表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/6

第四話 「外食」

「……ねぇ」

「何かな?」

「生きてるって何かしら? テリー」

「また、懐かしいネタを……。一応、言っておくと僕はテリーじゃないからね?」

「あら、違ったかしら?」

「その返しは結構ショックだな。君とは割と長く付き合ってきたつもりだったんだけど」

「でも、貴方。小さい頃にモンスターが迎えに来たって言ってなかったかしら?」

「捏造してまで、ボケを重ねてくるのは止めて欲しいな。残念ながら、僕にワンダーランドに行った記憶は無いよ」

「残念ではあるのね」

「モンスターマスターに憧れない男子はいないさ」

「そんな貴方に朗報です。……目の前の女子高生が起き上がり、仲間に成りたそうにこちらを見ています。仲間にしますか?」

「一つ聞きたいんだけど、その理論で言うのなら君はモンスターということになるんだけど、それで良いのかい?」

「あら、知らなかったのかしら。女の子は、ある種の神話生物なのよ」

「知りたくなかったな。そんな冒涜的な現実は」

「考えてもみなさい。『お砂糖、スパイス、素敵なモノいっぱい』なんていう、曖昧なもので構成された存在がまともな訳が無いでしょう」

「いや、その理論はおかしい」

「……ちょっと、そんなに冷めた目で見ないでくれるかしら? 恥ずかしくなってきちゃうから」

「ああ、良かった。君にもまだそんな感情が残っていたんだね」

「当たり前じゃない。貴方は私のことを『パープルヘイズ』だとでも思っていたのかしら」

「小説にまで手を出すほど、ハマるのは予想外だったな。でも、そのボケは分かりにくいと思うよ」

「全く。失礼しちゃうわ」

「どうして僕が責められているんだろうね。……でも、どうして生きてる理由なんていう命題を聞いてきたんだい?」

「あら、そう言えば最初はそんな話だったわね」

「人に振った話を忘れるんじゃない」

「まぁ、理由は簡単よ。私たちはいつも、放課後はここで図書委員をやっているじゃない?」

「うん。そうだね」

「余りにも変化なく繰り返された日常で、私はもう生きてるっていう気がしないのよ。テリー」

「ネタを繰り返すな。そして思った以上にしょうもない理由だったな」

「そうは言うけど、あーた」

「誰があーただ」

「毎日、毎日、年頃の女子高生がこんな図書室で青春を消化しているなんて……。これは、もはや事件よ?」

「大げさだよ」

「でも、本当の話。このままでは、私のバラの高校生活が寂しいものとして終わってしまうわ」

「うーん。そこまで自分を追い詰めなくても良いと思うんだけどなぁ」

「いや、仮に私が絵日記をつけていたとしたら、その内の実に半分以上が『きょうはなんにもないすばらしい一日だった』という内容になるのよ?」

「……確かにそれは事件だな」

「やっと貴方の賛同が得られたようで、嬉しいわ」

「そうかい。……でも、そうなると難しい話だね」

「ん? 何がかしら?」

「いや、少なくともこの委員の仕事は『学期』が変わるまでは、続けないといけないんだし、君の放課後を有意義なモノにしたくても、この『一学期』中は難しいんじゃないかと思ってさ」

「ああ。そういう事」

「どうしたら良いんだろうねぇ」

「……」

「……」

「……割と一生懸命、考えてくれるのね」

「ん? まぁ、僕の唯一の女友達が困っているんだし、これくらいはね」

「……ふーん。『友達』ねぇ……。『唯一』って所が一応の救いかしら」

「ん? 何か言ったかい?」

「貴方ってホモじゃないわよね?」

「いきなり失礼極まりない発言をするね!? 君は!!」

「あら、急に声を荒げる所が怪しいわ」

「取り消すんだ。君が思っている以上に、思春期の心はデリケートなんだぞ」

「……真面目に怒ってるわね。ごめんなさい。謝るわ」

「全く。……人が一生懸命、力になろうとしているっていうのに君って奴は」

「ごめんなさい」

「えっ!? ちょ!? ……急に泣かないでくれよ。僕の方も言い過ぎたよ。ごめん」

「どうやら女に免疫が無いのは、本当みたいね」

「――っ!? まさか、噓泣きだったのかい!?」

「失礼な人ね。目が乾いたから、少し目薬を差しただけよ」

「タイミングゥ!!」

「さて、面白い顔をしている所悪いのだけど、少し私の話を聞いて頂戴。貴方のお陰で良いことを思いついたわ」

「この顔は生まれつきだ。……なんだい?」

「提案よ。私の放課後を今以上に有意義にしつつ、貴方にしっかりと謝るために、今日は何かご飯を食べて帰りましょう?」

「……いや、悪いよ。これくらいのことで、女子にご飯を奢らせる趣味は僕には無い」

「それなら、貴方の奢りでも良いわよ? 私」

「君に謝るつもりはあるのかい!?」

「そうと決まれば、そろそろ行きましょうか。時間も良い頃合なのだし」

「まて、まだ話は終わってないぞ」


「ちゃんと聞いてあげるわよ。――続きはファミレスでね」


お読み頂きありがとうございますーっ!!


続きはまた来週、投稿させて頂きます!!


いつもありがとうございますーっ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ