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オートラン  作者: たくみ
アサミヤ=ジロウ編
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#1 「サテライト7」

 資源衛星"サテライト7"はその名の通り、宇宙進出を果たした人類が獲得した7番目の資源採取用の衛星である。

 進出と言えば聞こえが良いが、営利競争の果てに母星の資源の全てを食らい尽くし、その責任を次の世代へ押し付け続けた果ての必然として、住む土台を失った者たちが藁にもすがる思いで実行した壮大な夜逃げ計画というのが、その実情であった。

 要するに、行き当たりばったりで出たとこ勝負を繰り返してきた途方も無い日々の果てに辿り着いたのが、宇宙に偶然にも存在した天然の資源採掘場を6つ使い潰してきたという現実なのである。

 当然ながら、採掘できる資源が無限に湧いてくる筈も無く、この7つめの衛星もいずれ使い潰され、全てを消費し終える前に次の寄生先を見つけることになるのだろう。

 そんな、限りある資源を効率よく消費して少しでも生き永らえようと、人々が奮闘している時代において。

 少しでも己の利するところへその資源を確保するべく、お題目を掲げては武力行使にまで発展する事態が幾度となく発生していた。

 もはや日常の一部となりつつあるその光景が、資源採掘場の目と鼻の先に広がっている。


「世の中、生きるか死ぬかの状況だってのによくやるねぇ……お。あの槍みたいな武器、スコップ改造したやつじゃね?」


 資源採掘用の作業機械"オートラン"の操縦者、アサミヤ=ジロウは呑気に呟く。

 視線の先には、自分の乗る機体と同じものを戦闘用に改良して武器を振り回している、武装集団と言うべき者たちが居た。

 その手に握られている得物はジロウの指摘した通りのものであったようで、彼は内心でその武器名を"スコップランサー"と命名したのである。

 そんな対応から察せられる通り、彼は目前で繰り広げられているドンパチ騒ぎに対する感想としては、非難を通り越して呆れ返っているというのが、率直な思いであった。

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