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ゲーム部 活動日記  作者: 相楽 瑠波
13/13

2人の秘め事

この話は去年の6月にあげた話の続きとなります。

別に珍しくもない気がしますが、がっつり続いているので前の話を読んだ後のほうがより一層状況が分かると思います。


更新遅くなりました!申し訳ないです!!

~翌日~

寝苦しいというか、何とも言えない暑さを感じて目が覚めた。

覚醒する前の寝ぼけた頭で目の前の物体を捉える。


……は?


一気に目が覚めた。それもそのはず、宇宙が俺に抱き着いて寝ていた。


…これどういう状況?


昨日の自分の行動を振り返ろうをするが、いまいちよく思い出せない。

とにかく、宇宙を起こさないことには話が始まらない。

意外とかわいい顔して寝ているので罪悪感は少なからず感じるが、この際気にしている場合ではない。


「…そら。そらってば、起きて。」


「……ん。んん、あと、5ふん…。」


「あと5分じゃなくて。今すぐ起きて。」


「…ん、やや…。」


いや、なに甘えてるの。全然かわいくない。

そして、人に抱き着くな。

宇宙は起こす前よりも俺を強く抱きしめていて、正直言って少し苦しい。


「早く起きて。」


埒が明かなくなり、強硬手段に出る。無理やり、宇宙の肩を揺らしたり、頬を叩いたり…。

こいつ狸寝入りでもしてんのか、と思い始めたころ、眠たそうな目とあった。


「…ん、けいた、おはよう。」


「お、おう。」


幼い宇宙はまだかわいい。

寝起きは幼くなるという話が迷信でないことが証明された。

……何言ってんだろ、俺。


「ほら、起きるから腕離して。」


「え?…ああ、、やだ。」


「は?今日学校なんだけど…。」


「…ん、ならサボってイチャイチャしよ?」


はい、もう可愛くない。

何ふざけてんだこの野郎。


「……。」


「わ、わかったって!冗談だよ!!」


ゴミを見るような冷たい目で見れば、観念したように離してくれた。

ようやく布団から這い出て立ち上がると、いつもより寒く感じた。


「…さむ。」


無意識に口から出た言葉だった。


「…ん。」


なにを思ったのかベッドの上でこちらに腕を広げてくる。


「…なに」


「いや、寒いんなら温めてあげようと思って。」


「いらない」


本当にくだらなく思って、部屋から立ち去った。

宇宙は不貞腐れているのか、引き留めることも付いてきている様子もなかった。


現在時刻は7時30分。学校には全然間に合う時間帯だ。

とりあえず家に帰ろうと思って、昨日持ってきていた上着を羽織ドアに手をかけた。


「…ひとりにしないで。」


背後に人影を感じ、その直後ぬくもりを感じた。

その温度を決して待ち望んでいたわけではないのに、心地よく感じてしまった。


「…家に帰らないと、学校行けないから。」


「…せめて朝ごはんぐらい食べてってよ。」


振り向いた俺にそう笑っていった宇宙は、別人のようで胸騒ぎがした。




……


結局あの後、朝ごはんだけごちそうになり、一回家に帰った。

余裕だったはずの時間はぎりぎりになっていて、本当に着替えるだけで慌てて学校へと向かった。

もしかしたら宇宙が待っているかもと頭の隅で思ったが、気にしないふりをした。


「あ、竹中おはよー」


チャイム数秒前に到着し、ほっとしていると平野がやってきた。


「おはよ」


「今日はまた随分と遅いね。どうしたの?」


「…いや、特には。ただ寝坊しただけ。」



正直に宇宙に襲われそうになったとも言えず、とりあえずごまかしておいた。


「…ふーん、そうなんだー。」


平野はまだ何か言いたそうだったが、タイミング悪く、担任が入ってきてしまったためそこで打ち切りとなった。


HRが終わった後にでもゆっくり話そうと思っていたが、生憎1限から体育だったのでそんな時間はなかった。



授業が終わり教室に帰ってきた頃、同じように帰ってきていた瀬戸が平野に連れられて教室から出ていくのが見えた。

なんとも言えない不吉な予感がしていた。



……


「ねえ瀬戸。ちょっと来て。」


「ん?なにー。」


平野に呼ばれて、廊下にまでついていく。

どこ行くんだろーと疑問に思っていたら、教室から少し離れたところで止まった。


「どうした?」


「いや、竹中のことなんだけど。あのね、ここだけの話…。」




(さっき体育の時に見えたんだけど、首元に赤い斑点があるんだよね…。)



もう次の授業も始まり集中しなければいけないのだが、平野から聞いたことがなかなか頭から離れてくれず、思い出しては想像を繰り返している。

これはプライベートなことだし介入してはいけないとはわかっているが、自分の中の見たいという欲求には勝てそうにもない。

…まったく、いつからこんなにけがれてしまったのか。



そんなこんなで1日中変に意識してしまい、妄想がはかどりにはかどった。

本当は今日も部活に出ようと思っていたが、一回冷静にならないとまずいので、部長権限で休みにし各自自主練となった。


これでよかったはずなのだが、実は部室に防犯用として設置してあるカメラに撮っとけばよかったと後悔していたりもする…。



*おまけ

少し時はさかのぼって、瀬戸が平野から話を聞いた直後のこと。


「…え、それ本当?」


「何回か見たけど多分そうだと思うんだよね。僕も本物見たことがあるわけじゃないから確信はできないけど…。」


本当だったら嬉しいが、どうしても信じられない心がある。ぬか喜びにしたいない。


「じゃあさ、本人に聞いてみるってのはどう?」


「へ?」


こいつ何言ってんだ見たいな顔してこっちを見てくる、平野。

正直、可愛い。


「竹中に聞いたら間違いなく終焉を迎えるよ。」


「いや、竹中に聞くとは言ってないよ!」


そう、竹中に聞いたらただでは帰れないことぐらい私でもわかる。

だからこそ、もう一人の当事者に聞くのではないか。


「宇佐美だったら教えてくれると思うんだけど。」


「…まあ、否定はしない。」


「でしょ?じゃ、そうと決まったら早速…。」


もうここまで来てしまっては反対に真実を確かめないと気が済まない。

一か八かやってみるしかない。

そう腹に決めて宇佐美のクラスへと向かった。


「あ、宇佐美くーん。」


教室の近くでたまたまこちらに向かってきた宇佐美を呼び止める。


「あのさ、竹中のことなんだけど。」


余計な詮索はなしに一気に仕留める。


「あの首の赤いのって、もしかして、アレ?」


隣で平野も興味深々で聞いている。


「首…?…ああ、そうだよ。見える位置だった?」


「いや、着替えの時に見えただけだけど…。」


なんの悪びれもせず、当たり前のように言うもんだから、ポカンとしてしまった。


「用ってそれだけ?もう俺行くね。」


そして、風のように去って行ってしまった。

なんだったのだろう。


もしかしたらあの2人の関係は私たちの想像以上なのかもしれない、と平野と結論をつけあまり関わらないようにしようと心に誓った。



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