が、そのレベル2に該当する。分かりやすく言えば、剣や槍が支配する中世程度の文明の星、ということである。


 それに引き換え、我々はこの星の城や都市を一撃で葬ることができるほどの武器を備えた、全長300メートルほどの駆逐艦を、全部で1万隻も有する艦隊を展開している。その気になれば、軍事占領などたやすい。


 だが、我々は軍事力による支配はしない。いや、できない。かつて武力による占領政策を続けた結果が、今この700もの星々を2つの陣営に分けたきっかけであるからだ。自身の陣営強化のためには、我々は武力ではなく同盟関係構築によって、この星を組み入れなければならないのだ。


 さて、大気圏内に降り立ったばかりの我々は、早速行動を開始する。


「ダニエル少尉、発艦準備完了、いつでも出られます。」


 第1格納庫に行くと整備員が私を呼び、哨戒機の発艦準備が整ったことを知らせてくれる。


 哨戒機とは、全長20メートルほどの四角い航空機。最大速力は1000キロと遅いが、その名の通り哨戒任務のための強力なレーダーを搭載した6人乗りの機体である。


 今回の任務は、地上近くを飛び地形を把握すること。これは、資源調査の前段階に行われる調査で、このデータを基に調査地点を決定する。初期の調査はこの星の地上に住む住人に要らぬ不安感をあおらないよう、夜に行われるのが通例だ。


 なお、私は地上の住人との接触任務をするつもりはない。今この周辺にいる駆逐艦は6701号艦から6710号艦。このうち、下一桁が0の6710号艦がこの10隻のリーダー艦であり、交渉などの重要な任務を担う。このため、この艦には地上の住人との接触に備えて「交渉官」と呼ばれる人物が搭乗している。


 だが、我々の乗る駆逐艦はこの10隻の中でも下っ端の艦艇だ。それゆえ、この大気圏内での任務といえばもっぱら資源調査やサンプル採取が主。面倒な接触任務は、リーダー艦の6710号艦に任せておけばよい。


 さて、哨戒機での地形調査に向かうため、もう一人の人物を乗せることになっている。資源調査のプロで、これまでいくつかの星で資源探査を行った経験のあるホイマン少佐だ。


「少佐殿!出発しますよ!」

「ああ、分かってるよ!ちょっと待て!」


 私が呼び掛けているにもかかわらず、格納庫の端っこでごそごそと何かをしているホイマン少佐。どうやら、鞄の中をチェックしているようだが、そんなもの上空に出てからでもできるだろうに……


「ああ、すまない。待たせたな。じゃあ、行こうか。」


 そう言ってホイマン少佐は哨戒機に乗り込んだ。私も側面のハッチから乗り込み、ハッチを閉じる。そして操縦席に座り、無線機を取る。


「『タコヤキ』より『クレープ』へ、発艦準備よし。発艦許可を求む。」


「タコヤキ」とはこの哨戒機1番機のコールサイン、そして駆逐艦6707号艦は「クレープ」と呼ばれている。無論、遠征艦隊内ではあくまでもこの駆逐艦は名前ではなく「6707」という番号で呼ばれているが、それじゃああんまりだということで「クレープ」というコールサインが付けられたようだ。


 が、最小出力の一撃で数万人が暮らす都市を一撃で吹き飛ばせるほどの主砲を有する艦の名前が「クレープ」などと呼ばれている理由は分からない。我々の星である地球(アース)401が宇宙に進出して100年ほど。この駆逐艦は就役して70年ほど経つが、どうやらそのころから「タコヤキ」「クレープ」と呼ばれているらしい。よほどジャンクフード好きな奴が決めたに違いない。


「クレープよりタコヤキへ、発艦許可了承、直ちに発艦せよ。」


 無線で発艦許可を知らせる連絡が入った。格納庫内の整備員は全員退去し、格納庫内の空気が抜かれる。


 格納庫の奥のランプが、緑から赤に変わる。ここは上空2万メートル。外はかなり空気が薄い。この赤ランプは、格納庫内の空気圧がこの2万メートル上空の空気圧と同じになったことを示している。このランプを合図に、格納庫のハッチが開き始める。


 ぎしぎしと音を立てて開く駆逐艦のハッチ。そして格納庫内にある大きなアームが伸びてきて、この哨戒機をつかんでハッチの外につまみ出す。


 私は哨戒機の重力子エンジンを起動する。徐々に出力を上げる。機内には、ヒィーンという音が鳴り響く。


「タコヤキよりクレープ、これより発艦する!」


 無線で発艦を知らせながら、私は足元にある解除レバーを引く。すると、アームが開いて、哨戒機が切り離される。同時に、エンジンスロットルを目一杯押した。


 ゴォーっという音が響き、哨戒機が前進する。哨戒機のノズルから漏れる青い光で駆逐艦の側面が照らされるのが見えるが、すぐに駆逐艦から離れて暗闇の中に入っていく。


 この星の月が見える。明るい月明かりだが、この高度2万メートルの何もないただの空間では、いくら月が明るくても何も見えない。その暗闇の中を、赤外線スコープとレーダーを頼りに飛ぶ。


「高度200、速力300、予定のコースに入りました。これより、地表レーダーを起動します。」

「あいよ、やっちゃってちょうだい。」


 このホイマン少佐、果たしてやる気はあるんだろうか?さっきから投げやりな態度だ。この人とは昨日のブリーフィングで知り合ったばかりで、その人となりをあまり知らないのだが、その時点ですでにこんな態度だった。しかしこの人、他の星ではいくつもの成果を挙げたといわれる。本当だろうか?とても信じられない。


 低空を飛んでいるため、月明かりによって照らされた地上が見える。多くは森だが、時々大きな川が見える。だが、人為的な建物はまったく見えない。人が住んでいる星だとはとても思えない場所だ。


 決められた空域をただスキャンするだけの任務。100キロほど飛んでは折り返し、また100キロほどまっすぐ飛ぶだけという単調な任務が続く。


 2時間ほど飛んだところだろうか。そろそろ任務も終了というその時、レーダーが何かを探知した。


「……あれ?なんだ、これは。」


 2時方向、距離40キロのところを、速力20で飛ぶその物体は、まっすぐ飛んでいる。光点からは人間ほどの大きさであることが分かる。


「ん?どうした?」


 後席でひっくり返っていた少佐殿が、私のその声を聞いて起き出す。


「あ、いや、妙な点がレーダーに映っていたので、つい……」

「なんだ、ただの鳥じゃないのか?」

「普通こんな夜中に、レーダーに映るほどの大きな鳥なんて飛ばないでしょう。人間ほどの大きさがあるんですよ、これ。」

「ドローンじゃないのか?無人探索用の。」

「いや、そんな機体が飛ぶという連絡は受けていません。」

「じゃあ、この星の航空機とか。」

「上空探査の結果では、ここは剣と槍を持った兵士しかいない中世の星だそうですよ。そんなものあるわけないじゃないですか。」

「そうなのか?ますます面白そうだな。おい、そこに向かって飛ぶんだ。」

「はあ!?今地形調査の任務中ですよ?あと3キロ飛べば任務完了ですから、そのあとでも……」

「この先、どうせまっ平らなところだ。そんなとこ調べたってしょうがないよ。さ、行こう行こう!」


 なんだか急に乗り気になったな、このぐうたら少佐殿。私は渋々そのレーダーの示す先に向かって飛ぶ。


 高度100メートルを、時速20キロで飛ぶその物体。ノイズかと思いきや、近づくにつれてむしろはっきりとレーダーに映る。やはり、何かいる。


 距離2キロまで迫ったところで、赤外線カメラを使って、そのレーダーの示す場所を見た。


 そこには驚くべきものが、いや人が見えた。


 真っ黒な服を着て、真っ黒な帽子をかぶり、長いホウキにまたがって飛ぶ人の姿が映っていた。


「な……なんですか、これは!?」


 ホイマン少佐もモニターを見る。


「どう見てもこれ、魔女じゃないのか?」

「魔女?」

「ほれ、こういう姿の魔女って、よくアニメやドラマに登場するじゃないか。」

「そうですけど……いやしかし、現実にそんなものがいるわけないじゃないですか!?」

「じゃあ、あの空に浮かぶこれは一体、なんだ?」

「さあ……なんでしょう?」


 700もの星に、魔法使いがいる星というのはいくつかあるらしい。ある星の魔法使いは、大きな岩に触れて、その岩を投げ飛ばすことができるという。


 だが、魔法使いのいる星は700の星の内、せいぜい数個。その中で、自身を空に浮かべることのできる魔法使いのいる星の話は、私は聞いたことがない。


 明らかにこの空を飛ぶこの人物は、我々の理解を超えている。どういう原理で飛んでいるのか?いや、本当にこれは現実なのか?


「ダニエル少尉よ、あの魔女に接近してくれ。」

「ええっ!?あれに近づくんですか?」

「そうだよ、幽霊だったら調査してみたいし、人だったら接触しなきゃならん。」

「いや、あの、幽霊って……」

「まあ、哨戒機のレーダーに反応する幽霊なんて、いるわけないけどな。」


 少佐殿が変なことを言うから、なんだかちょっと怖くなった。幽霊とも魔女とも知れぬその空飛ぶ人物に向けて、私は接近することになった。


 相手は現在、速力20で飛行中。最大速力1000キロのこの機体で追いつくのは造作もない。あっという間に真横に接近した。


 私は、空を飛ぶこの人物を見た。近づいて分かったが、この人物は女性だ。つまり、本当に「魔女」だった。長い髪に、すらりとした手足、華奢な体、そしてちょっと丸っこくて愛嬌のある顔つきの魔女。


 その丸顔が、こちらをちらっと向いた。すぐ横に現れた哨戒機に気付いたようで、飛行姿勢が変わる。


「あ、逃げた!」


 黒服の魔女は、急に速度を上げてその場を離脱する。私は哨戒機で後を追う。


 すごい速さで逃げて……いや、たいしたことはない。時速70キロだ。最大速度1000キロのこの哨戒機にとっては、なんて事のない速さだ。


 だが、彼女はこの速度を生身の身体で出している。しかも高度100メートル。もはや常識では考えられないその人物を、私はとにかく追いかけた。


 必死に逃げる魔女、振り切れないと見るや、今度は上昇に転じた。ものすごい勢いで垂直上昇する魔女。私も機体を急減速し、上昇に移る。


 どんどんと高度が上がる。時速70キロのまま1500メートルを超えた。一体どこまで昇るというのか?私は不安になる。なにせ相手は生身の人間、機械もなしに高度1000メートルを超える高さに昇れるなんて、目の前で起きていることだというのに到底信じられない。


 ところが、高度2000メートル辺りで急に速度が落ちた。そしてついに、上昇は止まる。


 あの魔女さん、なんだかちょっと苦しそうに見える。どうやらここが彼女の最大到達高度のようだ。すると今度は一気に下降に転ずる。頭の帽子を片手で抑えながら、ほとんど自由落下で降りていく。


 私も哨戒機で追いかけた。しかし、私はちょっと心苦しくなってくる。相手は人間であり、こちらは高度な技術で作られた哨戒機。いくらすごい能力を持った相手でも、敵うはずはない。


 再び高度100まで戻ってきた。必死に逃げる魔女と、それをのろのろと追いかける哨戒機。いつまで続くのかわからないこの追いかけっこ、後ろめたさもあって、いい加減早く、終わりにしたい。


「おい!この機体を、あの魔女のすぐ横につけるんだ!」

「ええっ!?何をするんですか、少佐!」

「このままじゃらちがあかない、直接呼びかけてみる!」


 そういうとホイマン少佐は、哨戒機のハッチを開ける。高度100メートル、速力70とはいえ、いきなり空を飛んでいる航空機のハッチを開けるのは非常識だ。開いた出入り口から、操縦席にまで風が吹き込んでくる。


「おおい!そこの魔女さん!怪しい者じゃないから、ちょっと話を聞いてくれ!」


 ホイマン少佐は魔女に向かって叫んでいる。だが少佐殿よ、相手は魔女だが、おそらくは中世程度の文化しか知らない相手。その相手に、こんな大きな航空機から怪しい者ではないと呼びかけたところで、果たして信じてくれるものだろうか?


 ところがその魔女さん、その声に応えたのか急に減速し、地上に降りる。


 私もその魔女の降りた場所に向かって降下する。スロットルレバーを引いて出力を下げ、ホバリング態勢に入った。


 下は平原だった。ギアを降ろし、そのまま機体を着地させる。


 重力子エンジンを停止させ、窓の外を見る。先ほどの魔女さんは、ホウキを片手にこの哨戒機の前に立っていた。その魔女のところにホイマン少佐は歩み寄る。


 それにしてもホイマン少佐は、よくあんな得体のしれない人物のところにひょいひょいと行くものだ。相手は生身の身体で、時速70キロもの速さで飛ぶことができる人間。言葉が通じるかどうかすら分からない相手。普通、近づこうなどとは考えないものだ。だが少佐殿は果敢にも、この魔女に向かって話しかけていた。


 この星での私の任務は資源探査であり、人との接触はしないはずだったのだが、思わぬ形でこの星の住人との接触に立ち会うことになってしまった。私は少佐殿の様子をコックピット内から眺めていた。


 ところが、ホイマン少佐がこちらに向かって歩いてくる。ハッチの空いた出入り口から少佐殿が入ってきた。


「おい、少尉。」

「なんでしょう?」

「お前が行け。」

「は?」

「あの魔女のところに、お前が行けと言ったんだ。」

「なぜ、少佐殿ではなく私が?」

「あの魔女さん、この哨戒機を飛ばしているやつじゃないと話をしないと言ってるんだ。てことで、よろしく。」


 なんてことだ。あの魔女と話せというのか?大体私は、人付き合いが苦手だ。しかも、いきなり追いかけっこをした相手と話せとは、少佐殿も無茶を言う。


 しかし、あの魔女は哨戒機のすぐ外に立っている。暗いが、その態度から明らかにこっちを睨みつけているのが分かる。気は乗らないが、行くしかなさそうだ。


 私は哨戒機の出入り口から外に出る。そこにはホウキを持ち、仁王立ちの魔女が出迎える。あまり歓迎してもらえる雰囲気ではなさそうだ。


「ちょっとあんた!」


 魔女が叫ぶ。この魔女の言葉が分かる。幸いにも彼女は、統一語を話せるようだ。


「私はさっきの男に、この馬鹿でかい空飛ぶ馬車を飛ばすやつを呼べって言ったのよ!なんで男が出てくるのよ!」

「いや、これ、私が飛ばしてるんだけど……」

「はあ!?男のくせに飛ばせるっていうの!?男で魔力を持ってるやつなんざ、聞いたことがないわよ!」

「魔力?なにそれ?こいつは魔力じゃなくて、重力子エンジンというやつで飛んでるんだけど。」

「なによその重力子なんとかというのは!?とにかく、王国一の魔女と言われた私に追いついてくるなんて、たいしたものね!」

「いやあ、私の力じゃなくて、この哨戒機のおかげだから、別に私がたいした者というわけじゃないんだけど……」

「なに謙遜してんのよ!この私が認めてやってんのよ!それともなによ!私のこと、馬鹿にしてんの!?」


 あー……面倒くさい奴だ。相手にすると厄介な奴だ、こいつは。私はそう直感した。


「いや、馬鹿にだなんて……むしろ、すげえなあって思ってたけど。」

「そ、そうなの…って、なんでよ!あんたの方が、私なんかよりもずっと速く高く飛んだじゃないの!」

「いやだから、それはこの哨戒機の能力であって、私はただこれを操ってるに過ぎないんだよ。あなたは生身の身体で空を飛べるんでしょ?それもあの速度で。どう考えても、そっちの方がすごいよ。」


 するとその魔女さん、急に顔がにやけてきた。


「そ、そうかな!?いや、そうよね!私は王国最速の魔女だもんね。すごくて当たり前なんだから……」


 なにやらぶつぶつと言い出した。なんだかよく分からないが、機嫌は良くなったようだ。


「あの、ちゃんと名乗った方がいいですね。私の名はダニエル。地球(アース)401遠征艦隊所属の駆逐艦6707号艦の哨戒機パイロットをやってます。」

「えっ!?アース401?なによそれ。聞いたことのない国の名前ね。それにパイロットって何?」

「ああ、ええと、我々はこの星の者ではないんですよ。昨日、宇宙から来たばかりなんですよ。」

「何よ、その宇宙っていうのは!?」

「この空高く、ずっとずっと向こうの、あの光る星の彼方から来たんです。」

「はあ!?星から来た!?」

「そうです。」

「そんなところから、何しに来たのよ!」

「ええと、我々はこの星の人々と同盟を結ぶためにやって来たんですよ。」

「同盟?つまり、仲良くやろうってこと?」

「まあ、そんなところです。」

「ふうん、まあいいわ。じゃあ、私も名乗らないといけないわね。」


 そういうとこの魔女さん、ホウキを地面に突き立て、もう一方の手を腰に当てて、高らかに宣言するように言った。


「我が名はマデリーン!王国最速の一等魔女!かつて城を囲んだ大軍を矢よりも速く飛び回り、その大軍を奔走させた伝説の魔女!人呼んで『雷光の魔女』よ!」


 マデリーン。これが私が、いや我々地球(アース)401の人間がこの星で最初に接触した人物の名であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ