表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/6

第二話 「遅刻」

「……」

「――っ遅れてごめん!! ……って、やっぱりね。君はそうだと思ったよ」

「あら? 来たのね」

「言いたいことは色々あるんだけど……まずは、遅くなってごめんね。ちょっと、職員室に呼ばれてさ」

「あらあら。まったく困った人ね。アレほど駄目絶対だって口酸っぱく教えたのに」

「……一応、言っておくけど、僕は別に薬物で呼び出された訳じゃないからね?」

「アレほど、駄目だっちゃって、甘酸っぱく教えたのに」

「そして、僕は君のダーリンでもない」

「あら、そうだったかしら」

「君は割と、勢いだけで話すよね」

「で、薬物じゃないなら、一体何で呼び出しをされたのかしら?」

「んー。まぁ、色々だよ」

「言えないようなことなのね。……まぁ、多感な時期ですものね」

「おい、待て。何を想像した」

「私の口から、何を言わせる気かしら。この変態!!」

「一体君は何を想像したんだ、この変態!! ……呼び出されたのは、テストの点が悪かったからだよ」

「あら、そうなの? なんだ、つまらない」

「人の悩みをバッサリ切るなよ!!」

「というか、その理由なら、100%貴方が悪いじゃない。そんな、理由で遅れるなんて」

「ぐぅ、返す言葉も無い」

「まぁ、私は寛大だから許してあげるわ。さぁ、遅れた分、キリキリ働きなさい。今日も大量の本が貴方の仕分けを待ってるわ」

「分かったよ。……ところで、僕は、君が何をしているのか聞きたいのだけど」

「貴方は最近そればかりね。答えを求めるのでは無く、自分で考えることが大事なのよ?」

「僕としては、言い訳を聞いて上げようと思ったんだけどね。どうやら、余計なお世話だったみたいだ」

「――っ!?」

「だから、なんで君は被害者面が出来るんだい?」

「前にも言ったけど、読みかけの本を取るなんて、人間性を疑われる行為よ? 目の前で、祖父の体から血を抜かれた気分だわ」

「続きを読んでくれたみたいで嬉しいよ。……僕の方も、前にも言ったと思うけど、仕事をしてから読むのなら、僕だって邪魔はしないんだけどね」

「私はただ、静かに暮らしたいだけなのに」

「思った以上に読むのが早いな」

「口を開けば、仕事、仕事。貴方は仕事と読書、どっちが大切なのかしら?」

「仕事だよ」

「酷いっ!! 私は遊びだったのね!!」

「君は選択肢に居なかったじゃないか!?」

「あら、そうだったかしら」

「本当に頼むから、勢いだけで喋らないでくれ」

「じゃあ、やり直すわ」

「いや良いから、仕事しろよ」

「ここに、三つの選択肢があるじゃろ?」

「また懐かしいネタを……『読書』『仕事』『君』かな?」

「その中から一つ、好きなものを選ぶのじゃ」

「それじゃ、僕は『仕事』を選ぶよ」

「それじゃあ、私は『読書』を選ぶわ」

「おい、こら。ドヤ顔で流れるように、読書に移行するんじゃない」

「なによ。『私』を選ばなかったという事は、手伝いは必要ないってことでしょう?」

「うわっ、そういう解釈はズルいぞ」

「ふふふっ。それなら、もう一度聞いてあげるわ。『仕事』と『私』どっちを選ぶのかしら?」

「ぐぬぬっ……!!」



「ふふふっ。」

「なんだい、やけに上機嫌だね?」

「ええ。だって選ばれたのは私だったんですから」

「お茶みたいな奴だな。……さて、それじゃあ、昨日の続きをしようか」

「そうね。それじゃあ昨日と同じように、私がライトノベル、貴方が漫画担当で、本の仕分けをしていくということで良いかしら?」

「それで、構わないけど。昨日は漫画をやりたがったのに、今日はやけに素直だね」

「なんの事かしら? 私の記憶ログには何も無いわ」

「……なんか怪しいな。うん。今日は僕がラノベをやろう」

「――っ!?」

「なんだい、その顔は?」

「アイエェェっ!? マンガっ!? マンガナンデっ!?」

「よりにもよって、それを読んでたのか」

「うぅ。今までに読んだことのない作風だったから、気になっていたのに」

「君の読むものを選ばないスタイルには脱帽だよ。さて、いい加減仕事をするよ」

「分かったわよ」



「ふぅ。終わったね」

「まぁ、この私が本気になれば、ざっとこんなものよね」

「なんで、今まで本気にならなかったんだい?」

「私は本気になっちゃいけない人間なのよ。本気になれば、なんでもできちゃうもの」

「……なんだか風が吹いてきたな。君、仕分け中に漫画を読んでいたんじゃないだろうな?」

「何の話か分からないわ。貴方の疑り深さには、流石の私もまいっちんぐよ」

「うん。もう、隠す気も無いよね」

「まぁまぁ、無事に作業は終わったし良いじゃない。さぁ、さっき取り上げた本を返しなさい」

「まったく、君は。……ほら」

「ふふふ。これでようやく、ボスの正体が分かるわ」

「でも、今日はもう遅いし、続きは帰ってからにしてくれ」

「あら、本当。もうこんな時間だなんて。まったく、全然、これっぽちも気が付かなかったわ」

「なんて、白々しい言葉なんだろうね。まぁ良いさ。ほら帰るよ」

「当然のように駅まで送ってくれる貴方が好きよ」

「ななっ何を言っているんだい!? これは、最近物騒だから――」

「でも、キリンさんの方がもっと好きだわ」

「――僕の気持ちを裏切ったなっ!?」

「ふふふっ。さぁ、帰りましょう。私は、速く続きを読みたいのよ」

「また、凄い量を持って帰るね。ゆっくりと読めば良いのに」

「……だって、貴方のおすすめですもの」

「ん? 何か言ったかい?」

「別に何も言ってないわ。――さぁ帰るわよ」

「はいはい」


お読み頂きありがとうございますーっ!!

ブクマや評価して下さった皆さん、本当にありがとうございますーっ!!

続きはまた来週投稿させて頂きますので、お読み頂ければ幸いです。


お読み頂き本当にありがとうございましたーっ!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ